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マジック・カンパニー  作者: シャーネ
納得がいかない降臨
6/16

1-06.ギルド試験対策①

PT結成!!

ということで・・・


「今後の方針をたてなくちゃね~、さっき、アトルさんに聞いたら、王室から呼び出しがかかってるみたいだけど、

ロゼのおかげで混乱してるようだし このままバックれるわ。」


アトルさんとは、ここから見えるギルドカウンターの受付のねーちゃんだ。

二次元でしかみられないような鮮やかな緑の髪が印象的な、まな板の女性。その方向が趣味の人には人気を博しそうだ。

エリスは口にどこからともなく、取り出したアイスボーをひと齧りすると、ひらひら手を動かしながら続けた。


「とりあえず、ロゼの戦力把握ね。 いずれにせよ、夢幻洞にいつか行くなら戦闘は避けては通れないからね。」


む? てっきりすぐ行くもんだとおもってたよ。


「いつか?」


「あー、ロゼ。 夢幻洞はころころ場所を帰るってさっきも言ったね、これまでの経験から言うと、森が活動期にはいると場所が固定されるようなの。」


活動期ってのはなんだ? と、エリスに目で訴える。


「活動期は魔物が活発になる周期よ。3ヶ月に1回くらいね。 この前、結局はいりそびれちゃったけど、確信があるわ。」


「活動期じゃないときに近づくと洞窟がきえんのか? 摩訶不思議アドベンチャーだな。 ってか、その確信はどこからきてんだよ?」


「勘よ!」


「勘!?」


ジト目でエリスを見る、見つめる、目をそらさず睨み返しているエリス、どこにそんな自信があるのか。

ジェイリスとクロノスもエリスの直感は馬鹿にできないと告げてきた。

それに1年、一応はそれにむけて活動しているわけだし、知識は俺よりはある。

ここはうなずいておこう。

プラチナクラスは直感も備えている、メモだ。


「次の活動期はいつなんだ?」


「おそらく、3ヶ月後。」


なんだ終わったとこなのか。 


「そうか。じゃあ 3ヶ月後を見据えて行動したらいいってことだな?」


「そうね、シファギリスに戻って、こっちまでまたくきたらそれだけで半年がすぎるわ。時間を無駄にすることは王宮だけでお腹いっぱいよ。

 とはいっても、ギルドからの援助金も当てにし続けるわけにはいかないわね。 そろそろ底つきかけてきてるし。

 ロゼに戦闘の基本と、一般常識を覚えてもらってからぼちぼち 依頼でもこなしていきましょうか。 

 ここらじゃ 高ランカーはそういないし、 私たちじゃないとできないようなものがあるとおもうわよ。」


そこで しばらく黙っていたジェイリスが初めて口を開いた。


「さっき掲示板をみていたんだが、あまりめぼしいのは無かったな。 せいぜい、アグロス退治くらいだった。

 一番割が良いのが200金の捕獲依頼。  ・・・ そのあれだな。 さっきセントラルウェイでみたやつと同じだな。

 200金っていえば、一生遊んで暮らせる額だしなあ。 いっそロゼを・・」


ジェイリスが口を閉じる間もなく、エリスが割って入る。


「冗談にしてもやめなさいよね? 脛に傷を持つ人は些細なことでもそれがひどく心を傷つけることになるのよ。

 もし、本気でいってるのなら、 全身素っ裸にして簀巻きにして、噴水で壊れた像のかわりに逆さ吊りにしたあとに、エレメンタルフォトグラフで

写真をとってギルド本部にいって全世界にばらまいてやるからね。」


ってか、おい。 それ 俺のみにふりかかった状況と酷似しているのは気のせいか?

きのせいだとおもいたい。

ジェイリスが冷や汗をかいて、冗談にきまってるだろ・・・と青くなっている。


「今日は日も暮れそうだし、本格的に動くのは明日からにして宿に戻りましょうか。おっと、忘れるところだったわ、ロゼのギルド申請しておかなくちゃ。

 依頼を一緒にこなすなら登録してないと、報酬はらわれないしね。ロゼ、髪の毛一本頂戴。」


そう言うと、俺から一本、いまとなっては銀色の髪毛を引き抜いて、腰をあげてカウンターに向かっていった。

髪なんて何につかうんだ、遺伝子情報が分かる科学技術なんてないだろうに、まさかね。

それからエリスによって大半食べられて軽くなったリュックからプレイバードの肉を取り出して、3人でエリスを待ちながら、食べ始める。

クロノスはリュックから木でできたコップ・・・のようなものを取り出すと、コップの上に手を翳して呟いた。


「普く水の奔流よ、集え、ウォーター」


翳された手が淡い青色の燐光を放ち、その手元から水が流れるように落ちて、コップに注がれた。

うおお、水! 水がでてきた。 蛇口はどこだ。

ジェイリスは見飽きたとばかりに何事も無く、コップをとって飲んでいる。

クロノスは俺の反応に少し嬉しいのか、照れていた。

コップに波紋をひらめかせる、注がれた水を訝しげに見てからと口を開く。


「その恥ずかしいセリフは言わないと魔法は発動しないのか?」


「恥ずかしい? なんでです? むしろ、魔法つかえる証で誇らしいものだと僕はおもいますけど・・・ そうですね、

 言わなくても魔法を構成する指示式がしっかり組み上げられるなら問題ないですよ。

 今の魔法は大気中にある水分と、魔素を指示式に従って水に変換しました。」


誇らしくなんかねえよ!!中二病全開じゃねーか!!

といっても、実際使うからには詠唱するのがここでは普通なのか?

いやいや、実際に仕事でさ、パソコンつかうけどさ、

”動け、俺の指、必殺高速タイピング!!”

