第ニ十一話 キャンプ
今日も暑いが続いて、夏休みも終盤に差し掛かっていたころ、愛斗は朝からキャンプに行く準備をしていた。ギリギリまで、夏休みの宿題をやっていたからだ。
「あーあ、何をもっていけばいいんだ」とつぶやいていると花蓮が愛斗の部屋に入ってきた。
「お兄ちゃん、今頃、キャンプの準備をやっているの」
「そうだよ。結局、夏休みの宿題をギリギリまで、やっだからね」
「お兄ちゃんらしいね」と花蓮が言うと麗花も部屋に入ってきた。
「愛くん、まだ、準備が終わっていないの」
「うん」
「じゃ、手伝うわ。もうすぐ、美香達が来るから。世話の焼ける旦那さんね」と麗花は愛斗を手伝った。
準備が終わるころに美香と俊介がきた。
「おはよう」と美香と俊介が挨拶した。
愛斗、麗花、花蓮は、「おはよう」と返事した。
「あれ、詩織は」と麗花が聞くと、「車の中にいるよ」と美香が話した。
「じゃ、お姉ちゃんも呼んでくるから待っていて」と麗花が話すと、「麗花、大丈夫だよ」と愛夏も来た。
「じゃ、行きますか」と俊介が言って皆んな部屋を出て車に乗り込んだのだった。
詩織は、一番後ろの席に座っていた。すると詩織は愛斗を呼んだ。
「愛くんは、こっちよ」と詩織は、すかさず自分の隣りに座らせた。
麗花は、「最近、会えていないから仕方がないか」と思っていた。
「詩織、おはよう」と麗花が挨拶すると詩織も「おはよう」と返事をした。
麗花は、仕方がなく助手席に乗った。
「じゃあ、行くぞ」と俊介が言って出発した。
ただ、愛斗たちを見ていた男が二人いた。以前、詩織と愛斗を監視していた探偵事務所の男達だった。
詩織の父からの依頼による調査の仕事としては契約が完了していたが別の目的で監視していた。
「あいつが、本当にアイトー・フランクスだと。本当だとしたら、いい金儲けができるかもしれない」と言って愛斗たちを車で追って行ったのだった。
詩織は、愛斗と腕を組んでぴったりとくっついた。
「ねぇ、詩織ちゃん。胸が当たっているよ」と詩織の耳に小声で言った。
「だって、当てているんだもん」と詩織も愛斗の耳に小声で言い返した。
「皆んなも、いるし」
「私達、彼氏と彼女なのよね」
「一応、そうだね」
「じゃ、いいの」と更に詩織はくっついた。
詩織は愛斗とイチャイチャしていた。
「アンナも誘えば、良かったね」と麗花が言うと俊介が「アンナは、今日、外せない仕事があるから来れないんだ」と話した。
「そうなの。でも、良かったわ。来れて」と麗花は言った。
そして、真ん中の席では、美香、花蓮、愛夏の三人で色々と話しをしていたのだった。
しばらく、車での移動して五時間ぐらいたって俊介の別荘に着いた。もう、午後になっていた。
すると、別荘に保健医の立花泉がいた。自分の車で先に別荘まで来ていたのだ。
「あー」と麗花と詩織が叫んだ。
「あら、こんにちは」と泉が挨拶した。
「また、愛くんを誘惑する気」と詩織が叫んだ。
「もう、しないわよ。あれは冗談よ。俊介叔父さんに頼まれたのも事実だけど」
麗花は怒りながら、「なんで、ここにいるの。美香パパと親戚なの」と聞いた。
「そうよ」と泉が答えると美香が叫んだ。
「あー、思い出した。泉ちゃん」と美香が大声で叫んだ。
「そうよ。美香ちゃん。もう十年ぶりかしら。やっと思いだしたの」
「でも、何でいるの」と美香が聞いた。
「たまには、遊びに来いと俊介叔父さんに言われていたの。十年ぐらい前は良く遊びに来ていたから」
