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ドラゴンになりたいッ!!  作者: コロッとしたもの
第1章:「で、結局ドラゴンじゃないのね・・・」
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第5話:神が絡むと大体チートフラグが立つ

第5話:神が絡むと大体チートフラグが立つ



――――――――――



「ローズって召喚士なんだよな?」

「そうだけど?」

「だったらさ、何か召喚してみて欲しいな」


 軽い好奇心でローズに頼んでみると、予想以上に張り切った様子で椅子から勢い良く立ち上がる。


「最近、召喚士っぽい仕事も来てないし腕がなまっても困るからねぇ…いいよ、何を召喚してほしいんだい?」


 おおぅ、マジか。暖炉の中で寝そべっているイフも「お、そういえば久しく見てないな」と珍しく乗り気だ。


「うーん…」


 しばらく考えたけど具体的なイメージは湧かなかったので「とりあえずなんか出して」の一言だけにした。


「OK!んじゃとりあえずなんか出してみるわね」


 ローズが部屋の床に敷いてあった絨毯を丸めると、そこには白ペンキのような塗料で描かれた魔法陣が広がっていた!


「おおー、雰囲気出てきた!」


 ローズが壁に掛けてあった杖を手に取り、ぶつぶつと詠唱を始める。目には見えないが、大きな魔力の流れが魔法陣の周囲に収束していくのがしっかりと感じられる。



『我が呼びに応え…顕現せよ、【とりあえずなんか】!!』


 ってええぇぇっ!?マジで「とりあえずなんか」で呼び出しちゃうんだ!?

 魔法陣は激しく光を放ち、光が収まると…いや、その光が人の形をとっていっている。見た感じは古代ローマの女神が身につけてそうな服装をしてて、頭の上に乗っているのは月桂冠かな?


「アル、成功したよ。とりあえずなんか呼べた」

「…で、誰?」

『あらぁオギノさん、誰だなんてひどいですねぇ』

「って…まさか神(仮称)!?てかアルで通してくれっ!」


 暖炉にいたイフもたまらず飛び出し、俺の横に付く。


「お、おい!まさかあんた、転生前にナビしてた…」


 そこまで言ったところで、その人(?)はゆっくりと頷いた。


『はい、お久しぶりですねアケチさん』

 

「マジか…」

「マジなのか…」


 ローズは開いた口が塞がっていない。驚きの表情を浮かべている。


「まさか、あなたは『輪廻の女神ロンデラ』様ですか!?」


 するとロンデラは『ご存知の方がいらっしゃいましたか』と気恥ずかしそうに頷いた。


「え、知ってるの?ローズ」

「あ、ああ…生と死を司る女神で、生前の行いによって次の生に加護や罰を与えると言われている。まさか女神である彼女を召喚するなんて思いもしなかったよ」


 ローズが話していると、ロンデラがおずおずと手を挙げた。


『あのー…、この姿のままでは魔力消費がかさみますし、何より目立ってしまいます。何か依代があればいいのですが』


 依代、要するに器みたいなものだな。でもこのあたりにそれっぽいのあったかな?…あれ?イフは何でこっちを見てニヤニヤしてるのかな?


「コイツを依代にすればいいんじゃないかな?」

「ちょっ、いきなりそれは」

『いいですね、オギ…アルさんなら適性もありそうですし、お邪魔致しますね』

 そういってロンデラは俺の着ぐるみとしての体の周囲に光として纏わり付き、そのまま吸収されていった。


【称号:神の依代を入手しました】


『あ、アルさんは以前魔力適性が無いと言われていましたね。ちょうどいいので適性をつけておきましょう』

「…だ、そうだ。ローズ、ちょっと前やった適性チェック、やってみてくれ」

「え、ええ」


 ローズは前にやったように、俺の額に手をかざす。


「そんなっ!本当にあるのこんな事!?」

「で、どうだった?」

「どうも何も、すべての属性の魔法を覚えられるようになってるわ!流石は神の加護って所ね」


 ぜ、全属性だってー!?なんてわざとらしく見えるが、今はガチで驚いている。



「ならローズ、魔法教えてくれないかな!?」


 女神ロンデラの加護のお陰ですべての属性の魔法を覚えられるようになったんだ、今のこの着ぐるみの体と相性の良い魔法を習得すればもっと使い勝手が良くなると思う。


「で、どの属性の魔法を覚えたいんだい?」

「氷属性と火属性を、初歩的なものだけでいいからパパッと教えて欲しいんだ」


 ローズは「パパッと程度が一番説明しにくいんだけどなぁ」と言いながらも丁寧に教えてくれた。


【スキル:火魔法Lv0を習得しました】

【スキル:氷魔法Lv0を習得しました】


「とは言ってもさ、初歩の段階では自身の熱を多少上げたり、逆に下げるだけしか出来な…」


 その直後、「ああっ!」と何か閃いたようだ。ふっふっふ、ようやく俺の計画が理解出来たようだな!


