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AIオタクは恋をする  作者: 寺田ゆきひろ
第一章 日本における学生生活の始まり
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第四話 愛斗、つまはじき

 翌日の朝になり、愛斗はスヤスヤとベットの中で気持ち良く寝ていた。

 すると部屋のドアが開いた。

「愛くん、朝だよ。学校だよ」と麗花に起こされた。

「え、なんで、麗花ちゃんがいるんだ」と寝ぼけていた。

「え、じゃないよ。朝ご飯できているよ」

「朝ご飯、作ってくれたの。なんか嬉しい。これは新婚さんみたいだ」

「もう、バカなことを言ってないで、さっさと起きるの」

「へっへ、でも、ありがとう」と言って愛斗は起きた。

 麗花は、「アンナさんの苦労がわかるわ」と言いながら、愛斗と一緒に朝ご飯を食べていた。

 朝ご飯も食べ終わり、麗花と一緒に家を出た。


 学校の近くまで行くと壁に寄っかかっている中田一樹を見かけた。

 愛斗のことを睨んでいたが、愛斗と麗花は無視して通り過ぎた。


「どうしたんだ。一樹」と兄の孝一が寄ってきた。

「兄貴、あの二人を見ていたんだ」

「あの女、凄く可愛いいな。あの女を自分の女にしたいのか」

「そうなんだ。だけど、あの男が邪魔で」

「そうか、おい、三田」

「はい、中田先輩」

「あの女と一緒にいる男のことを調べろ。弱みを握るんだ」

「はい、わかりました先輩」と三田は返事をした。

 そして、孝一は、どうしてやろうと悪だくみを考えていた。


 一日の授業が終わり、愛斗と麗花は帰り支度をしていた。

「愛くん、私、美香と買い物があるから、先に帰っていて」

「うん、わかった。先に帰るね。僕も用事があるから」と言って愛斗は、先に学校を出た。


 愛斗は、「まだ、望月さんとの待ち合わせまで時間があるな。たまには恋愛シミュレーションゲームのソフトでも見るかな」と思って、近くのゲームソフトの店に入った。


 そのとき、三田は愛斗をつけていた。

 愛斗は、面白いゲームはないか見ていると三田も、愛斗の様子を見ていた。

 おもしそうなゲームを見つけ、そのゲームを取り出して、レジに持っていった。

 三田は、「恋愛シミュレーションゲームが好きなのか。中田先輩に報告しよう」と思った。

 そして、愛斗はゲームを購入して店を出て、待ち合わせ場所に向かった。


 三田は、さっそく、中田一樹の兄である中田孝一と合流して報告した。

「そうか、恋愛シミュレーションゲームが好きなのか。だけど面白くないな。よし、恋愛ゲームではなく、あの男は、エッチゲームばかりやっているエロゲーオタクと噂をばらまけ」と孝一は三田に命令した。

