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ドラゴンになりたいッ!!  作者: コロッとしたもの
第1章:「で、結局ドラゴンじゃないのね・・・」
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第2話:拠点の確保はお早めに

第2話:拠点の確保はお早めに



――――――――――



「アンジー、これってどういうことなの?確か掃除と留守番を頼んでいたはずなんだけど…」


 アンジーの母親が彼女に問いただしている内に、こっちはこっちの用事を済ましてしまおう。


【スタッフド・ドラゴンからドラグドールへ進化しますか?】


 もちろんYESだ!早速頼む!

 俺の全身を微かな光が包み込み、じんわりと暖かな力が全身を巡る。

 俺の体を這っている縫い目は手縫いのものから更に頑丈な縫い目に…見た感じミシンで縫われたかのような物になり、両手で触って分ったが、両目のズレも無くなっている。あとは生地が厚手になり、色が黄ばんだ色からオレンジ色に、あとは中身の綿の密度が上がった。


【ドラグドールへの進化が完了しました】

【スキル:念動力Lv2を取得しました】

【スキル:痛覚軽減Lv2を取得しました】





――――――――――――――――――――――


ドラグドール【ランクF】 Lv1/15


 名前:アルフレッド


 状態:通常


 HP:25/25

 MP:36/36(+1)

ATK:10

DEF:10

MAT:26(+1)

MDF:25

AGI:12


パッシブスキル:[痛覚軽減Lv2]↑


スキル:[ステータス閲覧]

    [念動力Lv2]↑


 称号:[転生者][クレーマー][ホラー人形][燃えるゴミ][放火犯][害虫駆除業者]


 補正:[ MP+ 5%]  [MAT+ 5%]

    [火攻撃+50%]  [火耐性-10%]  [闇攻撃+10%]

    [対虫系+10%]

    [取得経験値+50%]



――――――――――――――――――――――



 って手作りから既製品になっただけじゃねーか!!


「ママがくれたぬいぐるみよ!アイツが火をつけたの!ほら、アイツ!…えっ、あれっ!?」

「何変な事言ってるのアンジー、いつ私がそんなモノ縫ったのよ!?全然違うじゃない!」


 ふははは、指差しといて残念だったなアンジー!どうせそんな事言うだろうと思って進化して姿を変えておいたんだ!信用されるわけ無いだろそんな事言ってさぁ!俺を踏んづけた罰だザマーミロー、バーカバーカ!


『子供ですか…』


 アンジーに大打撃は与えられたからもうこんな場所に用は無い。奴が母親と口論になってる間にさっさとその場から去ってしまおう。


 さて、[念動力Lv2]か。今度はちゃんと飛べるだろうか?ひとまず前回と同じように全身を浮かすイメージを捻り出してみると、ふわりと俺の体は宙に浮かんでいった。


 っしゃぁ!成功!翼を羽ばたかせればますます竜っぽく見えるぞ、これはおいしい。

『ますます呪いの人形っぽく見えてきましたね』

 ほっとけ。コレでいいんだよコレで。


 しばらくは逃げるように飛んでいたが、ほんの5分程で空模様が怪しくなり雨が降ってきてしまった。


『これであの火事も収まることでしょう』

 だろうな。まぁそっちはそっちでいいとしても、こっちはこっちで大問題だ。

『どうされました?』

 いやな、雨降って俺の体、水吸っちゃって凄く重たいのよ。このままだと…あーダメだ、高度下がる。


 重くなった俺の体はそのまま地に落ち、過度に水を吸ったおかげで[念動力Lv2]でも動かせないほどに重くなってしまった。


 雨は本降りになり、冷たい石畳の上で俺はただ雨ざらしになるだけ。このまま晴れて乾いたら物凄く臭くなって【称号:雑巾を入手しました】とかメッセージが出るんだろうなぁ…やだな、それ。



――――――――――



「おや、これは…?」


 俺の頭上から誰かの声が聞こえてきた。


「こんな所で雨ざらしだなんてかわいそうに…」


 声の調子からしたら俺と年の近い女性っぽいな。


「ひとまず…持って帰ってみるか」


 おおっ!いきなり連れて帰るとか大胆だな!とか思っていると彼女は俺の首の後ろをつまんで雑巾のような扱いで運んで行く。案外彼女の家は近いらしく、5分も掛からずに目的地に着いた。

 彼女は俺の胴体を両手で持ったかと思うとそのまま雑巾を絞る要領で…ていうか完全に雑巾絞りだろコレ。


【称号:雑巾を入手しました】


 そのまま体内の水分を搾り出され、俺の鳴き袋も切ない音をひねり出した。


「プー、ピー…」 


 …泣ける。



――――――――――



「ただいまー」


 彼女の家は思ったよりも豪華で、床面積こそは小さいが内装は落ち着いた配色のレンガの壁に暖炉が設置されており、厚手の絨毯も雰囲気を出している。こんな家でクリスマスを迎えたかったなぁ…彼女いなかったけどさ。


「とりあえずこの子は暖炉の上でいいかな」


 お、いいポジションに置いてくれたな。ちょうど彼女と正対したので姿を確認しておく。

 ただの布っていうよりは装飾が結構ゴツくあしらわれている緑色のローブのようなものを羽織っている。その下には襟元から裾にかけて銀色の飾り布が目立つ服に、すこし茶色っぽいスカートに革のブーツという魔道職なのか戦闘職なのかわからない服装をしていた。

