悪討ちの悪の二度目⑬
悪討ちの悪の二度目⑬
荒れ果てたバイパス道路の真ん中で立ち尽くしていた賢治は、おぶっているアヴァを見る。
全身に細い切り傷が刻まれていて、赤黒い血が滲み出ている。しかしアヴァ本人はいつの間にか気を失っていて、今では寝息をたてている。
見ている分には痛々しい怪我であったが、どうやら重症という程でもないようだった。
賢治は、とりあえずため息をつく。
ふと、先ほどまで鈴が立っていた場所に目を向ける。
そこには、鼻緒の切れた小さな下駄が、一足だけ落ちていた。
「・・・何だってんだ、ありゃァ」
賢治は目を閉じて、先ほどの鈴を思い返す。
鈴の異変は、賢治の目では一目瞭然だった。
普段の明るい無邪気な鈴が、あんな目をする訳がない。
あんなに暗い目を、する訳がない。
虚ろな瞳、冷たい声音、凍りついたような無表情。
元々の彼女とは縁のないものばかりだった。
こんなの。
こんなの、まるで。
「元の"お前"じゃねェ、別の"何か"みてェじゃねェか」
賢治は180度回り、再び歩き始めた。
得体の知れない暗闇に差し込んだ光を追い求めるように、しかし触れることのできない光を抱きしめに行くように。
マーベラス国立学院、とある階。
洋風のレトロな空間に置かれた古風な木製デスクの上を、人差し指が撫でるように滑る。
人差し指でなぞられた箇所には、'ギラギラと光る光線が張り付いていた'。
それは、一本や二本程度でなく、その大きめな木製デスクを埋めつくさんとする程であった。
その光線の先を追っていくと、デスク側面を伝って床を伝い、そして途中で途切れている。
そこにはーーーーーーーー
「ーーーーおはよう、お嬢さん。冷たい夢につく時が訪れたようだ」
'いくつもの三上鈴と、スーツ姿の男がいた'。




