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第二章 (5)

襲う木のところへ

 隣のお爺さんに車を借りてケントはショウタとエミリーを連れて街の北部に向かった。川沿いを10分程、北上し、そこから東に向かうと先に多くのパトカーや消防車の赤い灯火が回っているのが見え始めた。さらに道を進むと人だかりができていて車では進めなくなった。しかたなく車を停め、3人は車を降りて人だかりの方に進んだ。どうにか人の間を縫って前へ進むと警察が規制線を張り一般の人が入れないようにしていた。

「これ以上は進めないな」ケントは少し背伸びして制止している警察官の向こう側を見ようとしたが家並と道に停まった消防車やパトカーしか見えなかった。

「何が起こっているんですか?」ショウタが一人の警察官に聞いたが、警察官は「下がって、下がって」と言うだけでショウタの質問を無視した。

「この先の森から木の塊が動いて侵入してきたんだ。俺は見た」ショウタの隣に立っている若い男性が代わりに答えてくれた。

「え? その場にいたんですか?」ショウタがたずねると男は話し出した。

「ちょうど用事があってこの奥の道を歩いていたんだ。そうしたら悲鳴を上げて逃げてくる人がいて、その後ろを見ると木の塊が追いかけてきていた。それは木の茂みが丸くなったボールみたいな塊で、ぽんぽんと跳ねながら人の歩くスピード位で動いていた。俺も怖くて一緒に逃げた」

「人を襲っていたんですか?」

「いや、人を襲うというより、ただ移動してこっちに向かっているだけだった」

「マリの木だわ。ここにはいないはずなのに……」

「え? エミリーちゃん、知っているの?」

「はい。うちのそばではときどき見ます。環境のいいところを探して移動するんですが、おとなしい木です。人に危害を加えることはないと思います」

「でも何でここにいるんだ?」ケントが腕組をしてパトカーの向こうを凝視していた。

「どうにかもっと木に近づけないですか?」エミリーはマリの木をどうにか見たいようだった。

「警察が規制しているからなあ……」ケントが困っていると若い男が言った。

「西側からなら入れるかもしれませんよ。こっちです」ショウタ達3人は若い男に付いて行った。家と家の間に人一人がやっと通り抜けられるくらいの細い道があり、そこは警察も規制をしていなかったので抜けられた。

「仕事でここら辺の配達を担当しているので道はよく知っているんです」若い男はそういいながら3人を案内してくれた。細い道を抜けると空地に出て、その先に別の道があった。その道の5メートル位先に複数の木の塊がもぞもぞとうごめいていた。その塊は木の枝が絡まり合ってできた直径3メートル程の球状の物体で、うごめいている様子はまるで大きなバランスボールが小刻みに揺れているようだった。小さく跳ねて30センチくらいずつ移動しているものもあった。

「なんか、気持ち悪いな」ショウタはうごめく姿に少し恐怖を感じ、それ以上近づけなかった。

「大丈夫ですよ、おとなしいから」エミリーはそう言うとショウタやケントを置いて一人、塊に駆け寄った。そして右手を差し出し塊をなでながらうつむいて目を閉じた。それは塊から何かを聞き出そうとしているように見えた。ショウタはまたエミリーから何かオレンジ色のほのかな光と共に力、波動のようなものを感じた。そしてエミリーにもらったペンダントが胸の上で少し震えていた。そのままエミリーは10分間程、木の塊と触れあっていた。そして引き返してきたエミリーが言った。

「私たちも行くと言っています」周囲ではパトカーや消防車のサイレンの音が鳴り響き、赤い回転灯の光が住宅の壁に反射してチカチカと点滅していた。




「私たちも行く」??

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