第ニ十ニ話 疑惑
愛斗達がキャンプから帰ってきてから数日がたち、花蓮がアメリカに帰る日になった。
愛斗、麗花、アンナは花蓮の見送りに空港まで来ていた。
「お兄ちゃん、麗花ちゃん、楽しかったよ。ありがとう」
「あぁ、花蓮、元気でな」
「花蓮ちゃん、また、遊びに来てね」
「うん、麗花ちゃん、じゃなかった。お姉ちゃん」
「ふふふ、気が早いわね。花蓮ちゃん。でも、嬉しい」
「それと、また来るよ。アンナさん。お世話様」
「えぇ、元気でね」と三人は、花蓮を見送った。そして、花蓮はアメリカに帰って行った。
「じゃあ、帰りましょう」とアンナが二人に声をかけて、車に乗り込んだ。
「今日で、夏休みも終わりだね」とアンナが言うと愛斗は「あぁあ、明日から学校か」と答えた。
「明日から頑張ろうね」と麗花も言った。
次の日の朝、愛斗はベットの中だった。愛斗の部屋に麗花が入ってきて「もう。まだ寝ている」とつぶやいた。
「ほら、愛くん。朝だよ。起きて」と声をかけても起きなかった。
「起きないな。口を塞いであげるわ」と言って、麗花は愛斗の口にキスをして愛斗の口を塞いだ。
「うっ、苦しい」と言って愛斗は目を覚ました。
「やっと、目を覚ました。ほら、遅刻するよ。早く起きてよ」と麗花が言った。
「麗花ちゃん、今、なにした」
「なーんにも」
「ううう」と唸りながら起きたのだった。
愛斗は朝食を取って麗花と学校に向かって歩いていた。たが、このとき愛斗は何か人に見られているような感じがした。
「ねぇ、麗花ちゃん。何か人の視線を感じるんだけど。感じない」
「えぇ、私も感じたの。何かイヤな感じね」
「とりあえず、急いで学校に行こうか」
「うん。そうしよう」と愛斗と麗花は、少し速足で学校に向かった。
このとき愛斗達を見ていたのは、二人のパパラッチだった。探偵事務所の男達が密告した相手だった。
「あの男の子がアイトー・フランクスだって、まだ、高校生じゃないかよ」
「そうだよな。信じられないけど、とりあえず、しばらく見張ってみようじゃないか」
「そうだな」とパパラッチの二人は、愛斗達を見張ることにした。
愛斗と麗花は学校に着いて教室に入ると男子達が「また、神崎さんと一緒かよ」「あぁ、そうだよな。だけど、あんな可愛い神崎さんと一緒に登校なんていいな」と妬む男子がいた。
その様子を見ていた美香が「あたりまえじゃない。愛くんと麗花は婚約しているんだから」と心に思っていた。
「麗花ぁ、おはよう」と美香が愛斗達のところに近寄ってきた。すると詩織も「愛くん、麗花、おはよう」と近寄って挨拶した。
「おはよう」と愛斗と麗花も挨拶した。すると、委員長の小泉京香も教室に入ってきて愛斗達のところに近寄ってきて「おはよう。愛斗くん、皆んな」と声をかけてきた。
「おはよう」と愛斗達も挨拶した。
「ねぁ、さっき、カメラを持った変な人達がうろついていたんだけど」と京香が言った。
「ほんと、なんだろうね」と美香が言った。
「私達も、何か視線を感じたんだよね」と麗花も言った。愛斗も「たしかに」と答えた。
愛斗は、「まさか、マスコミ関係者じゃないよな」と思っていた。
少し離れたところで、京香が愛斗達と一緒にいるのを見ていた生徒がいた。
クラスメイトの中村和美だった。
「えっ、なんで京香までが一緒に」と和美は思っていた。
和美は京香の親友であり、愛斗のことは嫌っていた。
すると「さぁ、皆んな、早く席についてくれるか」と先生が入ってきてホームルームが始まり、今日という日が始まった。
そして、今日の行事が全て終わり、愛斗と麗花は、帰り支度をして教室を出ると和美は京香のところに近寄ってきた。
「ねぁ、京香、なんで、神崎達と一緒にいたの」と和美が聞いた。
「別に少し、用があったのよ」
「ねぇ、京香、あんたも神崎のこと嫌いじゃなかったの」
「私も最初嫌いだったけど、今は嫌いじゃないわ」
「そうなの、なんで変わったの」
「色々と彼のことを知って、嫌いではなくなったわ」
「そうなの。ふーん、とりあえず、一緒に帰ろうよ」と和美と京香は一緒に帰った。
和美と京香が学校の校門を出るとタバコを吸っている男に京香は声をかけられた。
「ねぇ、君」
「はい。なんでしょう」と京香は答えた。
「君は、この学校の生徒なの」
「はい。そうですけど」
「この学校に神崎愛斗という生徒がいると思うんだけど、君、知っているかな」
「はい。クラスメイトですけど」と和美が答えた。
「何の用ですか」と京香が聞くと「神崎愛斗くんって、帰国子女なのかな」と男は聞いた。
「私は、知りませんけど」と京香は答えた。
「そうか、じゃ、いいや」と男は答えて去っていった。この男はパパラッチの一人だった。
「ねぇ、京香、何なの、あの人」
「わからない。でも、なんかイヤな感じね」と話しながら和美と京香は帰っていった。
その出来事があった後、愛斗、麗花、美香が校門から出てきた。愛斗、麗花は下駄箱で美香を待っていたため、少し遅れて学校から出てきたのだった。
これをさっきの男が電信柱の影から見ていた。
「あれ、あの女の子、たしか、日本エイアイケー社長の娘だったな」とつぶやいて追いかけた。
途中、美香は愛斗と麗花と別れて、一人、歩いていると、パパラッチの男が美香に声をかけた。
