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'PARTS' 16 今後の予定

翌朝、タカ達は宿の食堂で集合して、朝食の時間を過ごしていた。


「ベッドがふかふかで、昨日はぐっすり眠れたっすよ~」

「うんうん。タカがあんなに拘ってた理由が分かっちゃったね。いいベッドだと疲れもスッキリ取れちゃうもん」

「だなぁ。なんであんなに柔らかくて清潔なベッドって言うのかと思ってたけど」

「だろ? あんな木箱の上で寝てたって、疲れなんか取れるかっての。屋根と壁がある分、野宿よりかはマシだろうけど」

「不覚。いつの間にか寝てた」

「不覚って、オイオイ。まさか、夜這いでもかけるつもりだったのか~?」

「ん。ルグには珍しく察しがいい」


ミリエラの言葉に、ガックリと肩を落とすタカ。


「あのなぁ・・宿で寝るときくらいは気を抜かせてくれよ・・」

「気を抜いてていい。何も危ないことはないから」

「お前の行動のどこに安全があると?」

「ちょっと添い寝をするだけ。ただ、タカの隣で寝るときは寝相が悪いかもしれないっていうだけ」

「寝相で片付けられるか! ったく・・侵入防止の魔法、考えとかねぇと」

「そんなこともできるのか? 'PARTS'魔法は」

「その魔法を構成する'PARTS'があれば、な」

「で、これからどうすんだよ? テメェに協力するって話から、'PARTS'魔法を使えるようになるってトコまでしか聞いてねぇぞ」

「あぁ。んじゃ、とりあえずのデカイ目標と、早めに片付けたい目的、あとは、この宿を確保できた半月以内に達成する目標の話をしようか」

「もうそんなに考えてあるんだ」

「ん? アニキ、ちょっと待ってくれ。今、半月以内に達成()()目標っつったよな? 達成したい()()()じゃなくて?」

「言ったぞ? 1人でもやる予定のモンだからな。半月もありゃ、余裕で達成できる。まぁ、詳しい話は飯食ってから、俺の部屋でやろーか」

「あ、またなんか俺の中の常識が壊される予感がしてきた・・」

「諦めろ、ダイン。今ある常識は残らねぇって宣言されてたろ?」

「そーだな。まぁ、直に感覚も麻痺るだろーし、好きなだけ混乱しといてくれ」

「ん。容赦ないところも素敵」

「これがタカっすもんね~」

「・・ミリエラとウィシィが1番最初に常識なくしてく気がする」

「ですねぇ・・」




それから、朝食が済んだ一同はタカの部屋に集まる。1人部屋に10人も入ると、流石に圧迫感が凄いことになっているが、話の内容が内容なだけに仕方がないと文句を口にする者はいない。


