影の少年の軌跡②
影の少年が能力者の集うマーベラス国立学院の理事長にかなうはずもなく、致命傷を負いながらも、妖精王を殿に任せて辛うじて逃げ延びた。
この国一のバイパス道路は事故した車達が所々で巨塊なゴミとなって散乱している。
荒れ果てていた。
煙やら意識朦朧やらで薄らぎ歪む視界のなか、影の少年が歩いているバイパス道路のど真ん中に、小さな下駄が落ちている。
カラン、カラン、と。
小さな下駄の持ち主が、片足だけ残った下駄を引きずるように歩いてくる。
影の少年は、目を見開いて、目の前の"着物の少女"に言った。
力無く、遠慮無く、変化無く。
一々手間かけさせんじゃねェよお前。
アルヴヘンテ達に、なんかされたンじゃねェだろうな。
影の少年は、無意識に期待した。
'何も無かった'と少女が返すことを。
彼女が、泣いて飛びかかってくるか、或いは笑って誤魔化すか。
少女は、呟く。
誰にでもない、誰かに。
何処にでもない、何処かに。
不気味に、不敵に、不足に、不遇に。
眼前の目標を紗村賢治と断定。
オペレーションに基づき、速攻たる排除活動に取り掛かります。
道路に落ちていた小さな下駄は、鼻緒が切れていた。
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