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アンジェリカの国の夜会では遅れて届いた隣の国の噂でもちきりだった。


「なんでも黒目、黒髪の女性を探してらっしゃるのですって」


「第一王子の婚約者選定ですってね」


「でも、いなかったらしいですわ」


「第一王子といえばアークヒル様ですわね。なんでも神の力を与えられたとか」


「そうですわ。なんでも髪であったり瞳の色が変わったとかなんとか。はっきりしたことは分からないのですけど」


「!!!」飲みかけのワイングラスと握りしめていた扇がぶつかりカチャンと音を立ててしまう。


「あら?お久しぶりでございますわね」


「、、、えぇ。うちの人が息子に爵位を譲ってからは領地へ戻ることが多くて。それより今のお話をお伺いしても?」


「まだお知りになられてないの?隣の国の第一王子の、、、」


アンジェリカの母親は夫が息子に侯爵位を譲ってから夫婦で領地にいることが多くなり、王都での噂話を耳にする機会はなかった。今聞いた話は噂ではあるが『髪と瞳の色が変わった』という娘と同じ症状に驚かされた。


夜会から帰った母親は今日聞いた噂話を夫へと伝えることにした。

二人はこの話をアンジェリカへするべきか、今更どんな顔であったらいいのか、娘の成長した顔すら想像もつかなかった。




そんなある日、前侯爵であるアンジェリカの父親は王宮へと呼ばれることとなった。王宮には爵位など関係なく多くの貴族が集められていた。


「待たせた」

と入ってきたのはノーブライト国王だった。その場にいたものが一斉に臣下の礼をとる。


「楽にしてよい。今日は皆に人探しを頼もうと思っているのだ。皆に例のものを」

使用人達がそれぞれの貴族へと絵姿を渡す。


「そなたらの領地にこの様な娘がいないか早々に確認してほしい」


アンジェリカの父親はその絵姿に6歳のころから塔に閉じ込めた我が子の成長した姿をみた。そして

「、、、アンジェリカ」

と呟いてしまった。


王以外話さず静かな空間の中での呟きはその場にいたものすべての注目を浴びる。


「ウィンレット前侯爵だったな。アンジェリカとは?」

王から直接尋ねられた前侯爵は娘に似ていると言うしかなかった。塔に閉じ込めていること、髪と瞳の色が変わってしまったことは言わなかったが。


前侯爵は持ち帰った絵姿をアンナへ見せた。「アンジェリカ様ですね」と言うので間違いはないだろうと王宮へとこの絵姿は自分の娘であるとの報告をした。



ザライスコ国は他国をしのぐほどの国土の大きさと軍事力を持っていた。こちらに恩を売ろうと必死に探すのではないかと考えたザライスコ国王は、小鳥が運んできた刺繍を元に絵姿を作成し『この娘を探している、万が一いた場合丁重にもてなすつもりがある』と各国へ送ったのだ。


そしてまんまとその娘は隣国で見つかったのだ。





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