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ただの待ち時間

おはようございますー!




 世界には善人と悪人がいる――



 悪人が消えれば世界は平和に包まれ、善人だけが蔓延る世界になる。そんな夢のような話を実現させることは出来るのだろうか。


 解、計画者はそれを現実にした。


 悪人から悪、負の感情を抽出し、善だけが残る神の力とも言える力を手に入れたのだ。


「それでもやはり……全ての悪を抽出出来ない人間はいますね」


 作戦実行日、あまりにもこびりついてしまった悪を持った人間に、計画者は頭を悩ませ、一つの案を考えた。


「最初から問題視されていた抽出した悪の除去……この人達に任せてみましょう」


 悪をもって悪を制す――


 簡単に落とせない汚れ(あく)を【能力】として開花させ、保存しようと考えていた抽出した悪と戦わせてみようと、計画者――ヒトの形をした何かは、鼻先まで覆われた黒いフードの下でクスリと笑った――


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「………………」


 空気が薄い、息がしづらい……。

 何処と無く感じる恐怖に心拍数を上げながら、僕はゆっくりと辺りを見渡す。


「何も……ない?」


 果てがあるのかも分からない白い道が四方にあり、孤独を実感する。


「あのー! 誰かいませんかー?」


 片膝をつきながら立ち上がった僕は、あらん限りの声で叫ぶが、声は反響するのみ。

 壁も床も真っ白のこの場所に、僕の居場所なんてどこにもない。安心とは程遠い不安と恐怖が身体中を支配する。


「ここにいても……仕方ないよね……」


 ここに来る前自分が何をしていたのかも思い出せない僕に、正しい行動を選択する余裕なんてなかった。

 あるのは己の足のみ、ただひたすらに歩くことしか出来ない。


「本当にここはどこなんだろう……制服は着たまんまだし……帰宅途中だったんだっけ……」


 ハッキリと覚醒しない頭をコツンコツンと叩きながら、僕はただひたすら前に進み続けた。



 そして数十分――



「………………………………ぇ」



 やっとの思いでたどり着いた大きな部屋には、絶望と言う言葉では片付けられないほどの変死体の山が出来ており、僕は腐敗臭を纏わせながらギョロりと転がる眼球と目を合わせ、呆然と立ち尽くした。



『オオォォ……オォォォォォォ……ノロウ……コロス……コロス……』

「…………………………」


 

 そして山の中から一本の腕が伸びてくる。


 細く、骨が浮き出ている真っ白な手……。


 僕の頭はもう動いていなかった。


 何これ、夢? 分からない、何が起きているのか……。そんな疑問符ばかりが浮かび上がり、目を丸くした僕の頭は気づけば激しく動き、一瞬にして山の中へ引き込まれていた。


『ナカマ…………ナカマ………………』


「あ……僕のから――」



 グシャッッッ――!



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「…………………………」


 空気が薄い、息がしづらい……。

 何処と無く感じる恐怖に心拍数を上げながら、僕はゆっくりと辺りを見渡す。


「何も……ない?」


 果てがあるのかも分からない白い道が四方にあり、孤独を実感しながらも僕はゆっくりと立ち上がり、


「あのー! 誰か――」


 と、声を上げようとした時だった――



「「皆様大変長らくお待たせ致しました。それではこれから皆様には、悪を成敗する伝説の勇者になってもらいます」」



 そう言ってプツンと切った正体不明の人間は、僕――いや、僕達をこの白い世界から転送させた――





 


 

お読み下さりありがとうございます!!

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