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AIオタクは恋をする  作者: 寺田ゆきひろ
第一章 日本における学生生活の始まり
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第三話 麗花のお節介

 入学式も終わり、愛斗は恋愛シミュレーションゲームをリビングでやっていた。

「ゲームは、ハッピエンドで終わり、攻略が簡単なんだよなぁ」と愛斗は独り言を言っていた。

 そのとき、リビングのドアが開いた。

 アンナが入ってきて、愛斗の独り言がアンナに聴こえていた。

「アイトー、所詮、ゲームよ。実際とは違うよ」

「そうだよね」

「アイトー、立花社長が明日、学校が終わる時間ぐらいに誰かを迎えによこすと言っていたわよ」

「えぇ、なんで」

「相談があるそうよ」

「またー、学校が始まったから、学校生活を楽しみたいのに」

「いつものことよ」とアンナが言うと愛斗は、「はぁ」とため息をついた。


 翌日の朝、ピンポンと鳴った。

「はい」とアンナが出ると麗花だった。

「あら、麗花ちゃん。どうしたの」

「愛くんと一緒に学校に行こうと思って」

「少し、待っててくれる。朝、なかなか起きなくて、まだ、パンを食べているのよ。だから上がって待ってて」とアンナは話し、麗花とアンナはリビングに入った。

「アイトー、早く食べなさいよ。麗花ちゃんが一緒に学校へ行こうって迎えに来たよ」

「ほんと―、嬉しいな」

「アイトー、良かったね。早く用意しなさい」

「わかった」と愛斗は急いでパンを食べてから用意した。そして、二人は玄関を出た。

「麗花ちゃん、ごめん、遅くなった」

「ふふふ、小さい頃と変わらないね。愛くんは」

「そうかな」と話しながら歩いた。学校までは、歩いて十分ほどで着く距離だ。商店街を真っ直ぐ抜ければ学校がある場所だ。

 学校の近くまで行くと相変わらず、まわりから麗花ちゃんは注目の的だった。やはり可愛いからであろう。

 学校に着いて、自分の教室は二階にある。教室に入ると黒板に何か書いてあった。「横並びで名前順に席へ座ってください」と書いてあった。

 二人は読んで、自分の席に行くと名前が書いた紙が置いてあった。

 麗花ちゃんとは、苗字が同じなので席は隣になった。

 まわりから「なんで、あいつ神崎さんといつも一緒なんだよ」「神崎さんって可愛いな」「あいつ神崎さんと離れろよ」と声が聞こえた。クラスの男子には、ひたすら(ねた)まれた。

 その中でも、一人(にら)みつけた男子がいた。気が付いた僕は、すかさず目をそらしてしまった。

 そうすると中尾先生が入ってきて、「おはよう。これからホームルームを始めます」と先生が大声で話した。

 そしてホームルームが終わり、一時間目は数学である。数学の先生が来て授業が始まった。

 僕は数学が好きだったので、時間がたつのが早かった。


 いつの間にか午前の授業が終わって、お昼の時間がきた。そうすると隣の席から麗花が声をかけてきた。

「ねぇ、私は弁当だから、愛くんはどうするの」

「僕は、購買でパンを買ってくるよ」と愛斗は答えた。

「じゃ、待っているから一緒に食べよ」と麗花が言うと美香が二人のところに近づいてきた。

 愛斗が美香ちゃんに気がつくと「美香ちゃんは、いつも、ポニーテールをしていて、細身で美人タイプだな」と愛斗は思った。

 近くまできた美香が「私も、ご一緒にいい」と聞いてきた。

 二人は、「いいよ」と答え、「僕、パンを買ってくるよ」と愛斗はパンを買いに教室を出た。

 三人の様子を見ていた男子達からは「お昼も一緒かよ。可愛い女の子と」と妬まれた。


 パンを買ってきた愛斗は、「お待たせ」と話した。

 そして、三人は、話しながらお昼を一緒に食べていた。

「午後は体育の時間だね」と麗花が言うと

「体育は、バスケみたいよ」と美香が話した。

 昼休みが終わり、皆んな体育館に向かった。体操着に着替え体育の授業が始まると先生が「今日はバスケをやります」と話し、男子と女子で分かれてバスケの練習試合を行うことになった。


