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ウィンレット侯爵家の領地へやってきたアークヒル達は馬を休ませる為に川で休憩していた。


「もう少しかな」


上流へと目を向けると何かが流れてくるのがわかった。


「そこの人!お願い、それとって!流されちゃう!」


女性の焦った声につられるように濡れるズボンも気にせずバシャバシャと川へ入っていくアークヒル。慌てたのは護衛達だった。


「殿下!危ないです。お戻り下さい!」

「殿下!私が行きます!お上がり下さい!」


「ここは浅いし大丈夫だよ。それに女性の為に川へ入るなんて男の中の男って感じで悪くないだろ」


そういって流れてきたものを、走り寄ってきた女性に渡す。


「ありがとうございました。大切なものなんです」


「いいえ。そんなに大切なものなら今度は気をつけて」


「はい!」


アークヒルより少し年上だろうその女性は渡した布を本当に大切にしているらしかった。大切な布とはなんだろうと気になったアークヒルは


「それ私にも見せてくれないかな?」


「ええ。どうぞ」


それは目の前にいる女性の顔が刺繍されたハンカチだった。


「とても上手に刺せているね。これをどこで?」


「これは私のご主人様が刺してプレゼントしてくれたものです」


「あなたのご主人は手先が器用なんだね」


「そうなんです。刺繍だけでなく小物も作って私にもくださるんですよ。これも見て下さい。エプロンまで作ってくださるんです」


「それは素敵なご主人だね。」


「はい!」


「ところでそんな素敵なご主人の名前をお聞きしても?」


「それは、、、」


突然口をつぐんでしまった女性に何か言えない事情があるのだとこちらから話すことにした。


「無理して言わなくてもいいよ。私もこれから人と会う約束があって急がないといけないんだ。君の名前は?」


「お忙しいところありがとうございました。私はアンナといいます」


「じゃぁまたね。アンナ」


「ええ。お気をつけて」


(またね?きっと会うことはないと思うのだけど。このハンカチ無くさずにすんで良かった!早く帰ってアンジェリカ様にお茶を出さなくちゃ)


アンナは何の警戒心も持たず塔へと歩きはじめる。さっき別れたはずのアークヒル達につけられているとも知らずに。




塔の側まできたアンナは窓からアンジェリカが手を振っているのに気が付くと大きな声で話しかける。


「アンジェリカ様!紅茶を分けてもらってきましたよ!お茶にしましょう」


アンナは塔へと入っていった。








「アンジェリカ、、、間違いない、あの子だ。」




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