「ふーん」と美香が言うと麗花が「もう、愛くんを誘惑しないでよ」と言った。
「やっぱり、どうしようかなぁ。愛斗くん、かわいいんですもの。今日から一緒に楽しみましょうよ」と泉は言っだが、麗花と詩織は、泉を睨みながらむっとしていた。
「まずは、お昼にしましょうよ。食材は買ってきたので、皆んなで作りましょう」と泉が話した。
「そうだな。まずは、バーベキューだな」と俊介が言って、別荘の庭でバーベキュー機材を用意した。
「愛斗、炭に火つけてくれるか」と俊介が言うと愛斗は、炭に火をつけた。
俊介が鉄板を置いて、熱くなった頃に麗花と詩織が肉、野菜、魚介類を焼きだした。
愛斗が庭にあるベンチに座ると泉が愛斗の隣に座って愛斗と腕を組んだ。泉は自分の胸を押しつけた。
「ねぇ、愛斗くん。俊介叔父さんから聞いたけど、あのアイトー・フランクスって愛斗くんなんでしょ」
「えっ、まぁ」
「なぜ、隠しているの」
「あまり、メディアに出るのは好きじゃなくて、なんか、プライベートがなくなる感じだから」
「まぁ、それあるよね」
「でも、愛斗くんは、凄いよね。その年でグローバル企業のCEOだものね」
「僕、地位なんか、どうでもよくて。好きなことをやっているには、現在の地位が必要だっただけだよ」
「その歳で、大人ね」と泉と愛斗が腕を組んで話していると麗花と詩織が気づき「あー」と騒いだ。
「泉さん。なんで、愛くんと二人だけで話しているのよ。しかも腕を組んで」と詩織が叫んだ。
「別にいいじゃん、話ぐらい。ヤキモチやきね」
「愛くんと、くっつかないでよ」と詩織が言って泉と愛斗の間に詩織が割り込んだ。
「もう、仕方がないな」と泉が言って、ベンチを立った。「私も、肉を焼くわ」と言ってトングを持ち出して焼き始めた。
「愛くん。はい」と麗花が焼けた肉と野菜を持ってきた。
「ありがとう。麗花ちゃん」
「ふふふ、一緒に食べましょう。ほら、詩織も」と麗花が言うと「麗花、婚約者になって余裕ね。羨ましいわ。いつも愛くんと一緒だし」と詩織が言った。
「詩織も機嫌直して、今は愛くんの彼女なのでしょう」
「一応、そうだけど。仮の彼女だけどね」と詩織は少し落ち込みながら言った。
麗華は、詩織が少し元気がなかったので、「今日は、愛くんを貸してあげるわ。だから、元気をだして」と麗花が言ったが、詩織は「うん」と返事をしただけだった。
「愛くん。今は詩織の彼氏なのだから、詩織を元気づけたあげて」と麗花は愛斗に話した。
「わかったよ。麗花ちゃん」
「ねぇ、詩織ちゃん。一緒に食べよう」と愛斗は言って、箸で肉を掴み詩織の口に持って行った。
詩織は、肉を食べて「美味しい」と赤くなりながら「もぐもぐ」と肉を食べていた。
「じゃあ、お返しね」と詩織は言って、箸で肉を掴み愛斗の口に持っていくと愛斗は肉を食べたのだった。
「詩織ちゃん。元気だして」と愛斗が言うと麗花も詩織の隣に座った。
「ねぇ、詩織、どうしたの」と麗花も聞いた。
詩織は少し黙っていた。少し間をおいて話した。
「色々と考えたんの」と詩織が言うと麗花は「なにを」と聞いた。
「やっぱり、私と愛くんは。本当の彼氏と彼女ではないいんだなって。今までの愛くんと麗花を見ると麗花には、とてもかなわないと気が付いたの」と詩織は話した。
「詩織」と麗花は声をかけた。
「麗花、私、愛くんのことは、あきらめることにする」と詩織は言い出した。
「詩織ちゃん」と愛斗も声を出した。
