4話 自宅 NI 帰宅 DE ファッションショー
前話のあらすじ:初めて家族でお出かけしました。
我が家に帰ってきたファミリー達。みんなのテンションが高い理由は言わずもがなだ。
「これからファッションショー始めるでー!!」
「ファッションショー!?楽しそうだな!」
「姉上、ジャガイモ、ファッションショーより車を降りる時にいちいちドアを力強く開け放つのは止めないか!特にジャガイモ!ドアが閉まりづらくなったぞ!?お父様の大事な車を破壊する気か!」
根菜3姉妹の暴走…。いや、サツマイモは暴走してないのでニンジンとジャガイモの暴走か。他人様に迷惑をかけていなければ、何も問題はない。むしろにぎやかになって俺はうれしいのだ。
「なぁなぁ親父ー。これとかどう?」
「な!?お父様にアピールするのは私が最初だぞ姉上!」
「お前ら私よりおっぱい小さいクセに出しゃばるなよ」
「「……」」
お父さんはジャガイモにはちょっとデリカシーに問題があると思うんだ。おっぱいのサイズで優劣を決めるのは良くない。そもそも二人とも普通にあるし。
「ジャガイモ、おっぱいがでかいかどうかなんて関係ない。人のことを悪く言うのは止めなさい。ニンジンもサツマイモもお前より一か月早く人間になっているんだ。ニンジンとサツマイモは姉だ。無茶苦茶言うんじゃない」
「…ちぇー!わかったよ」
「ちゃんとニンジンとサツマイモに謝りなさい」
「…ニンジンお姉ちゃん、サツマイモお姉ちゃんごめんなさい」
「ちゃんと謝ってくれるんやったら、ウチは水に流したるで!」
「お父様の言いつけを守るのであれば、私も異存はない」
もちろんハクサイはジャガイモに勝利するほどのサイズなので、会話に加わって来ない。懸命な選択だと思う。
まだ家に帰ったばかりにも関わらず会話が絶えない。ファッションショーやるでー!とかニンジンが言っていたが、早くも話が逸れ始める始末である。
「それよりもあなたたち、家に帰ったら手洗いうがいが最初ですよ」
「そうだな、手洗いうがいは大切だ」
家族全員で洗面所へ向かい手洗いうがいを済ませる。うがい薬は俺しか使わない。みんなあの味に慣れないそうだし、無理に使うようなものでもない。
ちなみにニンジンとジャガイモは、豪快にガラガラゴロゴロ音を鳴らしながらうがいをするのだが、サツマイモとハクサイは静かにうがいする。どっちがいいのかわからんが、俺はガラガラ派なのでニンジンとサツマイモ派である。
そしてみんなでリビングに集まり、買ってきた洋服の開封およびタグ外し競争が始まる。
「よっしゃ俺が一番だ!」
「手で引きちぎるなんて敵うわけないやんか…」
「私にはちょっとマネできんな…」
「ハサミは1本しかありませんからね」
ニンジンとサツマイモとハクサイがハサミの取り合いをしている間にジャガイモがパワーを生かして優勝したようだ。
「さて、ファッションショー始めるで!」
「ここで負けては名がすたる。勝ちに行くぞ!」
「俺が一番に決まってるだろ!」
根菜たちが非常にやる気満々である。根菜同士の戦いは1日に何ラウンドも開催されるので大変だ。
「うふふ、妻である私が旦那様の一番ですよ」
ハクサイもやる気だ!…これ公平に審査出来る自信が無いのだが。圧倒的にハクサイが有利だ。俺が愛するハクサイを無条件で選びそうだから。
そのため、元野菜の美少女&美女たちが共演する、豪華なファッションショーを公平な形で終わらせるために先手を打つ!
「勝ち負けというよりも、お前たちの可愛い姿を見せてくれるだけで俺は満足だ。父親や夫にアピールすることで勝負しなくても、俺はお前たちみんなを愛している。さぁ、着替えておいで」
(決まった!これは父親や夫としての威厳を高めたに違いない!)
どうだと言わんばかりにドヤ顔を隠しもしないでいたら…。
「親父逃げたなー」
「お父様、逃げるのは良くないと思うぞ」
「お父さんは石橋を叩いて渡るよりも、鉄の橋を探すタイプなんだな」
「貴方に一番だと言って欲しかったのに」
(アレー!?)
逆効果だったようだ。
その後つつがなく妻と娘3人の〇〇〇〇で買ってきた洋服のお披露目も終わり、夕食の準備の時間になる。
ずっと独身だった俺は実は料理上手だった…のだが、ハクサイとサツマイモとニンジンは料理が俺より上手なので、俺の出番はない。ジャガイモは…、これから頑張れ。
ハクサイはまんべんなく様々な料理が得意で、料理の基本がしっかりしていて、レパートリーもとても広い。栄養バランスの考え方も上手である。
サツマイモは和食特化だ。サツマイモは出汁の取り方が上手で優しい味付けに仕上げて来る。逆に中華料理のように短時間で仕上げる料理は不得手のようだ。
ニンジンはもはや言うまでもなく粉モノでは右に出るものがいない。たこ焼きをコロコロさせたら大阪のたこ焼き屋も目が点になるほどのピックさばき。そしてお好み焼きにサツマイモが取った出汁を使うなど、姉妹の連携プレーも織り交ぜてくるので侮れない。
ジャガイモは包丁で食材を切る時にまな板まで切ってしまうところから改善する必要がある。
…お父さんは応援しているぞ。
いつも私の小説をお読みいただきありがとうございます!
今後もお楽しみいただければ幸いです。
ぺこり。