プロローグ-03-
「あの声はなんだったんだろ?」
んー、考えれば考えるほどわからない!
ベッドの中でゴロゴロしていると、ノックの音がしたと思ったら部屋のドアが開いた。
「目が覚めたかしら?」
がばっ!
声に反応して慌てて起き上がると、そこにいたのは綺麗なシルバーの髪にサファイアを思わせる瞳。淡いブルーのシンプルなドレスを身に纏った女性がいた。
(顔面偏差値が高すぎるんですが・・・)
「起きてるみたいね。」
女性はそう言いながらベッドのそばに来た。
「初めまして。私はフォングランツ卿スンジです。
あなたは我が家の敷地内に光と共に急に現れたの。
本来であれば不審者として地下牢に入ってもらうのだけれど、あなたの周りに精霊達がいたので、とりあえず客室に運んだのよ。」
女性は困った表情をしながら話してくれた。
「えっと、ここはどこでしょうか?
あと、精霊?ってなんですか?」
(いや、もうなんなの?!
てか、本当は地下牢に入ってたハズなの?!)
「ここは、インパチェンス国の首都イベリスよ。
精霊については後で説明してあげるから、まずあなたのことを教えてくれるかしら?」
「あ、私は斎藤千鶴です。斎藤が名字で千鶴が名前です。」
「チヅルね。素敵な名前ね」
「ありがとうございます。
あの、私インパチェンス国?って知らないんですが、日本の領事館とかありますか?
あと、家族に連絡したいんですが・・・」
「ニホン?リョウジカン?」
(まって、日本知らないの?)
「この世界にニホンという国は無いわよ。」
「え?」
「この世界はインパチェンス国の他にカタバミ国、サルビア国、トレニア国、モンステラ国の5つの国に成り立っています。」
「ちょっ、ちょっと待ってください!
私は何でここにいるんですか?!」
「それは、私には分かりません。
でも、先程お伝えした通りあなたは精霊達と一緒に我が家の敷地内に現れた。
だから我が家はあなたを保護いたします。」
「・・・怪しいと思わないんですか?」
「精霊は我が国インパチェンス国では神の使いとされています。
また、精霊と契約を結んでいるあなたを怪しむ必要はありません。」
そう言ってスンジは安心させる様に微笑んだ。