「先輩、噂をばらまいて、どうするのですか」

「特に女子からは、キモいと思うように仕向けるんだよ。そして、つまはじきにするんだよ」

「なるほど、わかりましたました。SNSや色々な方法で噂をばらまきます」と言って、三田は帰ってから直ぐ行動した。


 ゲームを購入した後、愛斗は駅前の喫茶店に入った。今日、望月さんと話しをするため、待ち合わせをしていた。

 店の中を探して愛斗は見つけ、「望月さん。待ちました」と呼んだ。

「大丈夫ですよ。愛斗さん。定員さん、コーヒーをもう一つお願いします」

「はーい」

「それで、今日は、何の話しですか」と早速、望月は聞いた。

「この前、話していたダブルチップ化の方針だけど、そもそも考え方が間違っていると思って」と愛斗が言った。

「間違っていると言うのは、外部から受け付けて、メインとサブのAIチップに分散して処理する考え方がですか」

「そうだよ」

「じゃ、どういう考え方が」と望月は聞いた。

「外部からの受け付けはメインのAIチップに任せて、サブのAIチップは、家の面倒を見ればいいんだよ」

「えっ、どういうことですか」

「もともと、AIチップには内部チェック機能があって、正常に動けるかチェックするんだけど、メイン側のチェック機能は停止して、サブ側が内部チェックを受け持つんだ」

「あ、そういうことですか、完全に役割を固定してしまうと言うことですね」

「そう、メイン側は外部受け付けに特化できるので性能もアップできるし、サブ側は内部チェックするのが早くなるから故障チェックも強化できるよ」

「あ―、そうか、そうしたら性能も向上するし、品質も高まりますね」

「そうだよ、望月さん。どうかな」

「凄いですよ、愛斗さん。流石ですよ。悩みが解消できました」

「良かった」

「あ、コーヒーもきたから飲んでください」と望月は言い、愛斗と色々なことを話した。

 話しも終わり店を出た二人は、ここで別れた。望月は喜んで帰って行ったので、愛斗も嬉しかった。

「よし、構想も固まったし、あとは望月さんが考えるだろう」と思って満足して家に帰った。


 しばらく、平穏な日々が続き、学校に通い始めてから一週間たった月曜日のことだった。

 相変わらず、愛斗は麗花ちゃんに朝、起こされ朝食も作って貰っていた。

 いつも、ありがとうと感謝し、麗花と愛斗は一緒に登校した。

 学校に着き、教室に入った二人は異様な雰囲気に気がついた。

「なんなの、これ」と麗花は思った。

 まわりは、愛斗のことをジロジロみて「キモい」「最低」「学校に来ないでほしい」と声が聞こえてくる。

 すると、美香が麗花と愛斗のところに来た。

「麗花、大変よ」

「どうしたの、美香、そんなに慌てて」

「愛くんの噂、聞いた」

「なにが」と麗花が答え、「え、僕のこと」と愛斗も言った。

「愛くんが、エロゲーオタクでエッチなゲームばかりやっているという噂よ。セクハラまがいのこともやっているとか、凄い噂になっているのよ」

「なんで、そんな噂になっているの」と麗花と愛斗は吃驚した。

「女子からは、キモいとか、セクハラされるとか、エッチなゲームを学校で配ったとか大騒ぎよ」

「ひどい、それ。愛くんはそんなゲームなんてやっているとこ見た事ないよ」

「ほんとに麗花」

「本当よ。恋愛ゲームは良くやっているけど」

「僕も、そんなゲームはやってないよ。学校で配ったなんて嘘だよ。持ってもないし」

「そうだよね。だれが、こんな噂を」

「あ、先生が来た」と美香は言って自分の席に戻った。


「朝のホームルームを始めます。神崎愛斗くん、放課後、校長室に来てください」と中尾先生が言った。

「え、なんで」と愛斗が声を出した。

「校長先生が話しをしたいそうです」と話した。

 それを見ていた中田一樹は、「ヘッヘッヘ」と笑っていた。

 美香は、中田が笑っているところを見て「なんで、中田は笑っているの」と不思議に思った。


 本日の授業が終わり、放課後になった。

 愛斗は校長室に行こうとしたところ「愛くん、私達、教室で待っているから」と麗花と美香が言った。

「わかった。待ってて」と返事をして、校長室に向かった。


 愛斗が教室から出たあと、麗花と美香のところに中田一樹が来た。

「なに」と美香が言った。

「お前には、用はない。神崎、俺と付き合えよ。あんな、エロゲーオタクなんかやめて。セクハラされるぞ。一緒にいるのもキモいだろう」と中田が言った。

「あなたには、関係ないでしょ。あなたとは絶対に付き合いません」と麗花が言うと美香が「あ、もしかして、あんたの仕業」と意気込んだ。

 中田は、「しらねーよ」と答えた。

「あなたの顔なんか見たくないわ。どっか、行ってよ」と麗花が言った。

「なに―、このくそ女、可愛い顔しているからって、いい気になるなよ」と言って教室から出て行った。


 その頃、愛斗は校長室のドアをノックした。

「五十嵐先生、入ります」と言って校長室に入った。