「んじゃ、まずは目先の目標に関しての話だ。ここはお前らの目的とか予定があったら、変更の必要もある部分になるんだが、何か先の予定とか立ててたか?」

「いや、特に予定らしい予定はないな」

「大体、カイトがノリと勢いで決めてたもんな、次の目的地とかって」

「冒険者ってのはそんなモンだろーが」

「あ、でも、いつか王都には行ってみたいね~って話はしてたよ」

「そうですね。でも、それは観光が目的みたいなものですから、この街を拠点にしたいっていう話でしたら、特に問題はないと思いますよ?」

「察しがいいな、オイ。そんな話してないよな?」

「タカさんはなんだかんだで私達皆に甘いですから。私達の予定を狂わせないように聞いてくれているっていう前提で考えれば、当然だと思いますよ?」


アンの言葉に、軽く肩を竦めるタカ。


「バレバレだってんなら、回りくどい聞き方はやめるか。この街を拠点にしたくない奴、もしくは、他の街で拠点にしたいトコがある奴は教えてくれ」

「質問っす~」

「なんだ?」

「拠点にするってどういう意味っすか? ボク達、これまでもあっちこっちの街を中心にしてクエスト受けたりしてたっすけど、それとは違うんすか?」

「ちょっと違うな。この街に永住するわけじゃないけど、かなり長い間滞在しようと思ってる。だから、その期間中ずっと宿暮らしってのも金がもったいないから、家を買う」

「「「意味が分かんねぇ」」」


ウィシィの質問に対するタカの回答に、カイト少年、レジィ、ルグからのツッコミが重なった。ダインも怪訝そうな顔をする。


「金がもったいないのに、家買うのか? その方が高いぞ?」

「短期的に見ればな。でも、今の宿に泊まるのに、この人数だと半月で金貨10枚必要だったんだぞ? 1ヶ月なら20枚だ。半年過ぎりゃいくらになると思う? 120枚だぞ? それが全部払い捨て。家を買ったら、いくらになるのかは分かんねぇけど、いらなくなりゃ売っていくらかは戻ってくる。長期間滞在するんなら、買った方が得な公算の方が高いんだよ」

「なるほど。それで、どのくらいこの街にいられるかを確認する為に私達の予定を聞いた?」

「そうだ。せっかく買っても、あんまり短期間で他の街に移ることになっちまったら、損しちまうからな」

「よく考えてんなぁ。でも、それって家買う金があればの話じゃね?」

「そりゃな。でも、半月で金貨1000枚くらいなら、ドロップアイテムの換金でなんとかできそーだろ? 昨日の換金結果から考えりゃ」

「ブハッ!? 金貨1000枚!? テメッ、どんな豪邸建てるつもりだ!?」


タカの提示した予算に、カイト少年が噴き出して全力でツッコミを入れるが、タカは平然としている。



タカはこの世界の金銭感覚が掴み切れていない。しかし、大まかには把握している為、大雑把な予算を立てることはできるので、余裕をもった予算を口にしたのである。


カイト少年の反応を見る限りに、大雑把過ぎる予算のようではあるが。



「あくまでも最大でだっての。獲物の群れを見つけられるかどうかでも、稼ぎはかなり変わっちまうだろうし」

「稼げるかどうかが魔物を見つけられるかどうかの問題だけなのか・・」

「あとは、ギルドの金庫次第だな。場合によっては、別の街のギルドに持ち込まなきゃならんだろうから、そうなったら移動のタイムロスがちょっと痛い。まぁ、そのときは俺が単独で別の街に行って換金すりゃいいだけだけど」

「どうしてタカ1人でならいいんすか?」

「高速移動の魔法を使うから。お前らと会った場所からこの街までなら、半日もありゃ往復できるし」

「・・やっぱり常識が壊れてく音がするなぁ・・・」

「歩いて2日の距離を、半日で往復、ですか・・メチャクチャですねぇ・・」


遠くを見るような目で言うダインとアンに、思わず苦笑を浮かべてしまうタカ。


「まぁ、直にお前らもできるようになるさ。とまぁ、そんなわけで、家買うのがこの半月での目標。貯める金額は、このあとマカサにでも聞いて決める」

「・・ツッコミどころは満載だけど、まぁ、分かった。クエストはどうする?」

「狩りの邪魔にならないようなのなら受けてもいいだろ。稼ぎにはなるし」

「ってなると、護衛とかはダメだよな。自分から魔物に突っ込んでいかなきゃ、狩りなんてできねーし」

「ドロップアイテムの納品とか採集系のクエストなら問題ねぇよな」


レジィ、ルグ、ベイク、カイト少年の間で、冒険者としての活動に対して軽く方向性を話し合い、ダインがそれに首肯したのを確認してから、次の目標について口を開くタカ。


「んで、だ。もう2つ。こっちは半月でって言い切れねぇけど、なるべく早くに片付けたい目標だ。1つは、お前らが'PARTS'魔法を扱えるようになること。その為に、魔力制御の訓練をしてもらう」

「魔力の制御って、どうやるのよ? 詠唱魔法じゃそんなの必要ないから、サッパリなんだけど」

「マジでか。流し込む魔力の強弱を調節と魔力の流れを制御ができなきゃ、'PARTS'魔法は多分扱えねぇぞ?」

「ゲ。マジで?」

「組み立てた'PARTS'に、適切に魔力を流してやんなきゃ発動失敗になってたからなぁ・・そういう制御とかってもう感覚でやるしかねぇんだけど、それだけに説明が難しいんだよな・・まぁ、いいや。ケティに丸投げしてやろ」

