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不穏な動きをする不良グループ

「ふ~ん」


 リーダーの柴田が納得すると、子分たちも何も言わなくなった。


 それから、柴田率いる不良五人組は、自分らのステータス画面を眺めながら、ひそひそ話をはじめている。


 焦っているのかな?


 あまり強く言うと、ラノベやアニメの見過ぎって言われるかもしれない。でも、二次元作品に照らし合わせるなら、これがデスゲームである可能性はゼロじゃない。


 そう思えばこそ、早くレベルを上げて強くなって、死ににくくなりたいという気持ちはわかる。


 でもまだだ。


 俺も、いずれはみんなでレベル上げをするつもりではいる。


 けど、それは一度王都へ行って、落ち着いて、色々と情報集めや準備を終わらせてからだ。


 そう考えてから、俺は自分のテントに戻った。すると、ランプの灯りテントのなかには、好美がひとり座っていた。


「好美?」

「月兎」


 俺の顔を目にすると、好美の表情は少しやわらかくなる。


「どうかしたのか?」

「うん、ちょっとね……やっぱりひとりだと、不安で……」


 好美が視線を落とすと、俺は歩み寄って彼女に声をかける。


「そうだよな。誰だってこんな状況になったら不安になるよな。でも大丈夫だよ。俺らはレベル高いし。みんなだって俺らがうまく立ちまわれば、きっと守れるよ」


 もっとも、服部の指示した隊列は、クラスカーストの三軍二軍を盾にして、一軍を守る陣形だ。


 しかも肝心要の俺と好美は中央。


 みんなを守り切るには、危険なレッドエリアを避けて、安全なグリーンエリアを通るしかない。


「……やっぱり、月兎は優しいね」

「そうかな……」


 俺は自分のことを、優しいのではなく、臆病だと思っている。


 みんなを助けようとするのも、正義感ではなく、あとで後ろめたさを感じたくないから、という気がする。


 そんなことを考えていると、俺は好美の格好が気になった。


 好美は、太陽神の加護がついた吟遊詩人の装備をしている。


 これは結構なレアアイテムで、持っているプレイヤーはそう多くない。


 加えて、八六レベルという数字。


 俺は、とある予感を口にした。


「なぁ、もしかして好美って、コタツさん?」


 好美の頬が、かぁっと赤くなる。


「……うん」

「やっぱりか。なんつうか、すごい偶然だな」


 コタツさんは、モンスレでよく一緒にクエストをしたフレンドだ。


 でもそれが、まさか好美だとは思わなかった。


「日本中のゲーマーがプレイしているのに、まさか幼馴染の好美がコタツさんだったなんて、世間は狭いな」


「そ、そうだね」


 好美はうつむきながらも視線は俺に合わせたままだから、自然と上目づかいになる。その姿はたいそう可愛くて、なんだか胸がぽかぽかしてくる。


「ねぇ月兎、少し、これからのこと話さない?」

「そうだな。モンスレ経験者は俺と好美だけみたいだし。作戦たてようぜ」


 その夜。俺と好美はいままで一緒にプレイしてきた思い出話をしながら、レベル一のみんなをどうやって強くするかを話し合った。

   

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