「詩織、本当にいいの。愛くんを諦められるの」
「麗花、今は難しいけど、少し時間をちょうだい。吹っ切れるまで」
「本当に大丈夫なの、詩織」と麗花も詩織が心配になった。
「愛くん。お願い。親に結婚させられるのは嫌だから、このまま、仮の彼氏になっていてくれる」と詩織が言った。
「いいよ。僕にできることは、何でもするよ」と愛斗も答えた。
「ありがとう。愛くん。これからは、友達としてよろしくね。麗花も」
「詩織、わかった」と麗花も言ったのだった。
そして、皆んな楽しく食事をしたのだった。
夜になると愛夏と泉は、お酒を飲み酔っぱらっていた。
「おい、アイトー・フランクス」と愛夏が酔っ払って愛斗に絡んできた。
泉も「愛斗くん、可愛いよね」と言って、泉が胸を押し付けて抱きついてきた。
「もう。お姉ちゃん」と麗花は愛夏を引っ張って、愛斗から遠ざけた。
「泉さん。やめてください」と泉を引っ張って、愛斗から遠ざけた。
結局、愛夏と泉は酔いつぶれて寝てしまった。麗花は愛夏を寝室に連れていき寝かせた。
詩織は、泉を寝室に連れていき寝かせたのだった。
結局、みんな疲れて寝てしまった。
だが、一部始終を探偵事務所の男達が見張っていた。
「今、アイトー・フランクスと言っていたな。やっぱり、本物のアイトー・フランクスなのかもしれない。マスコミに売ったら、スクープでお金になるぞ」と話していた。
翌日の朝、皆んなが起きると愛夏と泉は起きてこなかった。
朝食は、麗花と詩織がパンとスクランブルエッグを用意していた。愛斗、俊介、花蓮、美香と6人で朝食を食べながら、話をした。
「今日は、どうしようか」と美香が言うと「食材を釣ろう」と俊介が言った。
「釣るの。だって、釣り竿とかエサは」と美香が言った。
「釣り竿は、倉庫にあるよ。エサは、土を掘るんだな。自給自足だよ」と俊介が言うと「えー」と美香が言った。
「じゃあ、みんなで釣りだな。少し歩いたところにきれいな川があるから、鮎とかいるぞ」と俊介が言った。
皆んなで用意して、釣りに向かった。
愛斗と俊介は、土を掘りミミズを探した。「あっ、いたよ。でも、ミミズ、でかいな」と言いながら愛斗はミミズを探した。
結構なミミズを取って、麗花、花蓮、美香の三人は、釣りを始めた。
三人は、なかなか釣れなかったが二時間ほどたって麗花の釣り竿に鮎がひっかった。
「詩織ちゃん。引いている。引いている」と愛斗が叫んだ。
「どうしたら、いいの」と詩織はびっくりして、戸惑っていた。
愛斗は、詩織の手を握って「こうするんだよ」と釣り竿に引っかかっている鮎を寄せて、網で鮎を取った。
「詩織ちゃん。凄いよ」と愛斗は叫んで、詩織も「やった。釣ったよ」と大喜びだった。
その後、麗花の釣り竿にも鮎が引っかかって、麗花も鮎を釣った。
結局、十匹以上の鮎を釣って皆は満足だった。皆んなは別荘に戻り、鮎を串刺しにして焼きだしたのだった。
すると愛夏と泉がやっと起きてきた。
「頭が痛い」と二人は二日酔いだった。麗花は、「鮎でも食べなさいよ」と焼けた鮎を二人に出したのだった。
二人は「頭がいたい」と言いながら鮎を食べたのだった。
そして、楽しいキャンプも終わって帰り支度をしていた頃、美香は気がついた。
「あの、男達は、なんなの」と麗花と話していると男達も見つかったと気がついて去って行った。
帰り支度を済ませると愛斗達は、車に乗りこみ出発した。
愛斗達は、「夏休みも終わるね」と話しながら帰ったのだった。