「うわ、まさかの丸投げ宣言出た」

「ケティって、妖精族だっけ? なんでそいつに丸投げになるんだ?」

「あいつ、'PARTS'を渡してやったら、即行で'PARTS'魔法発動させてたし、この前初めてやったばっかりだから、俺よりかは魔力操作の感覚が言葉にして説明しやすいんじゃないかと思ってな」

「いきなり成功させたのか。噂通り、妖精族ってのは魔法に強いんだな」

「らしいな。んで、もう1つは、精霊族との繋ぎを取る」

「は? 精霊族と?」

「・・えっと、タカ? 精霊族って、どういう種族か知ってて言ってる?」

「確か、魔素が収束して生まれた種族で、成り立ちが魔物とか魔獣と似てるせいで迫害に遭ってたんだろ? そのせいで、妖精族以外との交流は断絶。現在は、どこにいるのかも分からない幻の種族、でいいか?」

「うわ、知ってて言ってるよ」

「当てなんかあるのか? まさか、精霊族に知り合いがいるとか?」

「当てはあるぞ? ケティに繋ぎを頼んであるし」

「妖精族。でも、そんなに簡単に会える?」

「さぁ? でも、なんとかするしかないんだよな。俺の最大の目的達成の為には」

「アニキの最大の目的・・な、なんか聞くのが怖ェ気がするんだけど」

「ビビるこっちゃねぇさ。ただ、この世界に'新しい風'を吹かせたいってだけでな」

「'新しい風'? どういう意味?」

「世界ときたぞ。スケールがパネェ・・」

「何、そう大した話でもない。もうずっと新しい技術の開発も技術の発展もないだろ? 例えば、物流。道中が危険なせいで、遠くの名産品とかは名前は知ってても目にする機会もないし、隣街の距離でも多くの物資のやり取りはできない。それを改善できれば、不足してる物を余ってるトコから買えて、こっちの余ってるものを別の足りないトコに売り払える。それができるようになれば、余分に生産して、金を稼ごうって考える奴も出てくるだろうし、他の街とのやり取りが増えれば、自然と技術交流も生まれる。今までになかったやり方や目の付け方が、何か新しい物を生み出すかもしれないし、現在あるものを発展・進化させてくれるかもしれない。1つを改善するだけで、他のモノが芋づる式に進む可能性があるんだよ、こういうのは」

「いやいやいやいや。そもそも、道中の危険ってのがそう簡単に改善できるわけないだろ? そりゃ、'PARTS'魔法を皆が使えるようにでもなりゃ、ずっと安全にはなるかもしれないけど、タカさんの秘密をバラ撒いたりするのが前提なのか? それは」

「まーさーかー。'PARTS'魔法は全体に行き渡らせるのは、まず無理だからなぁ。'PARTS BOOK'のオリジナルには数に限りがあるし、そもそも、危なくておいそれとは他人に教えられないし譲れない。複製を作るつもりだけど、それだってこの世界の人種族とか妖精族、精霊族全体に行き渡らせるくらいに作るとか、アホみたいに時間が掛かるし」


ダインの言葉に、軽い調子でダインの懸念を否定するタカ。それに、安堵の表情を浮かべるダイン達。


「だ、だよな。フゥ・・それも簡単だとか言われたらどうしようかと思った・・」

「ただ、手段は考えてる。'PARTS'魔法を普及させるんじゃなくて、マジックアイテムの方でな」

「マジックアイテム、ですか?」

「そ。今あるマジックアイテムでも、攻撃用とか防御用とかあるだろ?」

「あるにはありますけど、精々が弱い魔物に対する牽制にしか使えないような物ばかりですよ? 一般の方々にはそれでもないよりはマシかと思いますけど」

「それを発展させる。素材がよくなりゃ、必然的にマジックアイテムの効力も上がるし、今は流通してない素材を流しゃ新しいのを思い付く奴も出てくるだろ? 出てこなくても、俺が出させるつもりだし」

