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愛情込めて育てたら、野菜が女の子になった件  作者: たまこねこ
一章 スローライフはほど遠い?
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1話 それから一ヶ月。にぎやか≠騒々しい

前話のあらすじ:野菜が女の子になったので、スローライフが出来るのか心配になってきました。

「このプリンは長女であるウチのオヤツや!サツマイモには渡さへんで!」


「姉上はもう先に1個食べていたではないか!私がトイレに行っている間に食べていたと、お母様から聞いたぞ!」


「うっ!?オカン、サツマイモにちくってしもうたん?」


「当たり前じゃないですか。ズルはいけませんよ。」


 そんなこんなで妻と娘2人が加わった我が家…なのだが、ニンジンとサツマイモが毎日元気いっぱいだ。2人とも見た目よりも幼い気がする。


 3人が人間になってから1ヶ月経った。見た目はさておき、3人とも元は野菜のはずなのにある程度一般常識があり文字も読める。


 特になんでかわからないが、日本語だけではなく英語や中国語なども読み書き出来るようだ。


「父親の威厳もなにもない」


「どうしましたか貴方?」


「あ、いや少し考え事をしていてな。少し庭に出てくる」


 俺は考え事をするために庭へ出て縁側に腰掛ける。


 3人とも常識も語学力もあるが、まだ自宅と畑以外に連れて行ったことがない。


(今度スーパーに連れて行ってやるか)


 なお、我が家は代々農家をしていたので自宅は4人家族でも平気である。今は少ないが昔は親子で農地と自宅を引き継ぐのが当たり前だったので、2世帯、3世帯住宅を元々建てている割合が高い。


 我が家は2世帯、つまり10人程度は余裕で住める広さがある。


 色々と今後について考えることは多いが、これは大事なことだからもう一度思い出そう。


 ハクサイとはすでに致した。昼間はおっとり美女なのだが、夜は攻守ともになかなかの腕前で、すっかり骨抜きにされてしまった。


 料理や家事全般も上手で、突然人間になった元野菜とはいえ、いい奥さんをゲットできた。


 ハクサイとの間に子供ができるのかはわからないが、ハクサイに戸籍は無いので籍は入れていない。


 ニンジンとサツマイモは娘なので当然そんなことはしないし、ハクサイに菜切り包丁で一刀両断されかねないので、考えてもいない。


 2人とも見た目の年齢で言えば高校に通わなくてはいけない頃なのだが、これも戸籍がないので無理な相談である。


 ちなみにニンジンのうさ耳は格納可能なようで、引っ込めると、外国人の美少女ぐらいにしか見えない。


(まぁおいおい考えていこう)


「なーなー親父。なに考え事しとるん?」


「姉上!お父様の邪魔はよくないぞ!」


「まー固いこと言うなやー」


 ゆるいけど活発なニンジンと、剣士風の見た目通りにきっちりとしたサツマイモ。性格は正反対だがなんだかんだで2人一緒に行動していることが多い。


「2人ともスーパーって知ってるか?」


「知っとるでー。お菓子とかジュースとか他にもお肉やらお魚やら色々売っとる所やんな!」


「姉上…。私たちは元野菜なのに野菜に少しは言及してくれ…。」


「今度近くのスーパーに家族で行こうかと思ってる。まだ皆で外出したことが無いから、最初のお出かけがスーパーになるな」


「近くのスーパーっていうと、あのライオンのキャラクターがお尻と手をフリフリしながら、来てねー♪ってテレビでCMやっとるあのスーパーに行くん!?」


 近所のスーパーのマスコットキャラクターであるライオンは、俺が住んでいる県内においてはそこそこ知名度があり、CMもそこそこの頻度で打っているせいかちびっ子にも人気だ。


「そうだ。そのスーパーに行くぞ」


「姉上が出かけるとなると、色々と心配なのだが…。小学生よりやかましそうだ」


「こらサツマイモ!姉に向かってなんちゅうことを言うんや!ウチは空気の読める大人の女性なんやで!スーパーで騒いだりせえへんわ!」


「その自信がどこから湧いてくるのかわからんが、静かにしておいてくれ」


「ムキー!我が芋…やなかった!妹ながら生意気なヤツやでー」


(いや芋なのは間違いない)


 俺は心の中で静かに突っ込んでおいた。


「あら、お出かけですか?じゃあサツマイモちゃんに合う普段着を用意しないといけませんね」


 娘2人が騒がしいので、ハクサイが様子を見に縁側へ出てきたようだ。


「あー…。確かにこの格好のままでスーパーに行くのはよろしくないよなぁ」


「そうですよ貴方。というよりまずはしま〇らに行って、みんなのお洋服を揃えた方がいいと思います。私たちは元は野菜でしたし、貴方も女性ものの洋服は持っていないでしょう?」


 あれ?そうなるとこれまでの着替えはどうしていたんだろう?


 疑問に思いながらもハクサイに、これまでどうしてたの?という視線を送ると、さすがの良妻は視線だけで全てを察したのかの如く、疑問に答えてくれた。


「今までは毎日夜にみんなの服を洗濯して、ドライヤーで一生懸命乾かしていましたよ」


「なんだってー!?!?」


 そんなことになっているとは知らず、改めて思い返せば3人とも人間になった時に着ていた服しか持っていないのだ。一か月も経ったのに気づいていない俺は無神経にも程があるという話である。


 冷や汗がドンドン出て来るのを感じながら、ハクサイに提案する。


「明日は仕事は置いておいて、みんなで洋服屋に行かないか?」


「ええ、明日はちょうど雨のようですし、水やりなどの管理もいらないでしょうから大丈夫だと思います」


「やったー!明日がお出かけやでー!」


(洋服…フリルが付いた可愛いスカートとかもあるのだろうか!?)


 三者三様の思いを抱きつつ、我が家は眠りにつくのであった。


 …もちろんハクサイに寝室でフォローするのも忘れない。

いつも私の小説をお読みいただきありがとうございます!


次話は翌日投稿します。


今後もお楽しみいただければ幸いです。


ぺこり。

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