暴動-15
コウキとナオは再度、公館道場へと向かった。
公館道場は焼け落ち、先程まで建っていた建物とは思えない有様であった。
「酷いですね・・・・・・」
言葉を失うナオに「自業自得だろ」と言い放つコウキ。
「そうでしょうか」
「そうだよ。自分達で作った爆弾で吹っ飛んだんだ。本望だろ?」
「そんな言い方しなくても」
コウキはそんなこと気にしないといった感じで、現場へと足を踏み入れる。
「ちょっと、君!!まだ現場に入らないで!!」
火災調査官に怒られるコウキは「すんません」と謝り、いそいそと現場から出る。
「何やっているんですか。コウキさん」
「ごめん。手がかりになるものはないかなと思ってさ」
「で、あったんですか?手がかり」
「あるのかもだけど、見つからなかった」
「そうでしょうね。で、これからどうします?」
焼け焦げた臭いが立ちこめる中、コウキはう〜んっと考え込む。
「焦げ臭い」
「当然です」
「ねぇ、ナオちゃんだったらこういう派手なことをしたらどうする?」
「どうするって言われても」とは言うもののナオはしっかりと考えてから「どうなったかを見届けますかね?上手いこと殺せたのかを確認するために」と答えた。
「成程ね。探してみる? 春川夏輝君」
「はいっ、分かりました」
コウキとナオは二手に分かれて春川夏輝を探す。
が、野次馬が多くてどれが春川なのかを判断できない。
「ったく、普段は無関心なくせに有事が起こったら、興味持ちやがって」
コウキはそう呟きながら、野次馬の雑踏を掻き分けて春川を探す。
ナオは少し離れた場所かつ事件現場が見える場所を探していた。
「ここも違う・・・・・・」ナオはコインパーキングにバイクが駐車されているのではないかと考え調べていただが、成果はなかった。
気持ちを切り替えて、次の場所へと移った。次に訪れたのは、繁華店の立体駐車場であった。
取り敢えずは屋上から調べることにしたのだが、それらしき人物や車両はなかった。
「ここもダメ。よしっ、次っ!!」
ナオは次の階へと移動したそこに双眼鏡で事件現場を覗く男が居た。
その男を見た瞬間、ナオは春川だと直感した。
ふぅ~っと息を吸い込み、ゆっくりと近づいていき、「あの何してるんですか?」と声を掛ける。
「野次馬ですよ」
「野次馬・・・・・・にしては、近くで見ないんですね」
「ふっ、お互い化かし合うのはやめましょう。貴方、この前きた刑事でしょ?」
「分かってるなら、話は早い。大人しく投降しなさい」
「投降ね・・・・・・ふっ、ハハハハハっ」高笑いし始める春川を見て気持ち悪いと思うナオ。
すると、ナオに向けて銃を突きつける春川は、拳銃の引き金を引いた。