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AIオタクは恋をする  作者: 寺田ゆきひろ
第ニ章 女難の愛斗くん
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第九話 詩織と愛斗の出会い

 早いもので、愛斗達が入学してから一カ月半が過ぎて季節も段々暑くなってきた。

 そして、もうすぐ、中間試験の時期でもあった。

 相変わらず、麗花、美香は三人一緒に愛斗の席でおしゃべりをしていた。

 クラスの男子は、愛斗達を見て羨ましそうに見ていた。「神崎さん、なんで、あんなやつと一緒にいるんだ」と話していた。


 すると美香が「たまには、試験勉強、一緒にやらない」と麗花、愛斗に話していた。

 何気に近くにいて、うろうろしていた詩織も聞いていて「私も、ご一緒させてくれないかしら」と話してきた。

 麗花と美香は、断ろうとしたが愛斗が「いいよ。一緒やれば、わからないところは教え合えるからね」と言ってしまった。

 麗花と美香は、「もう」と心で思っていた。

 まわりの男子は「神崎愛斗めぇ、可愛い神崎さんと堂島さんを独り占めにしやがって」と妬んでいた。

 結局、四人は話し合って、学校が終わってから愛斗の家で一緒に勉強することになった。

 そこにクラス委員長の小泉京香も声をかけてきた。

「ねぇ、勉強するのなら、私もご一緒してもいいかしら」と京香が言った。

「いいよ」と愛斗が答えたが、麗花と美香は「この人なんで、いきなり声をかけてきたの」と思っていた。

 小泉京香は、メガネをかけていて、インテリぽい感じである。メガネを外せば美人タイプな女の子で、髪型はセミロングだ。最初のホームルームでクラス委員長に選ばれた行動派の女の子だ。


 一日の授業も終わり、愛斗、麗花、美香、詩織、京香は学校を出て愛斗の家に向かっていた。

 途中、読者モデルのアヤカがうろついていたのが見えたが麗花達がガードしていたため声をかけられず諦めて帰って行った。

 愛斗の家の近くにあるコンビニで飲み物とお菓子を買って愛斗の家に着いた。

 愛斗は、「どうぞ」と言って、愛斗を含む四人は、家に入りリビングに入った。

 早速、麗花は、手際よくキッチンに行きコップとお皿を用意していた。

 詩織は「え、何故、コップとお皿の場所がわかるの。手際いいわね。たしか、幼馴染って立花さんから聞いたから愛斗くんの家にもきているのかな」と思った。「やっぱり、神崎さんとは差があるわね。悔しい」と感じていた。

