逃げる事しか取り柄がないのに誰かを助けたいと思ってもいいですか?〜ばぁちゃん、5歳の僕を見捨てて強盗犯から全速力で逃げたの忘れないからね〜
大久保陸5歳――
ばぁちゃんに着いて行ったら銀行で強盗犯に出会った。
すごく怖かったけど大丈夫。僕にはばぁちゃんがいるから! 僕が絶対に守ってあげ――
「ひゃっはぁぁぁ! 陸! アンタも早く逃げなさいなぁ!!!」
「ば、ばぁちゃんまって!!」
助けるどころか、振り返った時にはばぁちゃん全速力で逃げ出してたよ。
僕を置いてね――
でも僕のばぁちゃんは誰よりも優しかった。
そしていつも教えてくれる。自分の身は自分で守れ、誰も信じちゃいかんと。
それから僕はばぁちゃんの少し捻れた『逃げる』という戦術を学び、何からも逃げ続けるごく普通の学生生活を送った――
それなのに……。
「逃げて! ナナミさん!!」
「リク…………くん?」
「何やってるんだ! リクくん!!」
計画者とやらの、悪をこの世から消滅させるという計画に巻き込まれた僕は、化け物を前にして誰かを助けたいと生まれて初めて思ってしまったんだ――
ばぁちゃんごめん。僕、自分だけじゃなくて、他の人も守りたくなっちゃったよ。
(それでいい陸……。その代わり、他の人の何倍も逃げて、全員逃がしてあげなさい。私の孫は、助けを求める子全員を逃がすことの出来る、自慢してもしきれないほど、この世で1人しかいない、最っ高の孫だからの! ほっほっ! 陸! 自信を持ちなさい!!!)
そんな空から聞こえたばぁちゃんの声に答えるように、僕は今日も地面を力強く蹴ったんだ――
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それぞれ心に問題を抱えたヒトは、善を求めるべきなのか、悪を求めるべきなのか。何もかも分からない世界で今日も僕達は何かを怨み、妬み、罵る――
助けてもいいですか?
2021/03/30 22:54
ただの待ち時間
2021/03/31 06:00