 この時、さっき睨みつけた男子と一緒のチームに愛斗はなった。

 この男子は、中田一樹、中学時代は全国大会に出場したこともあるバスケのエースだったらしい。中田は、いつも麗花と一緒である愛斗のことを「ムカつく奴だ」と思っていた。


 試合が始まると何かと中田は愛斗にパスをしてきた。

 愛斗がボールを取られると「なに取られているんだよ」と怒鳴りながら、すぐに取り返してはパスをしてくるのだった。

 まわりからは、「あーあ」「また、取られたよ」と飽きられる様だ。

 そして、また、中田は愛斗にパスしてきた。もの凄く強く愛斗の顔面目掛けて、ボールを投げつけてきた。

 愛斗は、ボールが取れず顔面に当たって、愛斗は倒れてしまった。

 まわりは、「あーあ、下手だな」と批判のあらしだった。

 麗花と美香は、「ひどいよ」と言って愛斗のところに駆け寄ってきた。

「大丈夫、あ、おでこが内出血しているよ」と麗花は心配そうに話した。

「先生、神崎君を保健室に連れて行ってもいいですか」と麗花は先生に言って三人は保健室に向かった。

 保健室のドアをノックすると返事はなかった。中に入ると誰も居なかった。

 美香は、「保健の先生が居ないね。でも、皆んな、ちょっと、ひどいよね」と話した。

「そうだよね。愛くんを目の敵にして、愛くん大丈夫」と麗花が話すと「うん、大丈夫だよ」と愛斗は話した。

「おでこに傷ができたね。消毒しないとね」と麗花は心配していた。


 消毒してから体育館に戻ると体育の授業は終わっていた。皆んな教室に戻っていた。

 女子更衣室で麗花と美香は着替え、愛斗は男子更衣室で着替えたあとに教室に戻るともう、帰りのホームルームも終わっていた。

 皆んなは、帰り支度をしていた。

 三人も、「帰ろう」と言い帰りの支度を行って一緒に教室を出た。校門まで行くと一人の男性が立っていた。

 男は「愛斗さん、少し良いですか」と声を掛けてきた。

「誰、愛くん」

「あぁ、ちょっと用事があったんだ。麗花ちゃん、先に帰ってて」と話した。

「でも、大丈夫なの」

「大丈夫だから。すぐ帰るよ」

「わかったわ、じゃ先に帰っているけど早く帰ってきてね」と麗花は言い美香と一緒に帰った。


「愛斗さん、こちらへ」と男性は車に乗せてエイアイケー本社に向かった。

 会社に着き、社長室に入ると立花社長ともう一人いた。

「愛斗、どうしたんだ。おでこの傷」と社長の俊介が話した。

「体育の授業で、ボールが当たって」

「そうか、気をつけないとな」

「えぇ」

「あ、そうだ、紹介するよ。彼は開発技術部のチーフである望月くんだ」

「アイトーCEO、開発チーフの望月です。宜しくお願いします」

「あ、はい。望月さん、愛斗でいいよ」と愛斗は話した。

「愛斗、実は今日来てもらったのは、日本独自で新しい商品開発を進めているんだ。なかなか、うまくいかなくてね。だから、愛斗にアドバイスしてほしいんだ」と俊介が言った。

