炎の少年の軌跡⑩
迷い続けた。
数千回も同じ未来を見て、やり直した。
もう度が過ぎていて、この感情を果たして辛さ程度の言葉で纏めていいものかと、そう思えるくらい。
真瑠璃が何をどうやっても必ず死んでた。そんな同じ結果を、根拠も無い自信と執念だけで変えようとしてた。
この辛さを分かってくれる人はいない。
絶対にいる訳がないんだ。
でも。
麗華や賢治達なんかは、僕の憂鬱な顔を見ても、何も分かることが出来ないんだ。
何も分からなくても、分からないなりに助けようとしてくれてたんだ。
結局、周りの仲間達が僕のことを一番見えてなかったのかもしれない。
見えなかったのかもしれない。
知りたくっても、何一つとして、理解できない。
辛いのは、麗華達も一緒だったんだ。
だからこそ。
だからこそ、世界の観測者は僕だけでいいんだ。
今までのことを麗華達が知ったら、麗華達が何も出来ないことを悟ってしまうから。
そんなものは、みんなが余計に苦しいだけなんだ。
ありがとう、麗華、賢治、恵、颯、潤希、琴美、穂花、麻友、卓哉。
僕、もうちょっとだけ頑張ってみるよ。
主人公らしく、胸張って行かなきゃ。
さて。
答えは出た。
循環する運命の謎も、解けたんだ。
もう迷いはない。
今までの全てが、意味のあったことだったんだ。
待ってて、真瑠璃。
"必ずそこに辿り着くから"。
たとえこのやり方が間違ってても。
運命を変えられなくても。
会いたいんだ。
ただ、会いたいんだ。
循環しても続ければいい。
この道が、自分のしてきたことが正解だと信じ続けて、進んでいくんだ。
つまづいても、転んでも、泣いても、死んでも。
この道を、どこまでも、歩いてゆこう。
そう決めたんだから。
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