家族
男にひっぱられてつれてこられた先は、廃アパート。
そのアパートの105号室に入ると、私位の男の子が1人、私より年上の男女一人ずつ、そしてもう年が結構いってそうなおじさんがいた。
ただいま。と男が言うと、全員がおかえり、と返した。
私にはその光景を見るのがはじめてで、余計に戸惑った。
「あれ、その子、誰?」
年上の女性が言う。
「おい、悠斗。お前そんな幼女を誘拐するなんて・・・そんな奴とは思って無かったよ。」
年上の男性が冗談交じりに言う。
「健司。馬鹿なことを言うな。こいつは俺たちと同じ吸血鬼で、そして今日からここで一緒に暮らすことになった。」
・・・真実と嘘が混ぜ合わされているその言葉を誰が聞き逃すか。
「いや、少々話が違うな。私はどうやら吸血鬼の‘ルール’とやらをあまり理解していないとこいつに言われて、無理やりここに連れて来られたのだ。誰もここに暮らすなど言っていないぞ。」
私は男・・・いや、悠斗を睨み付ける。
「いや、でもお前一人なんだろ?しかもガキ。‘ルール’も知らずに生きていけるか。他の吸血鬼に目ぇつけられて瞬殺されるぞ」
・・・確かに復讐ができずに死ぬのは御免だ。
ここで学んでから復讐するか、それともどうせならこいつらを使って復讐をより効率的に行うか・・・
どちらにせよ、今の私では復讐はできない。
私には、腐るほど時間がある・・・
「・・・少しの間、ここに世話になる。」
重い口を開いて、私はこいつらを受け入れた。
ここで、この回に出てきた名前を簡単にまとめさせて頂きます。
悠斗・・・主人公を廃アパートに強引に連れてきた人物。
健司・・・自分のことさえもまるで他人事のように捉える。冗談をよく言う。
これから次々と名前を作品の中で出していきますが、混乱しないようにここに簡単にまとめていきます。