並行世界観測日記②
『私へ。
・・・と書く必要もないんだっけ。
とりあえず、忘れない為にいくつかメモを。
・タイムスリップする度に世界は変動を重ね、元の世界の事実とは大きくかけ離れていく
・無駄なところで道草を食わない(下手なバタフライエフェクトを防ぐため)
・どんな時でも挫けない。まだ活路は見い出せる
・人間は普段、脳の1%しか使ってない。やろうと思えば何だって閃く筈(→自信を持て!)
・由紀くんに会ったら、ちゃんと告白する
何が何でも守り通す。
由紀くんを除外させないで。
由紀くんだって、普通の男の子として生きたかったって言ってたこと、絶対に忘れないで。』
大降りの雨の中で、血塗れで倒れている着物姿の女は、息はしているものの立ち上がる気力すら失っていた。
このまま私は・・・。
意識が朦朧とする視界に映ったのは、どこまでも黒い影の塊。
人型の、影の塊。
この世の終わりのような、黒。
上から見下していた影の塊は、落ちていた女の日記を取るなり、"影で字を書き始めた"。
影の塊は、呟く。
真瑠璃の姐さんよォ。
もう一人で仕事全部片付けようとすんの、そろそろ辞めにしてくれよなァ?
だから死にかけるんじゃねぇのォ。
さんざん、聞き飽きた。
金切り声みたいに、高い声よね。
飽きる程聞いたその声の主を見上げる。
対特殊能力者迎撃隊五番手、"骸縛の黒海"、御身影嗣はそこにいた。
なんで、いつもいつも、他の隊員を頼ってくれねェの、姐さん。
変動率:87.465151...%