「タカさんが出させるって、どうやってだ?」

「適当に人を雇って、考えさせる。俺のアイデアもブッこんでな」

「雇う、か。でも、アニキ。今は流通してない素材って、要するにアドラコみたいな普通は倒せないような魔物とか魔獣のドロップアイテムのことだろ? そんなの自由に触れるようにしてたら、持ち逃げするアホが絶対に出るぞ? っつーか、真面目に考える奴がいねぇと思う。俺達はアニキが常識外にムチャクチャスゲェのは分かってっから、新しいマジックアイテムとか言われても'やりそーだ'くらいにしか思わねぇけど、そんなの普通は無理だって思うぜ?」

「信用できる奴を雇うったって、俺達も人脈なんかないし、タカもそうじゃねぇの?」

「まさか、あのマカサってオーナーを頼るつもりか?」


ベイク、カイト少年、ダインからの指摘に、首を捻るタカ。


「・・・持ち逃げとかするか?」

「するな。売れば大金になるんだぜ? それなりに金持ってる奴を雇うんなら話は別だろうけどよ。そんな奴が新しいマジックアイテムを作るなんてアホみたいな話に乗るわきゃねぇ。乗ってくるとしたら、余裕がなくて、何でもいいから金になる話が欲しいって輩ばっかだろうからな」

「マジでか。成功すりゃ、一攫千金なんだぞ? 他にないだけに、市場独占できんだから」


タカの言葉に、軽く首を左右に振るアン。


「普通はそこまで見通せませんよ。それよりも、目先の欲に飛びつきますね」

「うむぅ・・・信用できる相手を作るって言っても、そう簡単にできりゃ苦労はねぇし・・・いっそ、恐怖支配でもするか? いや、でも、それだとビビっちまって自由に思い付いたり実験したりとかなんかできなさそうだし・・」

「奴隷はダメ?」

「奴隷? いるのか?」

「いる。それなら、主人には逆らえないし、従順に働く」

「・・奴隷、か・・・」


ミリエラの提案に、表情を渋くしてしまうタカ。


「マズイ?」

「いや、マズくはないけど、抵抗が、な・・・ちなみに、奴隷ってどんな風にして奴隷にされるんだ?」

「色々。借金だったり犯罪だったり」

「奴隷として生まれてくる人もいますよ。両親が奴隷だったりすると、そうなりますね」

「あとは、身売りだな。小さい村とか街、それに、孤児院とかで金に困って子どもを売るトコなんかが奴隷のメインだって言うぜ?」

「あたし達も、売られそうになって逃げてきたんだもんね~」

「マジでか。過酷過ぎだろ」

「タカの国ではなかったの?」

「まぁ、少なくとも表向きは。奴隷の如く働かされてる連中はざらにいたけど」

「それと似たようなモンなんじゃないのか? まぁ、自由があるかどうかの違いはあるだろうけど」

「・・奴隷が主人には逆らえないってのは?」

「命令に違反すると、首輪が締まるらしいよ?」

「うわ、マジか。命握られてりゃ、そりゃ逆らえんわな」

「雇う相手を探すよりかはずっと現実的な解決策だと思うぞ? 高ランクの冒険者は斥候役に奴隷を買ったりするって言うし、金持ちは家のことを奴隷にさせてるって話もあるしな」


