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AIオタクは恋をする  作者: 寺田ゆきひろ
第ニ章 女難の愛斗くん
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第七話 編入生

 今日は、快晴だ。

 天気も良く、実に気分良く愛斗は目が覚めた。

 退学問題も解決し、最近は平穏な日々が続いている。早いもので、学校に入学してから一カ月たった。


 今日も相変わらず、麗花は愛斗を迎えに来て一緒に学校に向かっている。

 近頃、愛斗はダブルAIチップのことばかり考えていて、歩いている途中に麗花が話しかけても、上の空であった。

「もう、愛くん聞いているの」と言うと

「え、なんだっけ。麗花ちゃん」と答える始末であった。

「もう」と話しながら学校に着いた。


 教室に入ると、まわりは「今日、編入生がくるんだって」と話していた。

 そうすると愛斗と麗花の席に美香が近寄って声をかけてきた。

「今日、女の子の編入生が来るらしいよ」と話した。

「そうなの、どんな子なのかね」と麗花は愛斗に話しかけた。

 愛斗は「ふうん」と言って、興味がなかった。また、AIのことを考えていたからであった。


 すると、先生と編入生が教室に入ってきた。

 まわりは、「ざわざわ」しだした。

 編入生は、セミロングのツインテールで、色白で細身の可愛い女の子だった。少し小柄だがスタイルの良い子という感じだった。

 男子も女子も、「凄く可愛い」「お人形さんみたい」と声が聞こえた。


「朝のホームルームを始めます。今日から新しい生徒がこのクラスに入ります。じゃ、自己紹介をお願いします」と中尾先生が話した。


「おはよう御座います。堂島詩織といいます。大阪から来ました。東京には、とても会いたい人がいましたので来ました。それでは宜しくね」と挨拶をした。

「え、会いたい人、もしかして、好きな人ですか」と女子が聞いた。「はい。憧れている人です」と答えると、男子は、「え―、なんだよ。好きな人がいるのか」と男子は残念がった。