「無事魔法も習得出来た事だし…ローズ、着てみる?」

「もちろん!」


 ローズは意気揚々と俺を着込む。そのまま俺は【氷魔法Lv0】を発動させる。


「っはぁー…きもちぃー」


 多分、俺の中は涼しくなっている筈だ。ローズも気持ちよさそうに「涼しぃー」とテンションも高い。


【称号:空調服を入手しました】


 お、称号も追加されたな。うまうま。ひとまず今のステータスを確認しておこう。



――――――――――――――――――――――


ウェアドラゴン【ランクE】 Lv4/24


 名前:アルフレッド


 状態:被服


 HP:82/82(+3)

 MP:107/107(+5)

ATK:34(+1)

DEF:34(+1)

MAT:77(+3)

MDF:74

AGI:37(+1)


パッシブスキル:[痛覚軽減Lv3][ダメージヘイトLv1]


スキル:[ステータス閲覧][発声]

    [念動力Lv3][被服補正Lv1][被服吸収Lv1]

*[火魔法Lv0]*[氷魔法Lv0]


 称号:[転生者][クレーマー][ホラー人形][燃えるゴミ][放火犯][害虫駆除業者][雑巾]

    [二束三文の安物][パワードスーツ][人見知り][ミイラ取りのミイラ][対リア充決戦兵器]

    *[神の依代]*[空調服]


 補正:[ HP+ 5%]  [ MP+ 5%]  [ATK+ 5%]↑ [DEF+ 5%]

    [MAT+ 5%]  [AGI+ 5%]

    [火攻撃+90%]↑ [火耐性+20%]↑ [水攻撃+30%]↑ [水耐性+30%]↑

    [氷攻撃+20%]↑ [氷耐性+30%]↑ [雷攻撃+20%]↑ [雷耐性+20%]↑

    [風攻撃+20%]↑ [風耐性+20%]↑ [土攻撃+20%]↑ [土耐性+20%]↑

    [光攻撃+20%]↑ [光耐性+20%]↑ [闇攻撃+50%]↑ [闇耐性+20%]↑

    [対虫系+10%]

    [取得経験値+50%]  [進化必要レベル-20%]  [HPMP吸収率+20%]↑



――――――――――――――――――――――




「なんじゃこりゃあぁぁぁああ!?!?!?」

「うわっ!何!?びっくりした!」


 急に大声出して悪かったけどさ、この補正何?何なの?属性関係軒並み上がってるんだけど!?


「ちょっ、ロンデラ!これどういう事!?」

『私も一応神ですからねぇ、依代のあなたにはそれ位の恩恵がないと私の威厳も保てないのです』

 面子保つのにこんな豪華な補正くれるなんて、流石神様だな。ああ、そうそう。前から気になってたんだけどさ、[ダメージヘイト]ってどんなスキルなの?良く分かってないんだけど。

『端的に言えば、「嫌いな相手にほどよくダメージが通る」でしょうか?相手へのヘイトに比例してこちら側の与えるダメージが増えるスキルです』

 成程、ようするにアンジー相手には効果覿面なスキルって訳だ。

『ホントにアルさんはアンジーさんの事が嫌いなんですね』

 あたぼうよ、ぬいぐるみの恨みはなが――く続くものなんだよ。覚えときな。



――――――――――



 ローズが空調服でまったりしてた時、ドンドンといきなり家のドアがけたたましく鳴った。


「ローズさん!ローズさん居たら開けて下さい!!」

「ん、何だろ…」


 ローズが俺を脱いでドアを開けると、中肉中背のいかにも小市民風の服を着たおっさんが大量の汗を滴らせハァハァと息を荒げていた。結構画的にきつい。


「ああ、良かった!…ッハァ、実はさっき連絡が…っ、あって、ハァッ。街に魔物の…ッハァ群れが攻め込んできたんだ」


 ハァハァ言うな、気持ち悪い!


「とりあえず水飲んで。そんなハァハァ言われたら怖いわよ」


 ローズはコップの水をおっさんに渡すと、勢い良く飲み干した。


「す、すみません…で、ローズさんの所のイフさんに魔物の討伐をお願いしようと伺いました」

「随分久しいな、最後に攻めてきたのは相当前だったしな」


 イフがそう言いながら暖炉から出てきた。おっさんはイフを見ると軽く会釈する。


「お久しぶりですイフさん、早速ですがお願いしてもよろしいでしょうか?」

「今回の数はどのくらいだ?」

「はい、およそ100から150といったところです」

「多っ!?」


「え、多いんだ。普段はどれくらい相手にしてたんだ?」

「4、50くらいだったんだが」

「それでも多っ!」


 流石にイフ一人じゃぁ、仮に戦えても疲労が凄いことになりそうだ。


「アル、あんたも行ってイフの手伝いをしてやったらどうだい?」


 お!俺にも白羽の矢が!


「でも俺、攻撃関係からっきしだしさ…」

「なに、簡単なことさ」


 なんかやけにニヤニヤしながらローズが俺を見る。


「イフがあんたを着て補正掛ければいいんじゃない?」

「成程その手があったか!よしイフ、着ろ」

「断る」


 その瞬間ローズがイフにデコピンを食らわし、そのまま彼の頭を鷲掴みにした。


「分ってると思うけど、魔物討伐は今や貴重な収入源なんだよ。今更変な意地張って生活苦しめるつもり?」

「…わかった」


 ローズがチャックを開け、その中にイフが入る。すると不思議なことにイフの体格に合わせて俺の身体が少しずつ縮んでいく。

 少し経てば、外見は「ちょっとデフォルメされて可愛くなった四足歩行ドラゴン」になった。


「っ…んじゃイフ、フフッ!さっさと倒しに行…ププッ」


 イフが頷いたので、それに合わせて「プピー」と鳴らしてみた。


「ぶはっ!」

「んじゃイフ、行ってくれ」


 たまらず噴き出したローズを横目にイフは猛スピードで街道へ出て行った。


「ところでイフ、ステータス補正はどんな感じだ?」

「そうだな…」


「火属性の攻撃力が底上げされてるが…せいぜい1割弱といった所だな。あとは全属性の攻撃と防御がそれぞれ数%に…まぁ、火属性以外の補正は無いに等しいな」


 そ、そんな辛口評価頂いて私も光栄でございますよ!



 …代わりにイフのHPとMPちょっと頂いておこう(全快だけど)


「なっ、何をする!」


 文句を言ってきたので、俺は気持ちドヤ顔で返してやった。



「運賃だよ、運賃」

この回で手に入れた称号の詳細は次回にします。

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