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短いです

塔から出たアンジェリカはこの邸でベールをつけたまま過ごしていた。部屋からは一歩も出ず誰にも会わない、父親ですら会いに来ない。


「これなら塔のほうがましだったわ。刺繍も出来ないし。アンナに会いたいわ」


アンジェリカがつれてこられた部屋は元々アンジェリカが使っていた子供部屋だった。場所は一階、日当たりもいい。窓から外の様子が良く見える。窓から外へ、、、そう考えたが逃げても行くところもない。塔から馬車でここまできたが大分かかったように思えた。歩きでどれほどかかるのか想像もつかない。


「王子様がくる前に塔から出てしまったわ。この場合どうなるのかしら。ふふっ、考えても仕方ないことね」


やることもないので部屋を探索することにした。アンジェリカが幼い時のままらしいが10年ぶりに入ったここは他人の部屋のようだった。それでもアンジェリカは見つけた。


誕生日に両親からプレゼントされた金髪碧眼の小さな女の子の人形をギュッと抱くと声をつまらせながら呟いた。


「あなたこんなところにいたのね。姉妹のようねって、、、」


髪と瞳の色が変わりはじめ、家族からの愛情を受けらなくなったアンジェリカの慰めになったこの人形。塔に連れていかれる日これだけはと離さなかったこの人形。今は誰だったか思い出せないが幼いアンジェリカの小さな腕に抱かれた人形を無理やり取られ引き離された。結局塔には何も持たせてもらえなかった。


(あのあとアンナにはたくさん迷惑かけてしまったのよね)


早々に探索はやめた。思い出に浸かっても仕方がない。愛された記憶より捨てられたという事実は自分の中でより大きなものになっていた。


今度こそやることがなくなってしまったアンジェリカは子供用のベッドに横になる。




アンジェリカが起きたときすでに外は暗くなっていた。


「お腹がすいたわ。アンナのお茶も飲めなかったし。家の中を勝手に歩いたらダメかしら。ダメよね」


今日は諦めることにした。










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