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ドラゴンになりたいッ!!  作者: コロッとしたもの
第1章:「で、結局ドラゴンじゃないのね・・・」
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第15話:長旅に必要なのは即興より計画

な、謎の改行が入ってたので修正しましたorz


今回は少し短めになります。

第15話:長旅に必要なのは即興より計画



――――――――――



 黒ローブの襲撃から一夜明け、俺達は出発に向けて急いで荷造りをしている所だった。

 部屋を襲った黒ローブの死体は放置すると面倒なので俺が[被服吸収]で片付けておいたからパッと見は異常無しに見える。


「おはようございますローズさん、昨夜はぐっすり眠れましたか?」

「おかげさまでね!」


 荒々しい手際で荷造りをしながら物凄く不機嫌そうに答えるローズに、宿屋の主人はたじたじである。そりゃ俺だってこんな目に遭ったら機嫌悪くなるに決まってるよ!


「次の村か街までここからどのくらいかかりそうかい?」

「ロンドの街でしたら…」

「そこから来てるの、他は?」

「で、でしたらここから馬車で4時間程走ったところに少し大きめの村があります」


 それを聞いたローズは軽く礼をするとすぐに荷造りを再開した。


「ふあぁ…ぁふ、皆さんおはようございます」


 テレジアが大きな欠伸をしながらするするとこっちにやって来た。

 なんか蛇の欠伸って欠伸なのかどうかの判断が難しいな…ただ口を開けてるだけなのか、違いが見当たらない。


「いきなりだけど出発するから10分以内に用事は済ませておいてね」


 なんてローズが言うもんだからテレジアは目を丸くした(といっても元々が丸いから雰囲気の問題なんだけどな)。


「ところで、移動手段はどのようにするつもりなのでしょう?」


 テレジアの何気ない質問に、俺の思考は一瞬止まった。


 …えーと、ここから馬車で4時間だろ?馬車が時速15kmだと仮定しても60kmだよな…徒歩が秒速1.5mとしたら時速で5.4km。

 つまりは次の村まで徒歩でおよそ11時間はかかるって事か。休憩時間とか考えると野宿不可避のパターンだなコレ。


「テレジア、お前には辛いだろうが、徒歩で行くしか無いだろう」

「ううー…そんなぁ」

「火竜王がいたら大分変わったんだろうけどねぇ」 


 イフも諦めたように徒歩を選んだ。テレジアはもうご愁傷様としか言いようが無いな、多分俺達みたいに歩かず全身を使うから相当疲れるかもしれない。


「…いたらなー」


 ちょっと空をチラ見したけど、そんな都合良くブーちゃんが現れる事はなく、ちっこい飛竜の番いがくるくると空を回っているだけだった。



――――――――――



 足早に出発した俺達は、街道をただひたすら歩いて移動していく。


 正直、かなりしんどい。以前ロンデラだ言っていたように、徒歩での消費MPが半端なく上昇しており、そろそろ休憩しないと動けなくなってしまいそうだ。


「ローズ、MP無くて超しんどい。そろそろ休憩にしない?」


 ローズが俺達の方向に振り返り、様子を伺う。イフもテレジアも呼吸が上がって苦しそうだ。


「の、喉が渇いた…もうカラカラだ…」

「あう…お腹が空いてきましたね」


 俺はゴーレムだから特にMP枯渇以外は感じないが、他の皆は空腹も渇水もあるんだよな。こういう時、食費掛からないこの身体は結構便利だったりする。


「あっ!」


 ローズが何かを思い出したかのように叫んだ。すでに隣に座っているイフはまさかといった目でローズを見る。…あー成程、予想できたわ。


「…食料持って行くの忘れてた」

「ですよねー!!」


 思わず言っちゃったよ、ですよねー。


「ぷぴー、ぷぅぴぃ?(団長、アレ木の実じゃないですか?)」

「お、木の実か?」


 白ちゃんが指した近場の林の一角には柑橘系の木の実がたわわに実っていた。コレだけしかないってのが味気ないけど、無いよりは大分マシだ。


「でもコレって食べても大丈夫なヤツ?「食べたら毒入ってて全滅しました」なんてオチ、全然笑えないんだけど」


 するとイフが木の実の前に行き、鼻を近づけてクンクンと嗅ぐ。おお、ここらへんすごく犬っぽい!


