第三十話 愛斗の誕生日
詩織ちゃんとのクリスマスも終わり、実家に泊まることになった愛斗は、客間に入りベッドに寝転んで思いにふけっていた。
「詩織ちゃんのことは、なんとかなって良かったな。安心した」
「あとは、麗花ちゃんにアメリカ行きのことをどう話せばいいかな」とタイミングを考えていたところ「コンコン」と部屋のドアがノックされた。
「はい」と愛斗が返事をした。
「愛くん、起きている」と詩織の声がした。
「詩織ちゃん、起きているよ」
「愛くん、入ってもいい」
「いいよ」と愛斗が答えると部屋のドアが空いて詩織が入ってきた。
愛斗は、起きてベッドに座っていると詩織も愛斗の横に座った。
「愛くん、今日は、ありがとう。楽しかった」
「詩織ちゃん、僕も楽しかったよ」
「それと、父に話しをしてくれてありがとう」
「いいよ。僕も詩織ちゃんのこと気がかりだったんだ」
「とても、愛くんには感謝しているわ」
「これで、詩織ちゃんも自由に相手を見つけることができるね」
「うん、そうね」
「どうしたの。詩織ちゃん、元気がないね」と愛斗が話すと詩織は、少し黙っていた。
少し、お互い沈黙した後、詩織が話しはじめた。
「私ね。吹っ切れたと思ったけど、まだ、愛くんのことが好きみたい」
「えっ、詩織ちゃん」
「気にしなくて、いいよ。私が好きなだけだから」
「詩織ちゃん、ごめん」と愛斗が言うと詩織は、頭を横に振った。
「わかっていたの。愛くんが麗花のことが好きなのは」
「ほんとうに、ごめん」と愛斗が言うと詩織は、愛斗にキスをしてきた。
愛斗は、そのまま詩織にキスされたまま動かなかった。
詩織が離れると「詩織ちゃん」と愛斗が声をかけた。
「愛くん、最後だから」と言って、もう一度、愛斗にキスをした。
長めのキスをしたあと詩織は、愛斗と離れた。
「愛くん、ありがとう。私の初恋だった。ステキな思い出になったわ」と詩織は言って部屋を出たのだった。
詩織が出ていったあと愛斗は、「詩織ちゃん、ほんとうにごめん。麗花ちゃんと恋していなかったら、多分、詩織ちゃんと恋していたよ」と思いながら、愛斗は、いつのまにか眠りについたのだった。
愛斗が目を覚ますと詩織の声がした。
「愛くん、朝よ。朝食の用意ができているわ」と詩織が言った。
「はい、着替えてから行きます」と愛斗は答えて着替えてからリビングに行った。
詩織の家族と朝食をしてから愛斗はお礼を言って、詩織の家を出たのだった。
愛斗と詩織は、新幹線に乗ってから席に座ると詩織は、愛斗と手を繋いだ。
「愛くん、お願い。品川に着くまででいいから、このまま手を繋いでいて」と詩織は言った。
愛斗は、「うん」と頷いて、このまま手を繋いだのだった。
二人は沈黙したまま、ずっと品川まで行ったのだった。
品川まで着くと詩織は、愛斗に話しかけた。
「愛くん、ほんとにありがとう。もう少しで今年も終わりね。来年も宜しくね」
「うん、詩織ちゃん、クリスマスは楽しかったよ。だけど、ほんとうにごめんね。来年も宜しく」と愛斗は言って、二人は別れたのだった。
愛斗は、麗花ちゃんのことを考えながら、自宅に向かった。
愛斗が家に着くと麗花が家で、待っていた。
「麗花ちゃん、ただいま」
「愛くん、おかえりなさい」
「麗花ちゃん、待っていてくれたの」
「そうよ。早く、帰ってこないかなと思っていたのよ」
「そうか、嬉しいな」
「それで、詩織のことは、どうだったの」
「詩織ちゃんの実家でクリスマスをやった。それで、ちゃんと話したんだ」
「ちゃんとって」
「僕と詩織ちゃんが付き合っていないことを話した」
「えっ、それで、詩織は大丈夫だったの」
「うん、詩織ちゃんのお父さんに話した。無理に詩織ちゃんの結婚相手を決めないでほしいって」
「それで、詩織のお父さんは、何んて」
「お父さんも、わかってくれて、詩織ちゃんの好きなようにすればいいって言ってくれたんだ」
「ほんとうに、良かったぁ」
「うん、ほんとうに良かったよ」
「それと愛くん、忘れているようだけど、明日、愛くんの誕生日だよね」
「あっ、そうだ。僕、明日で十六歳になるんだった」
「明日、愛くんの誕生日会をうちでやることになったの、だから、皆んなで来てね」
「ありがとう、麗花ちゃん。嬉しいよ。そういえば、麗花ちゃんの誕生日も、来月、早々にあるよね」
「愛くんと誕生日が近いからね」
「僕、あまり、誕生日とか祝ってあげたことがなくて、わからないけど、麗花ちゃんに何かしてあげたいと思っているんだ」
「ふふふ、愛くん、嬉しいわ」
「僕、麗花ちゃんと婚約したから、麗花ちゃんに婚約指輪を買ってあげたいんだよ。それでもいいかな」と愛斗は言った。
「ほんとに、愛くん、とても嬉しいよ」
「でも、指輪のサイズとかあるから、明後日、一緒に買いに行かないか」
「いいよ。嬉しいわ」と麗花は返事した後、愛斗にキスをした。
「麗花ちゃんも、キスが好きだよね」
「ふふふ、そうね」と麗花が言うと今度は、愛斗からキスをした。
