暴動-13
コウキとナオは、政治団体の道場がある新橋に来ていた。
「我が公館道場は、健全公正な若者を育てるという志で運営されております。警察の御厄介をかける事など」と公館道場の岩荒が二人にご高説を賜る。
「そうですよね」と答えるナオを他所にコウキは二人の後ろで項垂れながら正座する子供に声を掛ける。
「何してるの?」
「彼は鍛錬中です。話掛けないでください」
「え、何で?」
「何でもですから、じっとしていてください」ナオに怒られたコウキはシュンとする。
「ですから、我々は崇高な意思を持って若者を」
「なぁ、何したの?」
「コウキさんっ」
「あの、話かけないでください」
二人の大人に注意されたコウキはまたシュンとする。
「すいません。不出来な部下で」ナオは謝罪する。
「いえ。それでですね。私共は、崇高な意思でですね」
「崇高な意思で爆弾を作るという訳か・・・・・・」コウキは聞こえるように呟いた。
「爆弾?」と首を傾げる岩荒。
「コウキさんっ!!」ナオは今度は本気目に怒る。
「だって、いつまで経っても本題に入らないから、俺が言ってやってるんだから」
「あちゃ~」とナオは手で顔を覆う。
「爆弾ですか。面白い事言いますね」
「そうですか。恐縮です」
恐縮しないで良いから黙ってくれないか。そう思うナオであった。
「爆弾なんて所持してませんからね」
「所持してなくても、用意してたりなんてこともあるでしょうに」
「まさか」
「ですよねぇ~ 帰ろうか」
「はい」
ナオはなんて自分勝手な奴だとすら思うが、ここであるないの押し問答をするより何か手を考えてから出直した方が得策だと考え、コウキの言葉に従うことにした。
「まぁ待ってください。もう少しお話を」と岩荒が止める。
「話しなんてないでしょ。爆弾がないって言うんだから」
コウキは岩荒を押しのけて出て行こうとする。が、岩荒は二人の前に立ちはだかる。
「お~い! お客さんのおもてなしだ!!」岩荒が声を出すと、部屋の奥から強面の男たちがぞろぞろと出てきた。
「物騒な世の中だな」
「言っている場合ですか・・・・・・」ナオはやれやれといった感じで、ナオは身構える。
「さ、気合い入れてやりますかっ!!」
コウキが言うや否や、強面の男達は襲い掛かってきた。
コウキとナオは、綺麗なシンクロでパンチを繰り出してノックアウトさせる。
「さ、行こうぜっ!!」コウキは襲い掛かってくる男に足刀を食らわし倒す。
ナオもまた、華麗な背負い投げや足掛けなどの柔道技で男たちを倒していく。
「しゃぁっ!ドンドン来いやっ!!」
コウキは襲い掛かってくる敵を嬉しそうに、倒していく。
「さ、これで終わりっ!!!」
最後の一人を倒すと「さ、どうします?続けます?」と尋ねると岩荒は首を横に振って答える。
「じゃ、行くぞ」正座していた男の子を引き連れて公館道場を後にした。