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第一章 (3)

少女エミリー、タテリカの里とは? そしてケントはどうしてタテリカの里を知っているのか?謎がある中、捜索は続きます。

「そもそもなんでマスターはタテリカの里の人、そのライアンさんという方と知り合ったんですか?」昼前にモッキンに帰って、ネットでの情報発信の準備をしながらショウタはケントに聞いた。

「うん、若いときにタテリカの里へ行ったんだ。向こうで2年間程、暮らしていた」

「へえ、なんでまた?」

「仕事だ」

「何の仕事をしていたんですか?」

「実は、俺は大学で文化人類学を研究していた。その研究の調査をするために世界を回った。その中でタテリカの里の人々の生活に興味があって調べに行ったんだ」

「へぇ、マスターが大学でそんな研究をしていたなんて知らなかった。ちょっと意外です」

「まあ、昔の話さ。里で暮らしているときにライアンには世話になった。ライアンの家の離れに泊まって暮らしていたんだ。そのときはエミリーちゃんはまだ産まれていなかった」

「いつ頃の話ですか?」

「俺がショウタ君位の年、25歳のときだから、今から30年も昔のことだ」

「この店って20年位前からやっているって聞いたんですけど、なんで大学の研究をやめてお店を始めたんですか」

「まあ、いろいろあったんだよ。話すと長くなる」

「そうなんですか……」ケントが多くを語りたくないようだったので、ショウタはそれ以上訊くのをやめた。


 公園を出てからモッキンまでエミリーは口を開かず黙ったまま、俯き加減で歩き、元気がなかった。疲れた様子が心配になったケントは、エミリーを2階の部屋に連れていき一人休ませていた。

「それにしてもエミリーちゃんは不思議な子ですね。公園ではひとりで駆けだして木に触れながら変なことを言っていたし……」

「タテリカの里に暮らす人々は植物を敬愛している。農業を営みながら植物と共に豊かな生活を送っている。その敬愛の心が出たんだろう」

「でも木が怯えているってどういうことですかね?」

「さあ、どうだろうな?俺には分からない。でもこのことはエミリーにはあまり突っ込まない方がいいかもな。あの子も疲れている。まずお父さんとお兄さんを見つけることが先決だ」

「そうですね。準備はできましたよ。お父さん、お兄さんの画像や、衣服の画像と一緒に、この人を見かけませんでしたか、という捜索願を発信します」

「ありがとう。 ショウタ君はこういうことが得意なんだな。仕事も早い」

「いまどきはこんなの普通ですよ。まあだてにエンジニアをしているわけじゃありませんし。じゃあ、発信しますね」



さて父兄は見つかるのか?

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