 長くウェーブした金髪に青い瞳、顔立ちも俺を縫ったアンジー母よりも断然美形である。


「こりゃ先に風呂と洗濯ね、もう雨でグズグズだわ」


 そう愚痴りながら彼女は奥の部屋へ入っていった。



 一人残された俺が辺りを色々と見回していると、いきなり声が聞こえてきた。


「おい、そこのゴーレム」


 ゴーレムってまさか俺のことを言っているのかな?ひとまずきょろきょろしながら「俺?」的な感じで自分の顔に腕を持ち上げる。


「下だ、お前の真下」


 見下ろすと、暖炉のすぐ下に赤黒いドーベルマンのような犬が寝そべって…ってそこ下っていうより暖炉の中!?見た目結構ビビるわ!


「やっと見つけたか。で、魔物のお前がローズの家に何の用だ?」


 ローズ?…ああ、彼女の名前か。でも用事といわれてもなぁ…


「とりあえず何か言え」

「プピー」


 仕方ないので鳴き袋を鳴らしてみた。


「そんな音立てて誤魔化そうとするな!ちゃんと喋れ!」

 ああもう、そんなこと言われても無理なものは無理なんだよこの分からず屋っ!

「プピッ!」

「そうか、死にたいようだな」


 え、なんでそういう結論になるの?ちょ、口の中燻ってますよ!俺火耐性全然無いんだけど!


「もういい、殺す」

「ぷぴぃぃぃぃぃ!」


「こらっ!何やってんのイフ!」


 イフと呼ばれたイヌはビクッと体を強張らせる。


「ろ、ローズ!わかってるのか、こいつは…」


 ローズは濡れた髪をタオルで拭きながら部屋に入ってきた。


「わかってる、恐らくはゴーレムの一種でしょう?その反応なら無害っぽいし、しばらくここで乾かして飾ったって大丈夫かと思うわ」


 ローズが半乾きの俺を腕に抱くとイフはうろたえた様子で彼女を見上げた。どうやらイフはローズに弱いらしい。彼女に抱かれた俺を恨めしそうに睨んでいる。


「フン、命拾いしたな」


 そう吐き捨てるイフの目には明らかに嫉妬の色が浮かんでいた。なるほど、そういう事か。いかつい外見しておいてお前相当な甘えたがりだな?そうなんだろ!?

 へへ、残念だったな特等席は俺が頂いたぜフヒヒーベロベロー♪


 そんな目でイフを睨み返してみると、イフは物凄く悔しそうな顔をし、目はかすかに潤んでいた。


「さて、とりあえずこっちの事を教えておくよ。さっきもイフから聞いたよね、アタシはローズ。召喚士をやってる。んで、コイツがイフ。アタシが召喚したヘルハウンドさ」

「プピー」


 なるほどな、召喚士と聞くと結構お高い役職のイメージが強い。住んでる家が豪華なのもやっぱり給料高いからなんだろうなー、羨ましい。


「あんたの名前は?…って聞いたところであんた、喋れないでしょ?」

「プピッ」


 うんうんと頷くと、ローズは部屋の隅に設置してあるデスクの引き出しから何か固形物らしきものを取り出した。


「このままじゃアレだし、発声装置着けてあげるわ。もともとはゴーレムに取り付けてコミュニケーションをとるための物なんだけど…まぁ、あんたも多分ゴーレムの類でしょうし互換性はあるはずよ」


 そういってローズはその固形物を俺の胸に無理矢理捩じ込む!ちょ、痛い痛い!縫い目破れちゃう!

 しかし、ローズが手を離すと俺の胸にくっついたままの固形物はそのまま胸の中に吸い込まれていった。おぉぅ、謎テクノロジー怖い。


【スキル:発声を入手しました】


「さて、どうだい?話してみてよ」


 心の中で深呼吸し、意を決して声を出すイメージを固める。


「あーあー、只今マイクのテスト中ー」

「言ってる意味全然解らないけど上手くはいったみたいね」


 イフが驚きの表情を隠せずにいる。


「マジか…」


 アンジーにはまた会いたいものだな、次会ったら泣いて発狂するまで罵倒してやるんだ。

『アルさんも悪いこと考えてますねぇ』

 知るか、俺を踏んで燃やしたほうが悪い。それだけだ。



――――――――――――――――――――――


ドラグドール【ランクF】 Lv1/15


 名前:アルフレッド


 状態:通常


 HP:25/25

 MP:36/36(+1)

ATK:10

DEF:10

MAT:26(+1)

MDF:25

AGI:12


パッシブスキル:[痛覚軽減Lv2]↑


スキル:[ステータス閲覧]*[発声]

    [念動力Lv2]↑


 称号:[転生者][クレーマー][ホラー人形][燃えるゴミ][放火犯][害虫駆除業者]*[雑巾]


 補正:[ MP+ 5%]  [MAT+ 5%]

    [火攻撃+50%]  [火耐性-10%]  [水耐性+10%]↑ [闇攻撃+10%]

    [対虫系+10%]

    [取得経験値+50%]



――――――――――――――――――――――


称号詳細――


[雑巾]:水を吸って、両手で絞られて。後はこれのまま床に擦り付けられたら完全なる雑巾になりますね。[水耐性+10%]

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