「堂島って、有名な家電メーカーの堂島一族って大阪にあったよね。関係あったりして」と一人の女子が言った。

「はい、堂島家の娘です」と詩織は答えた。

「えー、堂島の御令嬢だね」と皆んな吃驚した。

「皆さん、家のことは関係ありません。普通に接してくれると嬉しいです。宜しくお願いしますね」と言った。

 そして、愛斗のほうを見て、ウィンクした。

 愛斗と麗花は、「えっ」と思った。


「じゃあ、あそこの席が空いているので座って下さい」と中尾先生は言った。

 席は、愛斗とは逆の席である窓側の後ろの席に詩織は座った。


 そして、休憩時間になると皆んなは、詩織の席に集まった。

「ねぇ、詩織ちゃんの好きな人って何処にいるの」と質問すると「近くにいます」と答えた。

 色々と詩織は質問責めにあって、にぎやかに話しをしていた。

 だが、ときたま詩織はチラッと愛斗を見ていた。


 愛斗は、詩織に興味がなかったため、自分の席で考え事をしていた。麗花と美香も愛斗と一緒にいた。

「麗花、すごいね。堂島さん」と美香が言った。

「そうね」と麗花は言い、麗花は愛斗が詩織に興味がなかったことになんとなく嬉しく感じた。


 今日の授業も終わり、愛斗達は、帰り支度をしていた。

 相変わらず、詩織のまわりにはクラスメイトが集まっていた。

 詩織は、「ごめんなさい。私も帰りますね」と言った。「じゃ、皆さん。ごきげんよう」と言って教室を出たのだった。


「さぁ、帰りましょ」と麗花が言って、愛斗と美香は教室を出た。

 三人は校門を出て、少し歩くと堂島詩織が待っていた。

「あら、堂島さん」と美香が声を出した。

 すると、詩織が近づいてきた。

「さっき、話しが出来なかったので、待っていました」と詩織が言った。

「あぁ、そうですね。宜しくね。私、神崎麗花です」

「私は、立花美香です」と自己紹介をした。

「宜しくお願いしますね。愛斗くん、さっき私のところに来てくれなかったのね。どうして」と詩織が聞いた。

 麗花と美香は、「なんで、愛くんの名前を知っているの」と思った。

 愛斗は「あ、ごめん。考え事をしていたんだ」と答えた。愛斗は、AIのことで頭が一杯だったのだ。

「あれ、でも、堂島さん、なんで僕の名前を」と聞いた。

「だって、私が会いたかったのは、愛斗くんですもの」と答えた。

 美香は「ええー」と吃驚した。麗花も吃驚して、戸惑っていた。

「愛斗くん、私のこと、覚えていませんか」

「ごめん。覚えていないよ」

「覚えていないんですか…、今度、思い出してもらいますね。今日は用事があるので帰ります」と言って、帰って行った。


 詩織は、この後、エイアイケーの本社に行き、立花俊介と会う約束をしていた。詩織は、愛斗とのことを話すために俊介と会ったのだった。


 詩織が行った後、「ねぇ、愛くん。どういうこと」と麗花が聞いた。

「僕にも、わからないよ」

「もう、まったく」と麗花は言って先に行ってしまった。

「ねぇ、美香ちゃん、麗花ちゃんは何で怒っているのかな」と聞いた。

「まぁまぁ、色々あるのよ」と美香は言った。


 次の日、学校に行くと校門の前で詩織が待っていた。

「おはよう、愛斗くん」と声をかけてきた。

「おはよう」と愛斗は返事をしたが、麗花は無言だった。

「あら、神崎さんもいたのですか」と言いながら、詩織は愛斗と腕を組み胸を押し付けてきた。

 愛斗は、「えっ」と思いながら、詩織の胸が腕に当たって「彼女の胸も柔らかくて気持ちがいい」と思ってしまった。


 すると麗花は、「何、やっているのよ」と愛斗の手を引っ張って、詩織と愛斗の間に入った。

 詩織は、「えぇ」と声を出し吃驚してしまった。

「さぁ、行きましょう。愛くん」と言って、麗花は手を繋いで引っ張って行ってしまった。


 二人は、教室に入り、後から詩織も教室に入ってきた。

 美香が「どうしたの。なんか怒った顔をしているよ」と聞くと麗花は「なんでもない」と答えた。

 授業が始まり、あっという間に一日の授業もの終わった。

 愛斗、麗花、美香は、一緒に帰ろうとしたところ、三人のところに詩織が寄ってきた。

「神崎さん、さっきは酷くない」

「なんで、堂島さん」

「私が愛斗くんと一緒にいるところを邪魔したじゃない」

「堂島さんこそ、愛くんとくっついて」

「いいじゃない。あなた、愛斗くんのなんなの」

「私は…、愛くんの幼馴染だから」

「幼馴染なんだ、じゃ、彼女でもないのね。私ね、愛斗くんが好きなの。愛斗くんの彼女になりたいの」と詩織が話すと、麗花とまわりのみんなが驚いた。