愛斗が離れると二人は、「ふふふ」と笑い合った。
「愛くん、疲れていると思うから、今日は帰るね。明日の準備もあるから」と麗花は言って自分の家に帰って行った。
愛斗は、麗花ちゃんが家に戻るところを見ながら思っていた。
「はー、どうやって、きりだそう。僕がアメリカに戻ること」と悩んでいた。
すると、アンナとマイクが腕を組みながら帰ってきた。
「あら、愛斗、帰ってきたの」とアンナが言った。
「うん、帰ってきたよ。仲がいいね。二人は」
「ふふふ、愛斗も麗花ちゃんと仲がいいじゃない」
「まぁ、そうだけど」
「それで、愛斗、麗花ちゃんには、アメリカ行きこと話せたのか」とマイクが聞いた。
「話せていない」
「まだ、話していないのか」
「どう、話せばいいか考え中、とりあえず、初詣に誘って、その時に話そうと思っているんだけど」
「そうか、早く話した方がいいけどな」
「そうなんだけど」
「話しは、違うけど、次世代AIチップのことなんだが、予定通り進んでいるからな」
「ありがとう、マイクに任せっきりで、悪いね」
「いいよ」とマイクは、返事をして愛斗と設計的なことを話し合った。
アンナが夕食の用意をして、食事をした後、また、話し合うという感じだった。
夜遅くなってきた頃に話を打ち切って二人は寝たのだった。
次の日、愛斗は疲れていたので目が覚めると昼を過ぎていた。
「あれ、何時だ」と独り言を言うと麗花が目の前で立っていた。
「麗花ちゃん」
「まったく、何時まで寝ているのよ。なかなか、起きないだもん」と麗花は、呆れた顔だった。
「おはよう。麗花ちゃん」
「おはようじゃないわ。もう、午後だし」
「そう。じゃあ、目覚めのキスを」
「もう、仕方がないな」と麗花は言って、愛斗にキスをした。
「ほら、愛くん、早く用意してね。もう、アンナとマイクは、うちに来ているわよ。なかなか、起きなかったって言っていたわよ」と麗花は言って部屋を出てリビングに行った。
しばらくして、「お待たせ」と愛斗は、リビングで待っていた麗花に声をかけた。
「じゃあ、行きましょ」と麗花と一緒に麗花の家に向かった。
二人がリビングに入ると麗花の家族とアンナ、マイクがいた。
「愛斗、やっと起きたの。お寝坊さんね」とアンナが声をかけた。
「へへへ、夜遅くまで、マイクと話しをしていたから」
「でも、マイクは、ちゃんと起きているわよ」
「まぁ、いいじゃん」と愛斗が答えると皆んな笑っていた。
「さぁ、もう夕方になってきたし、始めましょ」と麗花の母梨沙が言った。
梨沙と愛夏は、皆んなのコップにジュースやビールを注いだ。
「愛くん、誕生日おめでとう。乾杯」と皆んなが言った。
「ありがとう」と愛斗はお礼を言った。
愛夏は、「これは、私達からの誕生日プレゼント」と渡された。
そして、アンナとマイクは、「これは、私達からの誕生日プレゼント」と渡された。
「皆んな、ありがとう。プレゼント、開けてもいい」と言って愛斗は、開けた。
麗花の家族からは、家で仕事ができるようにタブレットだった。
アンナとマイクからは、愛斗が好きな恋愛ゲームだった。
「皆んな、ありがとう。嬉しい」と愛斗はお礼を言った。
「愛くん、私からは、これよ」と麗花からプレゼントを渡された。
「麗花ちゃん、ありがとう。開けてもいい」
「うん」と麗花が答えると愛斗は、プレゼントを開けた。
愛斗がプレゼントを開けるとフォトフレームだった。中に皆んなと取った写真、麗花ちゃんとのツーショット写真など入っていた。
麗花は、なんとなく、愛斗がアメリカに戻るのではないかと勘づいていたのだった。
「麗花ちゃん、ありがとう。嬉しい。日本に来た思い出がいっぱいだ」と大喜びだった。
「良かった。喜んでくれて、私も嬉しい」と麗花も言った。
「さぁ、食事しましょ」と梨沙が言って皆んなで食事をしたのだった。
食べ終わったあと、誕生日のケーキを愛夏が出してくれた。
ろうそくに火をつけると、ハッピーバースデーの歌を皆んなで歌った。
愛斗は火を消して、皆んなで拍手したのだった。
「ほんとに、こんな誕生日、初めてだよ。凄く、嬉しいよ、ありがとうございます」と愛斗は、感謝したのだった。
ケーキも食べ終わり、楽しい誕生日会は終わった。マイクとアンナは、麗花の父和人と意気投合して飲んでいた。
愛斗は、ほっといて「先に帰るからね」と言って麗花の家から出た。あとから、麗花も一緒についてきたのだった。
「麗花ちゃん、明日、会社の近くにある店に行こうと思うんだ」
「あぁ、この前、愛くんがクリスマスプレゼントを買ってくれた店」
「うん、そこで、婚約指輪を買おうと思うのだけど、いいかな」
「うん、いいよ。愛くんが買ってくれるものだったら何でも嬉しいよ」と麗花が言った。
「じゃあ、明日」と愛斗は言って、麗花にキスをした。
一度、愛斗が離れると今度は、麗花から愛斗にキスをした。
「明日ね」と麗花が言って二人は、お互いの家に帰ったのだった。




