第5話
隼人がマンションに着くと、色々疲れたのかベットに倒れ込んで死んだように眠
ってしまった。
どの位寝ていたのだろう。目を覚ますとカーテンの隙間から朝日が……。隼人は
朝日が差し込む窓の大きさに驚いた。デカい、ただデカい。それ以上の言葉はそ
の窓には相応しくなかった。いや、それを窓だと認知出来ただけでも凄い。
隼人は冷静に辺りを見回した。明らかに部屋の広さからして、自分のマンション
の一室ではない。そう……大きな屋敷の部屋のようだ。調度品もなかなかセンス
が良く、欲しいと思ってしまったくらいだ。
「あら?起きた?」
いつの間かにかドアの所に女性が立っていた。風貌からして20代後半であろうか
?
「ここは?」
「冷静ね。ここは吉澤の屋敷よ。あなた、取り壊し予定のマンションに一人残っ
ていたから仕方無くここに運び込んだのよ。」
吉澤と聞き隼人は耳を疑った。吉澤財閥と言えば日本のトップ企業だ。
「取り壊し?そんな話は聞いていませんが?」
「チラシと一緒に入っていたはずよ。」
隼人はチラシ類は読まずしてゴミ箱に放り込む習慣があった。どうやらその時に
捨ててしまっていたのだろう。
「そうですか……気付きませんでした。本日中に出ますのでご迷惑はお掛け致し
ません。」
「出るって…行くあてはあるの?」
「その辺りは……なんとかなるでしょう。」
「待ちなさい。貴方、愛理と同じクラスよね?」
「愛理?存じませんが?」
「会えば分かるでしょう……。それよりあなた、愛理のボディガードをしてみな
い?衣食住は提供するわよ。」
「はぁ…。なぜ自分が?」
「どうせ引き留めてもタダで住ませて貰うなんて、あなたのプライドが許さない
んでしょう?同じ感じがするから分かるのよ。」
女性はフフフと笑った。
「それでは愛理さんに会って気に入って頂ければ、お引き受け致します。」
「ありがとう。私は弥生よ。愛理の母をしているわ。」
「随分とお若いですね。」
お世辞ではなく、隼人の本音だ。
「ありがとう。それじゃ、行くわよ。付いてきなさい。」
弥生さんに着いて屋敷を歩くものの道順を全く覚えられなかった。
「食堂よ。一緒に食べましょう。」
ドアを開けて弥生さんは隼人を招き入れる。
「望月くん!?」
聞き覚えのある声。そう、昨日からやたらと隼人に構ってくる転校生だ。
「紹介するわ。愛理のボディガードをしてもらう望月 隼人くんよ。」
吉澤財閥侮りがたし。恐らく隼人の情報は全て収握しているのだろう。
「私は連華。愛理の姉よ。よろしくね。」
ポニーテールがよく似合う活発な女性。それが隼人が受けた第一印象だ。
「よろしくお願いします。」
今、隼人は吉澤の使用人。ここは頭を下げるのが礼儀。
「堅苦しい挨拶はこの位にして、食べましょう。」
弥生さんに促され、吉澤の隣に座る。当の本人は目を合わせることなく、黙々と
食べていた