「えぇ、もしかして堂島さんが会いたい人って神崎愛斗なの」、「なんで、こいつなんだ」、「可愛い子ばかり独り占めしゃがって」とかまわりから声があがった。

 麗花は「本気なの。堂島さん、愛くんの何がわかるというの。からかっているだけなら、やめて」と話した。

「私は本気よ。神崎さん。だから私達の仲を邪魔しないで」と詩織は答えた。

 麗花は、戸惑って何も言えなかった。

 愛斗も、戸惑っていた。今まで女の子から告白されたのは、初めてだったからだ。


 美香が「とりあえず、今日は帰りましょ。愛くんも困っているようだし。堂島さんも麗花も」と話した。

「僕、トイレに言ってくるよ。少し、待っていて」と愛斗は教室を出ようとした。

 教室の出口付近でクラスメイトの男子三人が愛斗の足を引っ掛けた。

 愛斗は、足に引っかかって、転んで足をぶつけ擦りむいた。

「愛くん」、「愛斗くん」と麗花と詩織が心配して、愛斗のところに行った。

「大丈夫」と二人は愛斗に声をかけた。

「うん、大丈夫だよ。擦りむいたから保健室に行ってくるよ」

「あなた達、なんてことをするの」と麗花は言った。詩織も「私が愛斗くんのこと好きだからって、妬まないで」と言った。

 男子三人は、「ちょと、引っ掛かただけだよ」「可愛い子ばかり独り占めしやがって」と言って教室を出たのだった。

 その場にいた女子も「なんで、神崎さんや堂島さんが、こんなエロゲーオタクなんか相手にするんだろう」と話していた。


 愛斗は、保健室の前まできてドアをノックすると「はーい。どうぞ」と声が聞こえた。

「失礼します」と愛斗は入った。

「あら、あなた、神崎愛斗くんね」と保健医が言った。

「あれ、僕の名前を」と聞くと、「立花さんから愛斗くんのこと聞いているわ。私は立花泉」と答えた。

 愛斗は、「そうなんだ、宜しくお願いします」と言った。


 泉さんを見て愛斗は、「綺麗な人だな。麗花ちゃんと違ったタイプだな。麗花ちゃんは可愛いけど、泉さんは美人さんだな。胸も麗花ちゃんと同じぐらい大きい」と思った。


「今日は、どうしたの」と泉が言った。

「足を擦りむいた」

「じゃ、消毒しましょう」と泉は言った。

 泉は、消毒したあと、カットバンを貼ってくれた。

「ねぇ、愛斗くん、あなた可愛いわね」

「えっ、そうですか」と愛斗は答えると「可愛いから抱きしめちゃう」と言って、泉が愛斗を抱き寄せて泉の胸に顔を埋めた。

 愛斗は、「うっ、苦しいい。だけど、弾力があって気持ちがいいな」とも思っていた。


 すると、麗花、詩織、美香が「失礼します」と入ってきた。

 三人は、「えっ」と吃驚した。

 麗花は「何、やっているの」と叫んだ。

 詩織は「愛斗くんにちょっかい出さないで」と叫んだ。


「あらあら、別にいいんじゃない。彼、可愛いし。誘惑したくなったの」と泉は言った。

 麗花と詩織は、抱き合っていた愛斗と泉を突き放し、愛斗を引っ張り出した。

 麗花は右腕、詩織は左腕をしっかり組んでいた。

 泉は、「あらあら、君、モテるのね。可愛いからかしら。治療も終わったし、もう、帰っていいわ」と言った。

 麗花と詩織は、「じゃ、失礼しますね」と愛斗を連れて保健室から出て行った。

 美香は、「あなた、泉さんだよね。パパと一緒にいるところ見たことがあるわ」と言った。

「さぁ、知らないわ。じゃ、忙しいので、出て行って」と泉は言った。

 美香は、疑いながら保健室を出て行った。


 ただ、保健室のベッドで寝ていた生徒がいた。

 同じクラスの委員長である小泉京香だった。少し、うるさかったので目が覚めて、一部始終を聞いていたのだ。

 京香は、「何故、神崎愛斗は綺麗な女子に好かれるのだろう。エロゲーオタクが」と不思議だった。

 そして、ベッドから起きて、「先生、今、目が覚めました。ありがとうございます。体調も良くなったので帰ります」と言った。

「はい。お大事にね」と泉は答えた。そして、京香は保健室を出た。


 そのとき、麗花、詩織は、愛斗の腕を組みながら、教室に戻ってきたが、教室には、誰もいなかった。

 二人は、「あの保健医、危険だわ」と思っていた。

 愛斗は、「麗花ちゃんと堂島さんの胸が腕に当たって、柔らかくて気持ちがいい。でも、この気持ちがいい感覚は、AIに搭載するのは無理か」とAIのことを考えていた。


 だが、愛斗は、麗花と詩織に「無防備過ぎる」とひたすら、二人に怒られていた。

「はい、はい」と言いながら、「なんで、怒られなければならないのだろう」と愛斗は思っていたのだった。



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