嫉妬-30
「どういう事か説明してもらおうじゃありませんか」
コウキは取調室でシュンとして座る泰子に説明を求める。
「お願いします」
ナオも泰子にそう頼みこむ。
「彼女は私の代わりに主人を殺してくれたんです・・・・・・」
「DVですか?」
コウキの質問にコクリと頷いて答える泰子は続ける。
「彼女もそれに苦しんでいたんです・・・・・・」
「で、あなたがそそのかしたと」
「違います。彼女の判断です」
「では、なぜ、匿ったんですか?」
「はい。それは、主人を殺した人が殺し屋だと聞いて」
「ピンときた。というわけですか」
「はい」
「どうやって、彼女に接触を」
「主人の職場の懇親会で連絡先を交換していましたから」
「そうですか」
「釈放されてすぐに、私、連絡したんです。そしたら、内の前に張り込みしている人たちが居ると教えてくれて」
「で、あのホテルって訳か・・・・・・」
「その後すぐに張り込みが解除されたみたいで」
「匿ったってことですか」
「はい」泰子は返事をしてすぐに「すいませんでした」と謝罪した。
デヴィッドに依頼したのは、鏡幸であった。デヴィッドからの証言もとれた。
事件は解決したと思った。が、そうは考えてない人間が一人居た。
コウキは、書類送検になった修飾泰子を訪ねた。
「この度は、どうも」
「いえ」
「調査報告書をお持ちしました」コウキは泰子に浮気調査報告書を手渡した。
「ありがとうございます。でも・・・・・・」
「もう要りませんよね」
「あ、はい」
「実は今日、訪ねたのは報告書だけじゃないんですよ」
「というと?」
「貴方、鏡幸さんに殺し屋へ依頼するようそそのかしましたよね?」
ド直球の問いに泰子は、面を食らったような顔をする。
「ま、証拠はないんですが」コウキは取り繕うように言い「では、失礼します」と泰子に礼をし、去っていった。
去って行くコウキを見ながら、泰子はぼそりと「危なかった」と呟くのだった。
完