「待っていたわ。愛斗くん。早速だけど、あなたが噂になっていることが問題になって職員会議をしたの」

「そうですか」

「一応、確認だけど、やっていないよね」

「はい。先生」

「あなたのことだから、噂は本当ではないと思っているわ。私の一存で保留にしたけど、教頭は納得していなかったわ」

「先生、ありがとうございます」

「ただね。学校の理事長の耳にはいると問題になるかも知れないの、理事長は、この学校で権力があるから。それが心配」

「とりあえず、ありがとうございます」

「今日は、もういいわ。注意してね」

「はい。先生」と言って校長室から出た。


 先程、教室を出た中田一樹は校門まで行き、兄の孝一と郷田陽太と会っていた。

「どうだった。一樹」と兄が聞くと

「兄貴、キッパリ、振られた。あのくそ女、駄目だあの女は、もう、いらねえ」と一樹は言った。

「じゃ、俺が貰ってもいいか。相当、可愛いという噂だからな」と郷田が言った。

「いいですよ。先輩。あの女を滅茶苦茶(めちゃくちゃ)にしてやって」

「わかった。散々もてあそんだら、お前達にくれてやるよ。ヘッヘッヘ、あ―、楽しみだぜ」と話し合っていた。


 愛斗が教室に戻ると心配していた麗花と美香が待っていた。

「愛くん、どうだった」と麗花が心配して声をかけた。

「大丈夫だったよ。校長先生がフォローしてくれたおかげで、おとがめはないよ。先生も噂だけと思っているらしい」

「あぁ、良かった。安心した」と麗花はホッとした。

「帰ろうか」と美香が言って教室を出た。


 三人は、校門を出ると中田一樹、兄の孝一、そして、郷田がいた。

 郷田は、「おい」と麗花に声をかけた。

 麗花達は、無視し通り過ぎようとした。すると、麗花の肩を(つか)まれた。

「なにするの」と麗花は怒った。

「お前、なに無視しているんだ」と郷田が言った。

「やめて、離して」

「お前、実に可愛いな。俺の女にしてやる」

「あなたの女になんかになりたくないわ」と麗花は言うと愛斗も「やめて下さい」と郷田の手を払った。

「なんだお前、引っ込んでいろ。こいつか、この女にくっついている男というのは」

「おい女、この男がどうなってもいいのか。親父に言えば、こいつは直ぐ退学だ。親父は学校の理事長だからな。それが嫌なら、俺の女になれ」と郷田は脅迫した。

 麗花は「誰が、あんたなんかの女になるもんですか」と言った。


 その時、はっと美香は思い出した。

「こいつが郷田なの。私の大事な先輩を滅茶苦茶にした奴」と美香は郷田を(にら)みつけた。

 郷田は愛斗の胸ぐらを掴むと「お前たち、何やっている」と声がした。声をかけたのは、望月だった。

「くそ、邪魔が入ったな」と言って、郷田は掴んだ手を離した。

 そして、渋々と中田兄弟と郷田は去って行った。


「あれ、望月さん」と美香が声を出した。

「あ、美香ちゃん。どうしたんだ」

「ちょっと、あいつらに絡まれたの。本当にありがとう。助かったわ」と美香はお礼を言った。

「そうか、大丈夫。気をつけた方がいい」と話し、望月は、愛斗の方へ振り向いた。

 愛斗は、首を横に振って合図した。

 その場を理解した望月は、「じゃ、美香ちゃん、用事ができたから、またね」と言って去って行った。


「ねぇ、美香、あの人、知り合いなの」

「えぇ、パパの会社の人」と美香は答えた。

「そう、でも、なんで、ここにいたのかな」と麗花は聞いた。

「わからない。でも、助かったね」

「そうね」と麗花は返事をした。

「そうだ、麗花、さっきの奴、気をつけた方がいいよ」

「なんでなの、美香」

「あいつは、郷田と言って、この学校の理事長の息子なの」

「そう、それで」

「何かとでっち上げて脅して、女の子を無茶苦茶にした挙げ句、飽きたら捨てるの」と美香は話した。

「え―、なんて人なの」と麗花は吃驚した。

「実は、私の大事な先輩も、あいつの餌食になったの」

「えぇ―本当に、ひどい。かわいそう」

「餌食になった女の子は何人もいるの。郷田の親は政治家にも顔が広いから権力をかさに皆んな泣き寝入りしているの」

「ほんと、ひどい。どうして、そんな人がノウノウとしているの」

「親の七光りよ。今も、脅迫したでしょ。愛くんを退学にするからって、だから、気をつけて」

「そうだね。で、その先輩はどうなったの」

「今、病院に入っているの。精神的なダメージで」

「嘘、それで、あいつは平気でいるの」

「そう、だから悔しい。麗花、今度は、あなたがターゲットにされたから気をつけて」と美香は心配そうに言った。


 話しを聞いていた愛斗も「なんて、奴だ。麗花ちゃん、気をつけてね」と心配そうに話した。

「うん、大丈夫だよ。愛くん、気をつけるよ。愛くんも気をつけてね」と二人はお互い、気をつけようと誓い合った。


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