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「カテゴリ2の劣等生」

合作小説となっていて、世界観を決めるときも二人でよく話し合いました。



初の合作連載です!

誠心誠意書き上げた作品です。どうぞお楽しみいただけると幸いです。 ―みるく


今回、合作させていただきましたむしゃです。

たくさんの方に読んでいただけたらなと思っています。たくさんの感想・レビューお待ちしています!―夢紗


登場人物(とうじょうじんぶつ)


設定・本文制作:みるく,夢沙

挿絵:夢沙



・ミラ 16才


ウエスト・魔術専門高校に通う女の子。

髪色は淡い水色。身長は低く性格はおとなしい。

「カテゴリ2」の風を司る魔法使い。


・タロット 16才


ウエスト・魔術専門高校に通っている女の子。ミラの幼馴染。

髪色はピンク。背が高くスタイルがいい。 誰にでもやさしく接する。

「カテゴリ8」の重火力を司る魔法使い。


・教官 40才


魔法省と呼ばれる組織で、軍と協力し新しい戦闘技術の育成を担っている。

ウエスト・魔術専門高校、1年E組の教師。 小説を愛している。

「カテゴリ6」の闇を司る魔法使い。


**



*Chapter1 「カテゴリ2の劣等生。」



ぱくぱく。

今日の昼ごはんである、購買で買ってきたコッペパンを食べてフルーツ牛乳を飲む。

んむー、今日も格別の味だ。近くが牧場なおかげか近くの牛乳屋がうちの学校に毎回売りに来るものをいつも飲んでいる。


挿絵(By みてみん)