 麗花がコップを持ってくると詩織は「私がジュースを入れるね」と言って、皆んなのコップにジュースを入れた。

 詩織は少しでも愛斗に近づきたいという思惑があるのと京香は愛斗と二人っきりになり、話しをするきっかけを作りたいという思惑があった。


 リビングには、六人が座れるテーブルがあった。

「ねぇ、愛斗くん、こっちに座ろ」と詩織が愛斗の手を引っ張って愛斗の右隣りにさっさと座った。

 麗花は、「堂島さん、素早いな。先を越された」と思いながら、仕方なく愛斗の左隣りに座った。

 そして、麗花の前に美香、愛斗の前に京香が座った。


「ねぇ、何から始める」と詩織が言った。

 結局、五人で話し合い、詩織、美香、京香が苦手な数学から始めることになった。

「ねぇ、愛斗くん、数学が得意だよね。ここがわからないんだけど教えて」と詩織が愛斗にくっついて話しかけた。

 すると麗花が「じゃ、私が教えてあげる」と言って割り込んだ。

 詩織は「このぉ。お邪魔虫」と思いながら「むっ」としていた。

 このような感じで、雰囲気がピリピリしていた。

 愛斗は「うっ…、なんか気まずい。あまり、かかわらない方がいいかも」と思ってしまったのだった。


 結局、わからないところを教え合って勉強も進み、日が暮れてきた。「そろそろ、お開きにしましょ」と美香が言って今日の勉強はお開きになった。

 愛斗は、なんか「ホッ」とした。「なんか、生きた心地がしない」と思っていた。

 愛斗以外の四人は、「今日は帰るね。また、試験勉強しようね」と言って愛斗の家を出た。 

 玄関を出たあと、麗花が「堂島さん、私、話しがあるの」と声をかけた。

「ちょうど、私も話があるの」と詩織も同意した。

「じゃ、そこの角に曲がったところに公園があるから、そこに行きましょう」と麗花が話した。

「じゃ、私は行きますね」と京香は言って公園の方とは逆の方へ歩いて行った。

 麗花と詩織と美香は、歩きながら角を曲がって公園の方へ向かった。


 そして、三人の影が見えなくなったら、京香は戻って来て愛斗の家に行きチャイムを鳴らした。

 愛斗は出て来て、「どうしたの小泉さん」と話した。

「ちょっと、話があるんだけど、アイトー・フランクス君」と言った。

「えっ」と愛斗は吃驚した。

「入っても、よろしいかしら。愛斗くん」

「はい。なんで僕がアイトー・フランクスだと知っているの」

「たまたま、話しを聞いてしまったのよ。アイトー・フランクスが愛斗くんだということ」

「あぁ、そうなんだ」

「でも、あまり世間に知られたくないんでしょ」

「あぁ、そうだよ」

「ふふふ、じゃ、愛斗くんのこと、私も黙っててあげる」

「本当、小泉さん」

「えぇ、そのかわり、これからは私の言う事を聞いてほしいの」

「えっ、どんなこと」

「じゃ、私、クラス委員長だから雑用が多いのよ。まずは、愛斗くん、副委員長になってよ。それで、雑用は全部やってくれる」

「えぇ、なんで」

「いいじゃない。黙ってあげるのだから。愛斗くん」

「わかりましたよ、小泉さん」

「よろしい。あと、何かと一緒に行動してもらうからお願いね」

「はい、はい」

「それでは愛斗くん、じゃあね、明日から宜しくね」と言って、京香は帰って行った。

 玄関を出たあと、京香は思った「あの、アイトー・フランクスを小間使いにできるなんて、超楽しい」と、はしゃいでいた。


 その頃、公園では、麗花、詩織、美香がベンチに座って、話しを始めた。

「神崎さん、話って何」

「堂島さん、愛くんをからかっているのだけなら、やめてくれるかな」と麗花は話した。

「神崎さん、私、からかっていないわ」

「じゃ、堂島さん、本気だというの」

「私、本気よ」

「前から愛くんのこと知っていたみたいだけど、何処で知り合ったの」と麗花が聞いた。

 美香も、「堂島さん。私のパパから頼まれたんじゃないの」と聞いた。

 そのとき、詩織は、少し黙って考えていた。


「頼まれたって、どう言うこと美香」と麗花が聞いた。

「ごめんね。麗花、パパが愛くんに恋愛させようと色々な女の子に頼んだのよ」

「えっ、本当、じゃ、堂島さんも美香のパパに頼まれたの」と麗花が話すと詩織は話し出した。

「そうよ。最初、立花さんに頼まれたわ。愛斗くんを誘惑してほしいって、だけど、この前、断ったの」と詩織は話した。

「えっ、断ったの。どういうこと堂島さん」

「気が変わったのよ。あなたはアイトー・フランクスという人物は、ご存知かしら」と詩織は麗花に聞いた。

「知っているわ、堂島さん」

「愛斗くんとの関係も」

「知っています」

「じゃ、話しが早いわね」と詩織は言って愛斗との出会いから話し出した。