「ねぇ、君」
「はい。なんでしょう」と美香は答えた。
「さっきの神崎愛斗くんという子と一緒にいたよね。仲がいいのかな」と男が聞いた。
「だから」と美香が言うと「神崎愛斗くんって、アメリカからの帰国子女なのかな」と男は聞いた。
「私は、知りません」と美香が言って立ち去ろうとした。
「ちょっと、待ってよ。彼が、アイトー・フランクス本人なんだよね」と男が聞くと美香は無視して立ち去った。
男は、仕方がなく、ここを立ち去り、もう一人の男と合流した。
「やっぱり、彼が、アイトー・フランクス本人だと思う」
「ほんとうか」
「あぁ、多分。これはお金になるかもな」
「お前は、日本エイアイケーの社長とか新製品発表した望月という男をはってくれないか」
「わかった」と言ってパパラッチの男達は別れた。
夜になり麗花の自宅で、愛斗とアンナはお呼ばれして一緒に夕食を食べてくつろいでいた。
そのとき、麗花の携帯に美香から電話があった。
「こんばんは、麗花」
「どうしたの美香」
「今日、変な男の人に声をかけられたの」
「変な男」
「そう。愛くんのことを聞かれたの」
「何を聞かれたの」
「愛くんが、アイトー・フランクスなのかって」
「ほんとうに」
「そう。何か嗅ぎまわっている感じだったの」
「そうなの。私達も誰かの視線を感じていたんだよねぇ」
「やっぱり、もしかして、スクープ狙いのマスコミ関係者かもよ。気を付けたほうがいいよ」
「そうね。愛くんにも言っておくわ。私も気を付けるね」
「そうしたほうがいいよ。麗花」
「ありがとう。美香」と言って、麗花は電話を切った。
麗花は愛斗のところに来て「愛くん。少し話があるの」と麗花が声をかけた。
「なに、麗花ちゃん」と愛斗が聞くと麗花は美香と話をしたことを愛斗に話した。
愛斗は少し黙って聞いてから話した。
「麗花ちゃん。多分、そいつらはパパラッチだよ」
「パパラッチって」
「多分、僕が日本いることを知って、スクープを狙っているんだよ。なんかヤダな」
「そう。どうしたら」
「とりあえず、無視していこう。僕もバレたくないから」
「そうね」
「そぶりを見せないようにしよう」と愛斗と麗花は話していた。
翌日になり、愛斗と麗花は一緒に歩いて学校に向かっていると誰かの視線を感じた。
「ねぇ。愛くん。誰かに見られている感じがしない」
「麗花ちゃんも感じた」
「うん」
「とりあえず、無視して学校へ行こう」と愛斗と麗花は話しながら学校へ向かった。
愛斗と麗花が学校の校門に入ったあと、和美が学校の門まで来るとパパラッチの男が声をかけた。
「君、昨日、神崎愛斗くんのクラスメイトって言っていたよね」
「はい」
「学校が終わってからでいいからさ、少し、話を聞かせてくれないかな」
「どのような」
「学校が終わるころに待っているから」と男は言って去っていった。
今日の授業が終わり、和美が校門から出てくると男は待っていた。
「君、少し、いいかな」
「はい。なんでしょうか」
「僕は、新聞記者なんだ」と言って和美に名刺を渡した。
「中島さん。新聞記者さんですか。なんでしょうか」
「少し、喫茶店で話を聞かせてほしいだけど」と男は言った。
和美は、了承して男と一緒に近くの喫茶店に入った。
「神崎愛斗くんって、どのような子」
「周りからは、嫌われているかな。オタクっぽいし。何考えているかわからない感じ」
「そう。あと彼は、立花美香ちゃんと仲がいいのかな」
「立花さん。いつも、一緒にいますね。あの、神崎くんのこと何を知りたいのですか」と和美が聞くと中島は少し考えて話した。
「神崎愛斗くんだが、色々と秘密があってね。それを知りたいんだよ」
「秘密ですか。どんなこと」
「今は、ちょっと言えないんだけど、君、それを探ってくれないかな。お礼はするからさ」と中島が言うと和美は少し考えた。「神崎くんの秘密。面白そうね」と思って答えた。
「いいわ。探ってあげるわ」
「本当かい。ありがとう。今度、お礼をするよ」と中島は言って和美は喫茶店を出た。中島は済まして和美と別れた。
和美は、歩きながら考えていた。「神崎愛斗くんにどんな、秘密があるんだろう。仲のいいメンバーには言わないわよね。もしかしたら、京香が知っているかも。よし、京香に聞いてみよう」と思いながら帰った。
その頃、愛斗は家に帰っていた。少し、ゴロゴロしながら考えていた。すると愛斗の携帯に電話が鳴った。
愛斗が電話に出ると相手は、望月だった。
「愛斗さん。少し、相談があるんだ」
「どんな」
「愛斗さんが言っていた次世代AIチップのことだけど。構想ができてきたと言っていたよね」
「はい。ある程度は、だけど、少し越えなければいけない壁があって」と愛斗が答えた。
「そうか、愛斗さん、僕にも手伝わせてくれないか。今、やっと仕事が落ち着いたところなんだ。愛斗さんが考える次世代AIチップに興味があるんだよ」と望月が言うと愛斗は少し考えてから答えた。
「わかりました。また後で連絡しますよ」
「そうかい。わかりました。愛斗さん」と望月は言って電話を切った。
愛斗は、「望月さんが手伝ってくれるのか。助かるな。あとマイケルが一緒にいたらな」と考えていたのだった。




