炎の少年の軌跡⑪
12/24。
雪がしんしんと降るこの日。
赤い斑点が、道に敷かれた雪をじわりと染めていく。
炎の少年は、とめどなく溢れる血を必死に止血しようとしながら、静かな雪道を全速力で走る。
身体のあちらこちらにも、アレルギーのような赤い斑点ができている。
体力の限界を感じたのか、膝から崩れ落ちた。
もう、動かないなんて。
逃げなきゃ。
逃げないと殺される。
後方から声が飛んでくる。
アンタはね、アタシの能力で死ぬんだよ。
知的なイメージを与えるローブを羽織った金髪白肌の女は、倒れている炎の少年のすぐ隣に立つ。
女の額からは、小さな角が生えていた。
その顔は、ニヤリと笑っている。
炎の少年は聞いた。
どうして、僕を執拗に追いかけるんだ。
金髪白肌の女は、肩を竦めてため息をつく。
簡単だ。君を殺したいからだ。
君じゃなきゃ気が済まないんだよ。
ここまで来たのに残念だったね、主人公君。
君の血液は、私の能力によって、君の身体を内部から蝕む。もう助からんな。
止めと言わんばかりに、炎の少年の胸に、女の腕が刺さった。
ふふん、さよなら。
炎の少年は、それっきり動かなかった。
気の毒ね。
けど私は、運命を変えようとした、一線を超えた行為を行った君を助ける気はさらさら無いよ。
神器を勝手に使って好き勝手やったことは見逃してあげた。そうだろう?
神の集う地にて、時女神三女は呟いた。
炎は、冷たい雪に覆われてしまいそうだった。
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