「そうですか。望月さん、うまくいかないというのは」

「はい、性能アップを考えてダブルAIチップ化を考えています。それが、うまくいかなくて」

「AI解析を分散して処理速度を向上しようとしているんですね」

「はい、まさしく、そのとおりです。愛斗さん」

「それだと、AIチップ同士が競合したり、干渉したりするんじゃないかな」

「はい、まさしくそうなんですよ。流石です。愛斗さん」

「わかりました。僕も少し、考えてみます」

「ありがとうございます」と望月は喜んだ。


「愛斗、お願いするよ。望月をサポートしてほしいんだ。今日は彼を紹介したかっただけなんだ」

「はい。わかりました。任せてください」と愛斗は返事をした。

「とりあえず、家まで送って行くから待っていてくれ」

「はい。それでは、望月さん」と言って愛斗は社長室から出た。


 少し待ってから立花社長と愛斗は会社を出た。

「愛斗、助かったよ。望月は行き詰まっていたからね」

「いいですよ。無視できないし」

「あ、そうだ、書類を取りに行きたいから、自宅に寄ってもいいかい」

「はい。俊介さん」と言って、俊介の家に寄った。


 ここから、俊介の家まで車で遠くはなかった。俊介の自宅に着くと「白い家なんだね。でも、大きい」と愛斗は話した。

「たいした家ではないよ」と俊介は話し、愛斗と家に入った。

 リビングに二人が入ると美香がいた。

「えっ、美香ちゃん」

「えっ、愛くん、パパ、なんで愛くんと一緒なの」

「美香、愛斗のこと知っているの」

「だって、同じクラスメイトだよ」

「あ、そうなの。そういえば、同じ学校だったな」

「そうよ。パパ」

「まずったな、美香にバレたか」

「なにが」と美香が言うと俊介が「まぁ、仕方がない。話すか。うちの会社のトップだよ」と話す。

 美香は「えっ、パパの会社のトップって、ん…、確かアイトー・フランクスという人だったと思ったけど」

「だから、うちのCEOだよ」と俊介が話すと美香は考えた。

「えっ、アイトー、AITO、アイト、愛斗、えぇー、まさか」

「そのまさかだよ。愛斗はアメリカで紫乃さんの養子に入ったんだ。お前も紫乃さん知っているだろう」

「うん。アメリカで結婚した紫乃さんだよね」

「そう、アメリカで紫乃・フランクスになったんだ。それで、愛斗は両親が亡くなって紫乃さんに引き取られたんだ。それから紫乃さん達の養子に入ったということ」

「えぇー、そういうこと、凄くびっくり。愛くんがあのアイトー・フランクスだったなんて、凄いよ」

「ねぇ―、愛くん、麗花は知っているの」

「知らないよ、美香ちゃん」

「愛くん、なんで教えないの」

「知られたくない」と愛斗は話す。


「美香、麗花ちゃんのお父さんの仕事は知っているかい」

「確かテレビ局の仕事だと言っていたけど」

「そうなんだよ、神崎さんはマスコミ界でも有名なんだ」

「エイアイケーのトップが来日していると知れるとマスコミが大騒ぎになる。だから、マスコミ関係者には知れたくないんだよ」

「マスコミに知れたら、どうなるの」

「マスコミが愛斗のところに殺到するだろうね。普通の学校生活どころではなくなるかな」

「えぇー、そうなの」と美香が驚くと愛斗が話した。


「美香ちゃん、僕、静かに普通の高校生活をしたい。だから、他言しないでほしいんだ」

「愛くん、パパ、わかったわ」

「じゃ、書類もカバンに入れたから、愛斗、送ろうか」と俊介は話して出ようとした。

「はい。じゃぁね、美香ちゃん」と言って、俊介と愛斗は車に乗って、自宅に向かった。


 自宅の近くにコンビニがあったので、「あ、俊介さん、ここのコンビニで下ろしてもらっていい。買いたいものがあるから」と話した。

「ここで、いいのかい」

「はい」と言って、降りた。

「送ってくれて、ありがとうございます」

「じゃ、望月のことは、宜しく」

「はい」と愛斗は言って俊介と別れた。


 愛斗は、コンビニで夕食の買い物をしようとしていた。「カップ麺とお菓子でいいか」と思って買ってコンビニを出た。