「うん、大丈夫だローズ、毒は無さそうだ」

「なら夜の分も見越して少し多めに採っておきましょう」


 ローズって色々と出来そうで意外と抜けてる所多いみたいだな。ロンドの街出るときに「最低限の荷造りをする」って言ってたけどさ、持ってきた鞄が小さすぎて採った木の実が全然収納できてないし…まぁ、そういうミスはご愛嬌って事にしておこう、うん。



――――――――――



「さて、そろそろ休憩しようか?」


 日が少し傾いてきた頃、相変わらず街道の途中だけど2度目の休憩を挟むことにした。早速昼に採った木の実をテレジアが嬉しそうに頬張る…てか頬張るってもただの丸呑みなんだよな、彼女の場合。


「アルは食べなくても平気なのかい?」


 ローズが俺に木の実を差し出すけど、実際俺はMPだけで生きていける身体になってるしそもそも食べる事が出来ない。

 気持ちだけ貰っておく、とは言ったけど…やっぱり寂しいことは寂しい。


「そういえばムートン達の名前、まだ決めてなかったよな?やること無いし今のうちに決めておくか」


 けど、ムートン達は「え?」といった感じに首を傾げた。


「名前要らないの?」

「ぷぴぃー(いえ、それなら)」

「プピ…プゥ(すでに名は頂戴しているぞ)」


 …え、どういうこと?気になって二人のステータスを教えてもらったら、昨夜に便宜上言ってた「白ちゃん」と「黒ちゃん」が名前として認識されていた様だった。まぁ、気に入ったのならそれでいっか…


 ひとまず改めてローズ達に白ちゃんと黒ちゃんの紹介をしておく。ローズから聞いた話、白ちゃんの[光魔法]や黒ちゃんの[闇魔法]は結構珍しい部類らしく、ローズも習得にそこそこ苦労した属性なのだそうだ。ロンデラの加護で全属性覚えられる俺なら多分習得できるだろうし、後で二人に頼んでみよう。




 休憩が終わり、さらに歩みを進める。そのまま時間は経ち、日はすっかり落ちて周囲の様子も暗くなり見えなくなってきた。


「今日はここまでにして野宿の準備をしようか」


 イフは食料となる動物を狩りに、テレジアは木の実等の食料探しに、白ちゃんと黒ちゃんもテレジアと一緒に木の実探しへ出かけた。今はローズと二人きりである。

 ローズは皆が調達した食糧を調理する係になっている。ローズが料理しているところは家にいる時に見ていたが、結構上手に作っておりイフからの評価も上々だ。


「なあ、ローズ」


 呼ばれた彼女は料理の準備の手を止め、俺の方を向く。


「なんだい?」

「ローズの昔話、聞いてみたいな」

「昔話…かい?」


 昨日の襲撃も、以前ロンドの街を襲った奴も、ローズを標的にしていた。俺の知らない所でローズが危険に晒されるのも正直良い気分がしないし、聞けるところは聞いておきたい。

 ローズはしばらく考えていたが、意を決したのか俺に向き直った。


「アタシはね――」

「ローズ、なんとか食糧になりそうな動物を狩ってきたぞ」

「ぷぴぷぴー☆(香辛料になりそうな野草を見つけてきました!)」

「白ちゃんの[光魔法]のおかげで木の実探しがはかどりました。食後にどうぞ!」


 丁度話し始めた所に、タイミング悪くイフ達全員が合流して帰って来てしまった。彼女が料理に取り掛かかろうと俺とのすれ違いざま、俺にこっそり耳打ちする。


「――全員寝静まってから、少し離れた所にある高台に来てちょうだい」


 軽く頷くだけにして、俺は皆の食事風景をただ一人眺めていた。


『あら、あなた一人だけではありませんよ?私もついていますからね』

 そうだったな…ずっと近くにいてほとんど忘れかけてた。

『まぁひどい!女神である私をないがしろに――』


 ロンデラの愚痴を聞き流しながら、俺は夜中になるのを待ち続けた。



――――――――――



「ローズ、来たぞ」


 野営地から100mほど離れた高台に、焚き火をしながらローズが座って待ってくれてた。


「来たねアル、ホラ、ここ座って」


 彼女の隣に腰掛けると、焚き火の灯りに照らされた俺の身体が美しく光る…


「アル、アルは召喚士についてどの位知ってる?」

「んー…」


 前に見た感じの印象としては…まぁアレだな。


「見た感じ給料高そう」

「あっはは!確かに給料は高かったわね!」

「お、当たったな」

「今となっては良い思い出…でもないか、現にこうやって問題に追われてるわけだし…」



 そのまま、ローズは自身の過去について語ってくれた――



――――――――――


次回はローズの昔話になります。

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