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自己紹介

「はい、じゃあ新しい子が増えたって事で改めて自己紹介!私は宇佐美真子。健司と同い年で幼馴染よ。」


年上の女性が言った。

「で、俺は伊藤健司。よろしく!」


健司が歯を見せて笑った。効果音をつけるならまさにニカッだ。


そして、私よりも身長が少し高い、私と同じ年齢に見える男が次に自己紹介した。

「僕は院条拓斗。12歳だ。」


意外とこいつ、2歳年上だったのか。


「で、俺が桜井悠斗。お前のその生意気で非常識な態度を変えてやる。」

お前の上から目線の態度が私にとってはイラつくと言いたいところだが、面倒なことになりそうだから我慢だ。


あと一人は・・・おじいさんだ。

「こんにちは。お嬢ちゃん。私は和泉。一人で寂しくなかったかい?これから、たくさん吸血鬼としての生きる術を学んでいこう。」

ニコリと微笑んでくれた和泉さん。この人といると安心する気がする。


「さあ、最後は貴方だよ。」

真子が言った。


私は俯く。覚えていないのだ。名前を。

両親が私をなんて呼んでいたのか、覚えていなかった。

こいつらには名前があるのに私にはない。

なぜだか胸の奥が引き締められるように苦しい。


「私の名前は・・・」

あぁ、なぜ思い出せない。

名前は無いなんて言えない。言える訳が無い。

私が持ってないものを、こいつらは持っている。それが悔しかった。


「ひ、柊・・・沙羅だ。」


消え入りそうな弱々しい声になってしまった。

自分の名前を偽った。とっさに思いついたのがこの名前だった。


和泉さんがまた私に微笑んだ。

「沙羅ちゃん。よろしくね。」

こくりと頷く。


「で、分かってるとおもうが、お前がこの中で一番年下だ。敬語くらい使って話せよ。」


「なぜ私が生まれた年が遅かったくらいで敬語を使わなければならんのだ」

敬語なんて面倒なだけだ。

本心がつい漏れた。すると、


「吸血鬼は、そういう上下関係にはどの生き物よりも敏感なんだ。もし目上の吸血鬼に目下と話すような口をきけば、殺されてしまうよ。敬語もひとつの‘ルール’なんだよ」


健司が私にそういった。


さっそく‘ルール’の勉強だ。つまらない日々が続きそうだ。


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