 コンビニから自宅までは、直ぐの距離であった。


 家に着いて愛斗は家に入った。愛斗が入るところを麗花は自宅の窓から見ていた。

「あっ、愛くんが帰って来た」と思って、すかさず麗花は愛斗の家に行った。

 玄関のチャイムが鳴り愛斗が玄関をでると麗花だった。

「麗花ちゃん、どうしたの」

「心配で、来たの」

「とりあえず、入って」と愛斗は言って麗花をリビングに入れた。

「愛くん、おでこ大丈夫」

「ん、大丈夫だよ」

「そう、でもやっぱり傷になったね。あれ、愛くんこれは」とカップ麺を指した。

「夕飯にしようと思って」

「アンナさんは」

「アンナは、お爺さんが亡くなって一旦、帰国したんだ。数日で帰って来ると思うけど今は、いないんだ」

「そう。だけど、カップ麺なんて駄目だよ。冷蔵庫見てもいい」

「うん、いいよ」

「流石、アンナさんね。食材がいっぱい入っているよ」

「ほんと」

「うん、もう仕方がないな。何か作ってあげるよ」

「できるの」

「任せて。簡単なものでもいい」

「うん」

「簡単にオムライスでも、作るね」

「ほんと、ありがとう」


 麗花は、手際よく直ぐにオムライスを作ってくれた。

「愛くん、できたよ」とオムライスを出してくれた。

「ありがとう。麗花ちゃん。いただきます」と言って、愛斗は食べ始めた。

「愛くん、どう、美味しい」

「うん、最高だよ。麗花ちゃん」と愛斗が言って美味しそうに食べていた。

 麗花は肘をつき手のひらを顔にあてて、愛斗が美味しそうに食べる様子を見ていた。

「あ、ほっぺたにケチャップが付いているよ」と麗花は愛斗のほっぺたを拭いてあげた。

「ありがとう」と愛斗は笑顔で答えた。

 そのとき麗花は、なんとなく、「愛くんは可愛いな」と思ってしまった。


 オムライスを食べ終わると麗花はリビングにあるテレビの方を見て、ゲームが散乱しているのに気がついた。

「あれ、昔と変わらず恋愛ゲームやっているの」と麗花が聞くと

「へ、へ。そうだね」

「ふ―ん」と言って、麗花はゲームが散乱しているところに行った。

「あれ、愛くん、このゲーム」

「あ、それ、懐かしいでしょ」

「これ、小さいときに凄く好きで愛くんといつも一緒にやっていたゲームじゃないの」

「そうだよ。渡米する前まで一緒にやっていたゲームだよ」

「まだ、持っていたの」

「うん」

「ねぇ、今、できる」

「もう、動かすゲーム機はないからできないよ」

「そう、残念。でも、なんで、まだ持っているの」

「麗花ちゃんとやった最後の思い出だったから。渡米する前は麗花ちゃんとお別れの挨拶も出来なかったし、だから思い出にと捨てずに持っていたんだ」

「ふふふ、そう」と麗花は言った。とても嬉しく感じた。


 麗花は部屋のまわりを見て「だけど、ずいぶん部屋が散らかっているね。アンナさんがいないから」

「まぁ」

「愛くん、なにもできなさそう。もう仕方がないからアンナさんがいない間は私が面倒見てあげるよ」

「ほんと」

「だから、家の合鍵ってある」

「あるよ。これ」

「しばらく、貸してくれるかな」

「いいよ。はい。麗花ちゃん」と麗花に合鍵を渡した。

 麗花は、「なんか弟ができたみたい」と思ってしまった。その後は、食器を洗ってから帰った。


 麗花が帰ったあと、愛斗はお風呂に入った。湯舟につかりながらAIのことを考えていた。

「やっぱり麗花ちゃん、凄く優しいよな。これだよ。次世代のAIチップは、麗花ちゃんの心がコンセプトだ」と思った。

 それと、更に望月さんのことも考えていた。

「ダブルチップ化の方法ねぇ…。あっ、いいことを思いついた」とひらめいた。

「望月さんのダブルチップ構想も、アイデアができたぞ。麗花ちゃんがヒントをくれたよ。面倒を見るということだよ。やっぱり、麗花ちゃんは最高だよ」と思ったのであった。



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