暴動-12
二人は葛飾が行っていた犯罪の裏取りをするため、池袋の街を歩き回っていた。
「春川君、今どこでどうしてるんだろう?」ナオはボソッと呟いた。
「この日本のどこかで元気にやっているんじゃない?」
「そう言う話じゃなくて。また、犯罪を犯すんじゃないかって事ですっ」
「暫くはしないんじゃない。面も割れていることだし」
「そうでしょうか。どうしても、気になってしまって・・・・・・」
「刑事の勘って奴?」
「分からないですけど」と愛想笑いを浮かべるナオ。
コウキとナオは、サンシャイン通りにある油そばの店に入った。
この店は、葛飾が麻薬の取引に使っていた隠れ蓑的な店なのだ。今は営業を停止していた。
客の居ない店で、コウキとナオは二人で家宅捜索をすることとなった。
「急に家宅捜索なんてどうしたんでしょ?」ナオはそう言いながら、キッチンの棚を確認する。
そして、コウキはというと、レジと格闘していた。
「何してるんですか」
「何してるって、レジを開けようと、ね」
「まさか、レジのお金を盗もうなんて」
「ま、まさかぁ~ そんな訳じゃないっ」
「怪しい・・・・・・」
「あれ?」ナオはあることに気づいた。
「どうしたの?」コウキは近づいてきて、何があったのか尋ねる。
「あ、はい。ここ、見てください」
指さす先には“危険 触るな”の文字が書いてあった。
「何が危険なんだ?」
「やっぱり、そうですよね。気になりますよね」
「ああ、気になる」
二人は真剣な顔つきで考え込む。だが、答えは見つからない。
「なんだなんだろう?」
「何なんでしょう?」
二人はう~んと考え込む。
「ダメだ。思いつかんな」
「そうですね」
「聞きに行こう」
「そうしましょう」
二人の考えは纏まり、警視庁へと戻った。
そして、葛飾の部下に話を聞くことになった。
「これ、何?」コウキは、写真を見せながら尋ねる。
「知らんな」
「知らない訳ないでしょ?答えなさい」とナオが問い詰める。
部下は目を逸らして、視線を変える。
「危険物って事は、お薬ではないよな」とコウキは自身の推理を語りながら、部下の反応を確かめる。
「もしかして、爆弾とか?」
コウキはド直球の質問をぶつけてみた。
すると部下の眉がぴくっと動き反応して見せる。
「そんな訳ないだろう。テロリストじゃあるまいし」
「そうかな。お宅の組織、ある政治団体と癒着してるよね? あそこって、結構、過激な事を言うのが売りじゃない?もしかして、国民の意識を変えるとか何とか言って爆弾を製造していたんじゃない?」
「そんな事・・・・・・」
「そんな事、何?答えなさいっ」ナオは机を叩いて答えを引き出そうとする。
「あ、分かった。爆弾だけど。お宅らそれを知らなかった。そう言う事でしょ」とコウキが目を輝かせながら言う。
「そうだ。だから、それが爆弾なのかどうかは知らないんだ」
「だってさ、ナオちゃん」
「仕方ありませんね。これ以上、こいつからは聞き出せないようですから」
部下の取り調べを切り上げて、二人は新たな行動を開始した。