とかって、キーボード打ってたら俺ならひいちゃうぞ?


それは兎も角。

ってことは この部屋の中の大気の水分もまじってることじゃねーか。ウゲゲ。

部屋には広間とはいえ、20人以上の人が詰めかけている、俺は潔癖ってわけじゃないが、想像すると気持ちが悪い。

かといえ、入れてもらった水を飲まないのも、なんというか 気が引ける。

水を凝視して迷っていると、 


広間から大声が響き渡った。


「おいおい、ねーちゃん! いいじゃねーかよー、一人なんだろー 一緒にパーティーくもうぜーパーティー。」


「その年で女で竜礼服纏ってるとこみると、金つんで騎士になったってとこかあ?

 それとも身体でも捧げたか? 金はないけど、俺らのテクニックはすごいぜえ? 昨晩も抱いた女がヒイヒイ言って失神したからなあ!」


「おまえは体力ないけど、テクがあっからなっ!」


下卑た声が室内に通る。

そういえば先ほど、クロノスの魔法に釘付けになっていたが、大きな音をたてて頑丈で重そうなギルド支部の入り口扉が開き、

腰から剣を下げた隻眼のバサバサと掛けばフケが大量におちそうな汚い髪の男と、

槍を携えたお腹が6つに割れるではなく、6つに横にわれてそうな太っちょのちょび髭が室内にはいってきて、

カウンターを目指して進んでいったな。


目線をテーブルの上から離して、騒ぎの元に向けてみると、絡まれているのは案の定エリスだった。

エリスはこれでもかっというほど冷たい見下した視線を二人に送ると、何も見なかったかのようにこちらに戻ってきた。


「おまたせ。 じゃ、宿にいきましょっか。」


それだけいうと、まだテーブルにおいたままだった俺のぶんのプレイバードの肉をひっつかんで、かぶりつきはじめている。

まさにその瞬間、のがさねえぞとばかりにさきほどの二人がテーブルまできて、金切声を上げ、エリスの肩を強引に掴んで、

ふりむかせる。


ベチャ・・


プレイバードの肉(俺の分)はテーブルの下の一際埃がたまった部分におちて不快な音を立てる。


「おまたせ! じゃねーよぉ、無視してんじゃねえぞ。 ああん? それがおまえの連れか? おーおー しかめっ面してやがるが

頭まで筋肉でできてそうな男と、駆け出しの魔法使いってとこかあ、 お、 こっちは・・・ ブハハハハ!!!!!!!

おいおいおい、 布!? 布だけかお嬢ちゃん。 露出狂かあ? そういや 最近露出がブームらしいなあ?

 ねーちゃんと一緒にかわいがってやるからよ、 こっちのPTこいよ」


「あにき、あにき、 小さい子は俺にくれよ!! ・・・イイ」


なにがイイんだ、なにが!!!

ぶっ殺すぞ、クソブタが。 

布しかねーんだよ! 服買う金があったら買ってるわ!!

ピキピキと俺の血圧が墜落寸前の飛行機のように急低下していく。

ブ男に声かけられることがこれほど不快なものだとはおもわなかった、元の姿にもどったら少し自重しよう。

横にいるクロノスは、やれやれとばかりにため息をついて相手にせず、ジェイリスは手にもったコップを握りつぶした。

一応脳筋でも脳筋っていわれたら起こるらしい。

それにしても、なんつー握力してんだコイツ。

アルミ缶じゃないぞ、木でできたコップだぞ?


ブルブル・・・


俺の傍で聞こえる微振動。

それは顔を下に向け碇肩になったエリスから発せられている。

あ、これはやばい。 城壁の傍であったときと同じ悪寒がする。


「・・・ったしの肉に何すんのよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


ドガッ!!!!

竜礼服とよばれた品のよい美しい服をきた女性伸びるスラリとした美しい足が空気を割く音をたてて、隻眼男の股間に命中。

勢いととまらず、股間をおし上げて美しい足が振り切られる。

ピタッと垂直に伸びたところで一旦停止。

足が地上にもどり、靴裏が床にめり込み異音を奏でたところで、その反動で宙にとんだエリスが左足を回転させて、ちょび髭男の鼻梁に踵が炸裂。

錐揉み状態で吹き飛んだちょび髭は音速を超えて、広間の左から右を横断して壁に顔面から激突、木にめり込んで、腰から先を部屋にだけ

取り残した状態でピクリとも動かない。

上を見上げると、天井から隻眼男の腰から下がぶら~んと垂れ下がっている。

こりゃあ、潰れたな。 南無阿弥陀仏。

華麗な動きと、露出狂に制裁を浴びせたグッジョブな動きに心の中で拍手喝采。

いやしかし、 食べ物を食べてる時のエリスは危険極まりない。

いつ、おなじ目にあうかわかったものではないからな。


フンっと鼻息を鳴らしたエリスはそのまま騒々しい音をたてて、ギルド支部の入り口の扉を蹴ってあけて、そのままでていった。

ジェイリスがその後に続き、クロノスは 申し訳ない とギルドカウンターの女性に金銭をわたしている。


俺と一緒にエリスらを追おうとしたときに天啓。

傍にいるクロノスに尋ねる。

「なあ、クロノス。 エレメンタルフォトグラフだっけか、ほらセントラルウェイの掲示板にはってあったような写真のことだが、あれ使えるか?」


「え? あれは光と闇属性の複合魔法だから、張ってあったやつほど鮮明にはとれないけど、一応、使えますよ。」


「十分だ。」


俺はニヤリと笑い、クロノスに撮ってもらう内容を指示した後、

俺と一緒にエリスらの後を追った。





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