ダインのその言葉に、懸念を口にするタカ。


「ふむぅ・・お前らは抵抗ねーの? 奴隷にされるのが嫌で逃げて冒険者になったんだろ?」

「嫌っつーか、許せなかったんだよ。ミリエラ達を性奴隷にするとかほざき出しやがったから」

「・・なるほど。こんだけ可愛けりゃ、そっちの方の需要はたっぷりってか」

「俺とベイクとルグとウィシィは、孤児院が潰れちまって、行くトコなかったから、カイト達についてったんだけどな」

「もしかして、国が動いたからか?」

「違うっす。スタンピードで街がボロボロになったときに、建物がブッ壊れたっす!」

「私達が売られるという話になったのも、スタンピードで出た損害を埋める為っていう話でしたから」

「あ~、そういうことね・・」

「抵抗がまったくないわけじゃない。でも、タカなら奴隷に酷いことはしないと思ったから言った。間違い?」


ミリエラの言葉に、タカはポカンとなってしまう。


「言えてる言えてる。変なトコで奴隷にされるより、タカに買ってもらった方が幸せっぽいよな」

「無茶振りはしても、ムチャはさせなさそうだしな」

「ビビりまくりそうだけどな。タカ、鬼だし容赦ねーし」

「言うことはブッ飛んでるしなぁ。新しいマジックアイテムを作るとか言われたら、皆目が点になるんじゃね?」

「アニキの強さ見たら、全員憧れまくって惚れ込むに決まってんじゃねぇか」

「む。これ以上、嫁が増えるのは困る。構ってもらえなくなる」

「タカ、買うのは男限定にしようね? 女の子はナシで」

「えぇ~? そんなむさ苦しい空間作んのか? 流石にタカも嫌じゃね?」

「傍には常に私達がいるんですから、構わないですよね?」


タカの懸念に対して、意外な程に肯定的な意見を口にするダイン達と奴隷を得る方向で話を進め始めるミリエラ達に、慌てて口を挟むタカ。


「いやいやいやいや。待て。買うことが前提になってるけど、お前らはマジでいいのか? そりゃ、俺が買ったとしたら、最低限、綺麗な寝床と美味い飯、毎日の風呂、自由時間と適当な休日くらいは作るだろうけど」

「それ、もう、奴隷の待遇じゃねぇぞ」

「この人、サラッと奴隷の常識までブッ潰すつもりだ」

「しかも、サラッと風呂まで付け足したし。毎日とか言ってるし」

「・・そうなのか? でも、しっかり働いて、煙が噴き出すレベルに頭使ってもらおうと思ったら、それくらいは必要じゃないか?」

「あ、働かされるレベルがキツイのだけは奴隷っぽい」

「煙が噴き出すって・・あ、でも、タカの話についてったら、そうなるか」

「奴隷の境遇はかなり厳しいらしいですよ? 食事も満足に与えられなくて、基本的には使い潰し前提だとか。性奴隷だけは与えられる仕事が仕事なだけに、清潔にされて食事もしっかりと摂らされるらしいですけど、飽きられると人としての尊厳を踏みにじられるとか聞いたことがあるくらいですし」

「そうなのか・・まぁ、それなら、俺が買った方がまだマシ、なのか? っても、それはかなり先の話だ。今は置いとかせてくれ。一応、考えてはおく」


アンからの奴隷の置かれる環境に対する説明に、多少は前向きに意識を変えつつも、判断を保留するタカ。



現代日本で生きてきたタカにとっては、やはり奴隷というのは抵抗が強いのだ。



「ん。でも、買うのは男だけ」

「念の為言っとくが、俺は基本的に女の子には優しいけど、男には厳しいんだ。そういう話聞いて、どっちを優先するのかは理解しとけ」

「むぅ」

「でも、ボクにはずっと優しかったっすよ? 男だと思ってたっすよね?」

「アホ可愛い奴は性別越えてほっとけないんだよ。お前みたいなのがそんなにいて堪るか」

「それって、ウィシィが1番気に掛かってるってことぉ?」

「そりゃそうだろ。女だって分かったばっかりなせいで無防備なトコ多いし、やたら素直ですぐに騙されそうだし」

「ボク、そんなに簡単に騙されたりしないっすよぉ」

「・・まぁ、危なっかしいからっていうのは分かる」

「だろ? さて、とりあえず、魔力操作の訓練の目処を立てないとな」

「目処を立てるっても、どうすんだ? その妖精族に丸投げするっても、ここにいないだろ?」

「話だけなら聞けるから」

「「「「「は?」」」」」


上がる疑問の声を無視して、タカは指輪に魔力を通した。


「ケティ。今、大丈夫か?」

『あ、タカ~? うん。だいじょぶだよ~ん。どしたの? 昨日、夜遅くまであんなにお喋りしたのに、またケティちゃんが恋しくなっちゃった~?』



突然聞こえてきた声に、一同驚きに声を無くしてしまうのだった。

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