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実在した一人について

作者: 式十

負けず嫌いだ。それも、何処にでもある、誰でも持ってる負けず嫌い。それがかなり強いだけ。

笑われたくない、見放されたくない、失望されたくない、

__殺されたくない。

だからひとつ、何の役にも立たない、極めるだけ無駄なくっだらないのを極めた。……いや、極めてない。

極めても、何しても、全部ダメ。

極めたつもりも、上を見上げたら最底辺。ワーストのオンリーワンに早変わり。

希望にすら絶望した。



怖がりだ。

無知が怖いと思っている。皆が怖いと思っている。

無知だと笑われるから。無知だと殺されるから。

……無知な奴が生きてたらダメだって、皆言ってるじゃんか。

ひとつだけじゃない、色々なモノが分からない。

最初から分からないのが苦しい。当たり前に分かる事が、分からないから悔しい。

皆に分からない事も、自分は知らない。

皆は全てを知ってるから。分からない事なんてないから。

「皆」って、ゴミクズが集まって集まって集まって集まってカミサマに成り上がったもんだよ。

そこからはみ出た人って、一般的には生きてる価値ないんだよ。

どうせ、知識じゃなくて妄想扱いされるけど。



何事も悪と捉える。

優しさも、励ましも、等しく悪になる。

だって皆、偽善者だ。悪くない奴なんて、この世に一人もいないじゃんか。

「一緒に行こう」なんて言って天使みたいに笑うけど、その先にあるのはどす黒い地獄だろ。

皆はそこに俺の存在を望んでない。俺はここに皆の存在を望んでない。

だからぎこちなく笑うんだ。「絶対嫌だ」って言うんだ。

惜しむなよ、嘘つき。自分だって本当は泣き叫びたい。

だからここだけの話、何で女の子に優しくするか教えてやるよ。

……「理由はない」。



嘘つきだ。

正式には強がりたがる。そのくせ、皆より何倍も、何倍も、何倍も弱虫だ。

平気だ、平気じゃない。プライドが汚された。

自分は痛い奴だ、痛くない。皆との遅れが広がり過ぎてるだけ。

泣きそう、泣けない。むしろ笑えてくる。

助けて、助けるな。陥れるぐらいなら、一人にしてくれ。

どうせ本当の事言ったって、誰も助けてはくれないよ?これだけは、自分だけは、本当の話。



我が儘だ。

数秒後には変わる二極論で、拒絶と受容を繰り返す。

けどこれだけは変わらない。

大人なんて、分かってくれない。自分を傷つけてくるだけだ。

子供なんて、分かってくれない。自分を傷つけてくるだけだ。

人間なんて、分かろうともしない。自分を殺してくるだけだ。

結局、最後に自分に優しく出来るのは自分だけなんだ。

必ず当たる予言をしよう。どうせこんなの、数秒後にはまた変わる。



欠陥だ。

それも著しく欠如している。肉体とか、感情とか。

病に侵される鉛の身体と、中身がスカスカの砂の心。

動きたいのに動かない。考えたいのに考えられない。

悲しめないのに涙は出る。やる気は無いのに手が動く。

傷つきたくないのに傷つく。

こんなの、邪魔で仕方がない。



どうせ皆、異常って笑うんだ。気持ち悪いって遠ざけるんだ。


だからもう、膝をついた。歩けないよ。立ち上がれないよ。

手を引いてくれる誰かがいなくちゃ。

その誰かが来てくれなくちゃ。


だから無数の杖を愛し、或いは憎んで、依存するんだ。


どうせ誰も、来てくれない。

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