椅子に座って一人でその味に浸っていると、私は幼馴染であるタロットから声をかけられた。


「ね~ミラ。 ちょっとブレザーの中に風送ってくれない?」

幼馴染のタロットが私を扇風機扱いしてくる。

いびつな魔法陣を空に浮かべて、私はタロットの服の中に風を送り込んだ。


タロットは私の幼馴染。

おさない頃から私とよく遊んでいるし、今でもよくおうちでお泊りする。


「そうそう、それ。そこそこ。すっごく気持ちいい!」

魔法が発動した。扇風機程度の本当にやわらかい風がタロットのブレザーのなかでゆらめいている。そしてそれと同時に私の水色の髪の毛もゆらゆら動いている。


「やっぱりミラが「風属性」で得したよー、これからも涼しくしてね?」

そう無邪気な顔でタロットは言ってくる。悪気はないんだろうけど‥。


「はぁ‥」

私はため息をついて作り笑いを浮かべてみた。


扇風機じゃないのに。

これくらいしか出来ないからなぁ‥。


私は「カテゴリ2」の魔法使い。

「カテゴリ」っていうのはレベルみたいなもので、10が一番強くて‥私はその中でもほとんど魔法が使えないレベルの魔法使い‥。学校には「カテゴリ5」の人が多い。


魔法も使えないのに、魔法の高校って‥。

私はそうやってネガティブに考えながら、フルーツ牛乳を飲んで気分を紛らわした。

いつしかお昼休みが終わりの時を迎えた。



**


「ウエスト・魔術専門高校」

政府が認めた、魔法使いの人だけの学校。

古めかしい校舎の横にはちょっときれいな女子寮と男子寮があって見た目はほとんど一般の高校と変わらない。魔法に関する授業が多くて、今から始まるのも実践授業。


今から森に移動して「討伐訓練」が始まる。

命に関わる危険な授業なので、先生たちの目線も怖いし周りのみんなの目線も怖い。

私は制服のベルトに愛用しているMP40というサブマシンガンを引っ掛けた。


更衣室に武器を取りに行っていたので、急いで戻ろうとすると、もうクラスのみんなは移動し始めていて、整列してしっかり並んでいる。私は置いてけぼりだ。


おいていかれないようにそーっと列の後ろに並んでついていくと、やがてグラウンドよりも少し向こう側にある森の入口へと到着した。


森の入口へと到着したと同時に先生が号令をかけ、私たちは班ごとに分かれて「討伐訓練」を行うことになった。今回私が選ばれたのは「C班」。


「C班」は成績が優秀な人が多くて私にとってはプレッシャーがすごい。

タロットちゃんも「C班」に所属していて、それ以外にもいろいろな生徒がいる。


みんなはステッキを構えているのに、私だけ構えているのはサブマシンガン。

違和感がすごくて、周りの人も一斉に私の方向に視線を向けている。


「よーし、みんな聞け! これから行われる実践には本物のモンスターが用いられる! みんなには班ごとに森に居る5等級のモンスターを協力して退治してもらう。」


そう先生がいうと、私達は一斉に「はい!」と活気とやる気があふれる声で返事した。


「C班!進みまあす!」

そうタロットが言うと私たちは森の中へと進み始めた。

森の中は薄暗く、クモがたくさん居そうなジメジメした雰囲気だ。


「ねぇ、タロット。クモこわいよ‥。」

私がそう言うと、タロットはわざと隣に植わっている樹木をゆさゆさと揺さぶる。


「わぁああやめてよタロット!」

私は虫とモンスターが大嫌いだ。だって怖いもん。

案の定、揺さぶられた木からはクモが垂れ下がってきて‥。


「うわぁあああ!! やだ! くもこわい!」

私はそう言うとサブマシンガンを構えてクモに向かって一発、二発と発砲し始めた。

一心不乱にただクモの方向に向かって撃ちまくる。


ダダダダッとキレのいい射撃音が静かな森の中に一気に響き渡る。

さすがに、他の班員たちもびっくりしているようで悲鳴を上げながら床でうずくまっていた。


「ちょっとミラ! さすがにクモに向かって撃つのは駄目でしょ!」

そういって若干タロットは怒っている様子だ。


「だって!タロットだって私がクモ苦手って知っているのに、わざと揺らしたでしょ!」

お互いに睨み合っていると、他の班員や先生からも睨まれた。


「クモはいいから授業に専念しなさい!」

腑に落ちない様子だけど、私達は素直に謝った。


**


森の浅いところから深いところに進むに連れ鬱蒼とした空気はさらに濃度を増し、

徐々に濃いカビの匂いのようなものもするようになってきた。


うす気味悪い気配を感じる。そろそろモンスターが出現するだろう。

私たちはざわざわと話し始めて、そして身構える。


「ミラちゃんは後ろで援護して、私達がやっつけるから。」

そう先生が言った。


指示に従った私が後衛に下がった瞬間、近くの茂みから狼の様なモンスターが私に襲いかかろうとしてきた。


「ミラっ!!」

タロットが私の名前を叫ぶのと同時に重火力の魔法をモンスターに放つ。

辺り一帯の雑草や樹木があっという間に燃え落ちる。


茂みからはコボルトと言われるモンスターが3匹ほど飛び出してきた。


「あれが今回の討伐目標のゴボルトよ!みんな陣形を組み直して。」

陣形を組み直し、皆で3体のモンスターに魔法を浴びせた。


1体、また1体、そしてまた1体とどんどん魔法を浴びせ続ける。

辺り一帯の景色はとても幻想的になっていた。雷槌、光線‥もはやなんでもあり。



しばし辺り一帯の景色を眺めている間に相手の5等級のモンスターは、私以外の優秀なC班の一斉攻撃で直ぐに討伐完了。


私は最初から最後まで見ていることしか出来なかった。

援護するどころか守られていた。


「ミラ、大丈夫だった?」


「う、うん。」


タロットが心配して、手をさし伸ばしてくれた。

私はタロットの手を取ると同時にタロットに引き寄せられた。


ドォーンッ!!!!


大きな地響きと地割れ。

私が先ほど、うずくまっていた場所には巨大な拳が振り下ろされていた。


「あれは3等級モンスターのオーガ!!何故こんなところに!?」

髭を生やした赤黒く染まった図体が見えると同時に大きなオーガの瞳は私たちを睥睨(へいげい)する。周りのみんなや先生も足がビクビクと震えているようだった。



「すぐ撤退よ!急いで!!」

先生が慌てた様子で指示をする。


皆が撤退をする中、私は恐怖で足が動かなかった。

まるで、地面が私の足が動くことを拒んでいるように。


「何してるの!? 早く逃げなきゃっ!」

タロットが手を引っ張るが、足は動かない。

私は顔をこわばらせ怯えている。怖い。怖いんだ。


オーガが拳を振り上げて第2の攻撃を仕掛ける。

グヌヌヌッ!


大きな唸り声とともにオーガの身体がメキメキと動き出す。

私に向かってきたオーガの拳を先生が必死に抑えている。



「早く逃げなさい!」

平静を装いつつも戸惑いと焦りを隠しきれない先生が私に向かってそういった。

それをぼんやりと顔をこわばらせながら聞いている‥。



聞いていて思った。


私はいつも守られてばかり‥強くなりたい‥。

そんな想いが心の奥底から込み上げてきた。

負けてられない‥、逃げちゃダメだ!


ダダダダッ!

凄まじい轟音と共に薬莢がどんどん転がっていく音が静かな森に響き渡る。


私はオーガに向けてマシンガンを乱射した。

挿絵(By みてみん)

「何してるの!? 逃げなさいと言ったはずよ!」

怒る先生。だが私はその言葉も耳に入らず。


「戦わせて下さい!」

懇願するように私は言った。今の私ならやれる!