「最初、愛斗くんと会ったのは、愛斗くんが来日して直ぐの取引先会合パーティーだったの」

「私は、愛斗くんとお近づきになる為だけに参加したの」

「まわりの人は、愛斗くんのことベタ褒めしたり、ゴマすりしていたわ」

「お近づきになりたい、一心で、取引先の社長令嬢達も愛斗くんにすり寄って、ちはほやしていたわ」

「なんか、それを見ていたら、だんだんバカらしくなってきて私は嫌だった」

「私も同じだったの。堂島の娘だから、御曹司か知らないけど男の子が近寄ってきて、ちやほやされたわ」

「いい加減、嫌気がして外に出て庭のベンチに座っていたの」

「そんな時かしら、愛斗くんが来て声をかけてきたの」と詩織は、そのときのことを話し出した。


「君、どうしたんだい」

「えっ、アイトーさん。こんなところにいていいんですか」

「あ―、いいよ。ちょっと、飽きちゃって」

「そうですか。アイトーさんは、まわりが集まって大変だったんじゃないですか」

「別に大変ではないよ」と愛斗は答えた。

「色々と挨拶とか、気を使ったり」と詩織は話した。

「気なんか使わないよ。僕のところに集まっても、あまり興味がないんだ、どうでもいいことだよ」

「えっ、どうでもいいって、アイトーさんは冷たいのね」

「本気で、僕のことを気にして来てくれるなら、僕は本気で相手をするよ。そういう人は大事にしたいし、一緒に何かしたいと思うよ。だから、本気か上部だけかの違いさ」

「へ―、そうなの。でも、私は気にしてしまうかな。多分、相手に左右されてしまうな」と詩織は上を向いて話した。

「まわりが騒いでも関係ないんだよ。自分は自分なんだから」

「自分は、自分」と詩織は真っ直ぐ前を見て声を出した。

「そう。まず、自分が何をしたいのかだよ」

「僕は、自分がやりたいことは自分でやってきた。AIの研究したければAIの研究機関を作った。だから自分次第なのさ」

「アイトーさんは、凄いですね。自分で何でもやって」

「僕は別に凄くはないよ。僕、一人の力じゃないさ。皆んなが助けてくれたおかげだよ」

「私は、やりたいこともなかったな。まわりに左右されて流されて、やりたくないことも仕方なくやっていたわ」と詩織が言うと

「まわりは関係ないんだよ。やりたくなければやらなくていいんだよ」と愛斗が答えた。

「やらなくてもいいの。アイトーさん」

「そうさ、自分が何をしたいのか。そして、やりたければ行動すればいいのさ」

「そうか…、アイトーさん、ありがとう。自分が何をしたいのかですね。なんか吹っ切れました」と詩織は元気が出た。

「そうだよ。まぁ、頑張って」とアイトーは詩織を励ました。


 こうして、詩織は愛斗と出会ったときのことを話した。

「今の話しが私と愛斗くんの出会いだったの」と詩織は淡々と話した。

 そして、詩織はさらに話した。

「その時、私は確信したわ。あぁ、これが本当のアイトー・フランクスなんだ。意志の強さがあり。まわりを魅了する人柄なんだなと思ったわ」

「同じ歳なのにね。私なんかとは全然違う。凄く、尊敬できる人だなと感じたの」と詩織は話した。

「そう、そんなことがあったの」と麗花は話し、「私の知らない愛くんだな」と麗花は思っていた。


 そして、詩織は「そうしたら、いつのまにか愛斗くんのことばかり考えてたの。また、会いたいと思ったの。これが私の本心なの」と話すと麗花は、「えっ、まさか」と声を出してしまった。

「そう。これが好きと言うことなんだ。私の初恋なんだと思ったの」と詩織は顔を赤くしながら正直に話した。

 麗花は、「そう」と言って、「堂島さんは、私とは違う部分の愛くんを好きになったのだな」と思った。

「だから。また会いたいと思って東京に来たの。再会できることを楽しみにしていたら、愛斗くん、覚えていないのよ。凄く、ショックだったわ。会ったときは、暗かったから顔は見えなかったかも知れないけど」と詩織は話した。

「ふふふ、愛くんらしいわね」と麗花は言った。


 少し間をおいて、詩織は「だから、私、本気よ。神崎さん、私、あなたに負けない」と麗花に声をかけた。

 麗花も覚悟を決めて、「堂島さん、本気なのね。でも、愛くんは絶対、渡さないよ」と話した。

「じゃ、神崎さん、勝負ね。それと、私のことは、詩織でいいわ」

「わかったわ。私のことも麗花でいいわ。勝負よ」と話した。


 今まで、話しを聞いていた美香が「でも、その前にアヤカとか保健医は、なんとかしないといけないのでは」と話した。

「そうね、勝負は、それまでお預けにしましょ」と詩織は話した。

 麗花も、「そうね。共同で対処しましょう」と二人は誓いあったのだった。



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