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愛情込めて育てたら、野菜が女の子になった件  作者: たまこねこ
一章 スローライフはほど遠い?
3/9

2話 お洋服買いに行こっ♪

 俺が運転するコンパクトカーに乗り込んだ家族たち。し○○らまでのちょっとした道のりでもイザコザは絶えない。


「サツマイモ!ウチが持ってきたポテチ食べたやろ!?」


「何のことだ。姉上が景色に見とれている間に外に飛び立ったのではないのか?」


「ポテチが外に飛んでいくワケがないやろ!?!?何言うとるんや!?」


「あ、ほら今飛んでいるぞ」


 あ、本当に飛んでる。


「あー!ウチのポテチ!楽しみにしとったのに!なんで!?なんで飛んでるん!?」


「ちょっとニンジン、静かにしなさい」


 ハクサイが騒ぐニンジンをたしなめる。


「なんでポテチが飛んでいるのかはわからんが、また買ってやるから落ち着くんだニンジン」


「せやなぁ…。飛んでったもんは仕方がないもんなぁ」


 俺たちが乗る車は順調に…走っていけなかった!何かが突然俺たちの車を持ち上げた!


「おっす!ニンジンごときが騒がしいから、本当ならお父さんが来るまで待ってようかと思ってたんだけど、我慢しきれなかったから追っかけて来たぜ!」


「「「「…え?」」」」


 ここに来て初めてのパターンが登場した!直接世話をしている時ではなく、愛するハクサイとやんちゃながら可愛いニンジンと、真面目に凛々しく俺の仕事の手伝いを積極的に行う真面目なサツマイモとは違い、世話をしている最中ではなく、自分の意思で登場したようだ。


「俺はジャガイモ!お父さんの畑で過ごしてたんだが、サツマイモが人間になる所を目撃して、いてもたってもいられなくなったんだ!」


「出た、根菜類同士の争い」


 ちなみに、自由を手に入れたポテチはジャガイモの周りをうれしそうに飛び回っている…。


「どうしましたか貴方?」


「いや、なんでもない」


 今のところハクサイ以外はみんな根菜類なのだ。


 ニンジン・サツマイモ・ジャガイモ。


 ニンジンとサツマイモの時点であれだけ活発にイガイガしているのに、同じ芋同士のサツマイモとジャガイモでは、これは世界大戦のごとく争いが勃発するのは明白だった。


 だが先に大事なことを伝えなければなるまい。


「ジャガイモ、とりあえず車を下ろしてくれ。このままじゃ車が壊れそうだ」


「あ、お父さんごめん今下ろすよ」


「それでジャガイモ、お前は俺とどういう関係になりたいんだ?」


 俺の家族たちは人として生まれる(?)時にはすでに自分の立場をある程度考えていたようだったので、ジャガイモにも一応聞いておく。


「んー、ニンジンとサツマイモの方が先に人間になったみたいだけど、根菜の主役は間違いなく俺だし、嫁でよろしく」


「ちょっと待てやコラー!親父にはもうハクサイのオカンがおるんやで!?」


「そうだ!いくらジャガイモの方が消費量や生産量が多いとは言えども、そんな暴挙は許せんぞ!」


「…」


 ニンジンとサツマイモが反論する。


(一番反発しそうなハクサイが黙っているのは何だ…?何か事情でもあるのか…?」


「ふふふ、仕切り直しだ!俺はお前らと違って主食も担える立場だからな。しかもニンジンとは違い、ポテトになれば子供たちにも大人気だし、サツマイモと違ってバカみたいに大きくなりすぎないぞ」


「何の話をしとんねん!?主食かどうかよりも、野菜としての立場が大切やろ!」


「姉上の言う通りだ!姉上は貴様にも負けない主役級のはず!それに私たちは同じ根菜同士とはいえ、おイタが過ぎるぞ!」


「そうかぁー!?お父さんの視線を見てみろ。お前らとの違いがわかるハズだぞ!」


(あ、バレてた)


 ジャガイモは身長が低い割に、出る所は出ており引っ込む所は引っ込んでいるという、大変魅力的なスタイルをしている。顔は日焼けしたスポーツ美少女。髪型はショートカットだ。


 ハクサイの手前、出来るだけ見ないようにしていたのだが、俺は意思が弱い。どうしてもチラチラと目がいっていて、目ざとくそれを察知されていたようだ。


「…」


 ハクサイの方をちらりと見てみたが、ハクサイは相変わらず何も言わないようだ。


「ちょっとオカン!このままやとジャガイモが(私が母だ、よきにはからえ)とか言いながらウチらの家庭をぶち壊すに決まっとるで!」


「そうだぞ、お母様!私たち姉妹は根菜同士だからパワーバランスの問題もあって難しい所があるが、お母様なら葉菜類だし、あのにっくきジャガイモを言いくるめ…」


「ジャガイモ!!!」


 !?


「黙って聞いておけば私たち親娘の今までの成り立ちを無視して好き勝手言いだして…!!」


 今まで黙っていたハクサイは、怒りをため込んでいたのか!?


「旦那様も巻き込み【正妻】の座を狙うとは何たる暴虐!徹底的に叩きのめしてあげますわ!」


 ハクサイの手になにやら禍々しい渦が凝縮されていく。ジャガイモの怪力もそうだが、ハクサイもなにやら特殊な能力があるのだろうか?


「…親父。死ぬときは一緒やで。ウチも覚悟は出来てる」


 ニンジンは巻き込まれる前提で勝手に覚悟を決めている。


「お父様は私が守るぞ。最悪刺し違えてでも…!!」


 サツマイモはどこからか日本刀を取り出し、ジャガイモ(ハクサイも?)と戦うつもりだ。


 というか、その日本刀は後で没収である。銃刀法違反待ったなしである。今から〇まむ〇に行くつもりなのに、ウチの娘はなんてものを持ち出すのだ。


 あと、さすがに身長的な問題や、さきほど車を持ち上げたパワー。そしてハクサイの気持ちを考えた俺は、この場を収めるために動くことにした。


「とにかく4人とも落ち着け。ジャガイモ、気持ちはうれしいが俺にはハクサイがいる。お前のことも大切にするが、妻としてではなく子供として接したい。俺の気持ちも汲んでくれないか?」


 すると、もはやハクサイの身体よりも大きくなった禍々しい渦がスーッ…と消えていく。ジャガイモもバツが悪そうに下を向く。ニンジンとサツマイモは様子を見ている。


 場は収まったようだが問題は俺の車がコンパクトカーだという点だ。前はいいとして後部座席に3人乗ると狭いキツい。だが助手席に座るのはハクサイで確定だろう。後ろはニンジン・サツマイモ・ジャガイモだ。揉めそうだがそれしかない。


「とりあえずだ。ジャガイモは後ろに乗ってくれ。車に追い付くようなスピードで並走しているのも困るし、狭いかもしれんが我慢してくれ。ニンジンとサツマイモも、ジャガイモとケンカしないこと。いいな?」


「「「わかった」」」


その後〇〇〇らまで向かう道中では、ハクサイがいちゃいちゃしてくるのであった。

いつも私の小説をお読みいただきありがとうございます!


次話は翌日投稿します。


今後もお楽しみいただければ幸いです。


ぺこり。

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