助けてもいいですか?
ずっとプロットを書いていた作品でございます…。
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「ひゃっはぁぁぁ! 陸! そんな所でぼさっとしてたら死ぬぞ! ひやっほぉぉ!!」
「ば、ばぁちゃん待ってよー!」
大久保陸四歳――
今日はばぁちゃんと近所の海に来ています。
「ばぁ、ちゃぼぼぼぼごぼぼぼぼ……」
到着三分。僕とばぁちゃんは高波に攫われた。
それなのに、気付いたらばぁちゃんは得意の背泳ぎで海から脱出、僅か四歳の僕はというもの、何も出来ずに海水をガブ飲み……。
「到着じゃ! はっは陸! 見たか私の華麗な泳ぎを! っと、陸! 死ぬぞそのままだと!」
「あんた何やってるんですか! 今助けるからな少年っ!!」
こうして近くにいたライフセーバーに助けられた僕はこの時悟ってしまった。
ばぁちゃんに見殺しにされるっ!!
と。
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大久保陸五歳――
「金を出せ!」
「きゃぁぁぁぁっ!!!」
今日はばぁちゃんと銀行に来ました。
「ってそこのババア! 動いたら殺すぞ!」
「…………!」
そう言ってばぁちゃんの方に銃を突きつける強盗犯に僕は震えながらも固く拳を握った。
(僕がばぁちゃんを守らなきゃ!)
そう思って口を開こうとした時、ばぁちゃんはもう居なかった――
「馬鹿め! 銃より速く逃げればいいだけの事! ひゃっはぁぁぁ! 陸! アンタも速く逃げなさいなぁ!!!」
「ば、ばぁちゃんまって!」
その後、ばぁちゃんの代わりに人質になったのだが、警察の方々がどうにかしてくれました――
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と、そんなこんなでちょっと、いやかなり変わったばぁちゃんは近所ではろくでなしババアと呼ばれていたが、僕はそんなばぁちゃんが好きだった。
「陸、ほれ、アンタの好きなみかんとチョコパット」
「わぁ、ありがとうばぁちゃん!」
「そうだ、今日は私の家に泊まってき、陸の好きなハンバーグ作ってあげるわ」
「え、食べたい食べたい!」
「ほっほ、そんなにはしゃぐでない。ほれ手を拭きなさい、チョコだらけになってる。それに今日は花火も買ってきてるからの、今年花火まだしてないやろ?」
「え、花火!?したいしたい! 早く夜にならないかな!」
そう言ってニコッと笑いながら台所へ向かったばぁちゃんはその後倒れ、ロウソクの火を吹くようにあっという間に亡くなった――
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「ばぁちゃん……」
死後数日、家に入ることを許された僕は、ばぁちゃんの手帳を開きながら泣くことしか出来なかった。
「ありがとう……ばぁちゃん……」
生前ばぁちゃんはよく言っていた。
自分の身は自分で守れ。誰も信じちゃいかん。
と。
ばぁちゃんはろくでなしなんかじゃない。全部僕のため、僕が一人でも生きていけるように……。
「うぐ……ひっ……僕……ばぁちゃんの分まで幸せになるから!!!」
手帳の最後のページに書かれていた、死ぬ前にやりたい事リストを見て、僕は再びうずくまった――
【死ぬ前にやりたい事。
陸が幸せな人生だったと胸を張って言えるようにする――】
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そう心に誓ったのに――
「ナナミさん! 逃げてっ!!」
「リク……くん!?」
「何してるんだリクくん!! 早く逃げろ!」
『グォォォォォォッッッ!!!』
黒い化け物が僕の頭上で不敵な笑みを浮かべながら大剣を構える。
ばぁちゃん……ごめん。僕、約束守れない……。
地べたに這いつくばった僕は、血塗れな体を無理に起こしながら声を上げる。
「『トウソウ』ッッッ!!!」
それは僕だけに与えられた悪を倒すための能力。
なのだが――
《警告 使用可能まで残り270秒》
「あ………………」
戦闘慣れしていない僕は呆気なくミスを犯した。
『ヨワイ……オマエ…………!』
(ごめん……ばぁちゃんの約束守らないから、バチ当たっちゃった……)
無限に感じる時間で謝罪をした僕は、情けなく諦めたように目を瞑る。
無理だった。自分自身もまともに守れない僕が、他人を守るなんて無理だった。
「ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉッッッ!!」
何もかも中途半端な自分に苛立ちを覚えたその時――
僕の脳裏にばぁちゃんが蘇った。
(それでいい陸……。その代わり、他の人の何倍も逃げて全員逃がしてあげなさい。私の孫は助けを求める子全員を逃がすことの出来る、自慢してもしきれないほど、この世で1人しかいない最っ高の孫だからの! ほっほっ! 陸! 自信を持ちなさい!!!)
「………………っ!!」
そんなばぁちゃんの明るい笑顔と暖かい言葉を聞いた時には、無常にも大剣は振るわれていた――
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