「何いってるの!? 相手は3等級モンスターなのよ?! ミラ、あなたはカテゴリ2の魔法使い。どう考えてみたって無茶よ!」


私は今までの私が嫌だから‥!

無茶でも無謀ではないと信じて戦う。

オーガは少し怯んだと思ったが、倒れる気配は全然ない。


グオオオオオッッッ!!!!!

大きな唸り声をその場に轟かせるオーガ。

むしろ、怒らせてしまったみたいだ。


ドォーーンッッ!!!!!!


オーガは両手を組み、一気に振り下ろしてきた。


先生が私を掴んで引っ張り、拳を回避する。


「怒らせてどうすんの‥。」

はぁ‥はぁ‥と息を荒くする先生。


「こうなったら倒すわよ! タロットも手を貸しなさい。」


「はいっ。」

先生は先頭に立ち、私たちの盾になった。


グヌヌッ

先生が持ちこたえている間に‥


「早く、攻撃を!」


「はい!」

タロットは重火力の魔法陣を描く。

空中に様々な図形や計算式、文字列が陣になって描かれる。

その魔法陣はどんどん拡大していき‥やがてオーガ一体を覆うように描かれた。


とても幻想的だ。



ブォォォンッ!!!

炎の熱気が私にまで伝わってくるほどあつい!


流石、カテゴリ8だけあって凄い火力だ。

あのオーガも弱っている。


負けじとばかりに私も少し歪な魔方陣を描きながら、サブマシンガンを乱射した。


ダダダダッ!!

薬莢の落ちる音がどんどん速度を増していく。

無骨な鉄で出来た銃身はどんどん温度を増していき‥、それだけでは終わらない。

サブマシンガンの銃弾が風の魔法により威力を増していく。

さらにタロットの火力も捲き込んでオーガの体を貫いた。


グァァァッ……

無残な姿になったオーガはやつれていて、もうまぶたも開きやしない。

ズドーンと地響きを響かせながら今その大きな顔や身体を地面に埋めた。


オーガは力尽きて倒れた。


倒したんだ、倒せたんだ‥私たちが‥。

私は今までの戦闘の中で1番役に立てたと感じた。


「やった、やったよ!勝った!!」

私はとてもよろこんで、その場で飛び跳ねた。

だけど、まわりはへとへとのようだ‥。


「やったじゃありません。上官の命令違反です!」

先生はかなり怒っている。


うう‥よく考えてみれば当たり前だ。私が命令違反をしてタロットを危険にさらさせたのだから。


「厳しい処罰を覚悟してください。」

舞い上がった気分も一瞬にしてどん底にまで引きずり落とされて‥私はしゅんとしてその場に座り込んだ。


「はい…」


**


オーガを倒して学校に戻ると私の処分が決定した。

先生や上官からきつく怒られたあと、私には2週間の停学と大量の反省文が言い渡された。


ぱくぱく。

女子寮の屋上でいつものコッペパンを食べ、そしてフルーツ牛乳を飲む。


「反省文も終わったし、あと1週間なにしよー。」

私は、時間を持て余していた。


「ミラ、ここにいたんだ。」

振り向くとタロットがそこにいた。


「あれ、授業は?」


「今、昼休み。やっぱりミラがいないと暑くてやってらんないよ~。」 


「また、ブレザーの中に風を送ってよ。」


「う、うん。」


私は空中に歪な魔方陣を浮かべ、タロットのブレザーの中に風を送り込む。


「やっぱ、ミラの魔法は最高だな!」

微笑むタロットの顔は相変わらず私より遥かに可愛い気がする。


私もそんなタロットの顔をみてほほえみながら返す。


「ありがと、タロット。最近の学校はどんな感じ?」


「ふつうー。変わった事といえば、オーガが出てきた森が立ち入り禁止になったくらいかな。」


「立ち入り禁止? なんで? 」


「普段オーガが出てくる様な森じゃないんだけど、今回、オーガが出てきたから危ないってなってね。オーガが出てきた原因もまだ不明らしいよ。」


やっぱり、あのオーガってすごく危ないんだな‥。

タロットは私よりすっごーく強いけど。でも‥、私のせいでタロットを危険な目に合わせたという罪悪感が胸の奥から迫ってくる。


「そうなんだ。」

私はこころなしかちょっと声のトーンを低くして返事した。


「でも、あの時のミラ、本当にかっこよかった。」

タロットの瞳は私を真っ直ぐに見つめている。


初めて、認められた気がした。

いつも守られているだけの私を卒業したい。もっと強くなりたい。

そう心から、今再び、強く想った。


*Chapter1.「カテゴリ2の劣等生。」 おわり。



一話の時点からもうテンションアゲアゲで制作!

第二話もお楽しみいただけると幸いです。 ―みるく


第一話、お読みになってくださりありがとうございます。

これからも応援よろしくお願いします! ―夢沙

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