第1話 再度の召喚2 質問会と過去の振り返り(通常版)
「質問をよろしいでしょうか?」
国王と宰相が語ったとの沈黙後、挙手をしつつ徐に口を開く男性。男女6人グループの中の1人だ。恐らくリーダー的存在であろう。
「よろしい、話し給え。」
「ありがとうございます。私達は地球へと帰れるのでしょうか?」
男性が最初に語るのは、超重要な内容となる地球への帰還である。この現状は強制的に拉致されたとも言える。地球では犯罪の類だが、ここでは通用しないのは百も承知だ。
「現段階では不可能に近い。その理由は、こちらは召喚は可能なのだが、送還は魔王と大魔王の未知なる波動によりできていない。」
「私達の方でも何度か試しましたが、明らかに妨害が入るため不可能でした。」
「そうですか・・・。」
それなりの解答と言えた。そもそも、召喚が可能なら送還も十分可能だろう。召喚も転送魔法の類だと推測できるため、相互でのやり取りはできなければ話にならない。一応の解決策がある事からか、怪訝そうにするも納得する男性である。
ちなみに、胸のペンダントの中には転送魔法を超える転送装置の使用が可能だ。現状は地球に帰る手段がないのなら、その時はこちらがその大役を担うしかない。
「それなりの物品の提供はあるのでしょうか?」
今度は少年少女10人グループの中の1人、少年が挙手をする。一同の代表として動いている様子か。他の面々はかなり恐々としているのが窺えるからだ。
「勿論、こちからは最大限の援助を致そう。それとは別に、我が国秘伝の啓示によるスキルの施しも行おう。大司祭よ、準備を頼む。」
「畏まりました。」
それなりの援助は行うと言う声明に、一同はホッとした様子だ。更には国秘伝の啓示によるスキル提供の話が挙がった。俗に言うチート能力の1つに近いだろうか。その話を聞いた面々は大いに沸き上がりだした。
ただ、その力量に関してだが、過去にティルネアが施してくれたものに近いのかも知れない感じがする。
数年前に遡る。盟友ナツミYUからの依頼を受ける前、俺は異世界ベイヌディートと言う異世界惑星へと召喚された。召喚主は創生者ティルネア、デュネセア一族という宇宙種族の1人である。俺が呼ばれた理由だが、ベイヌディートの世直しを共に行って欲しいとの事であった。
その際、俺は彼女から自身が持つ魔力の理を施して貰った。彼女曰く、地球人には魔力の適正が全くないとの事からだ。過去に召喚した人物達にも、その様な施しを行っていたとの事である。この時、個々人のスキルと題して与ったものが金剛不壊というものだった。
スキル自体は魔法の発展型に近く、それは各作品で扱われる特殊能力に等しい。しかし、その出所は全くの不明で、とにかく存在していたと言うのが実状である。ティルネア自身も発掘したに過ぎず、それを漠然と使っているに過ぎなかった。
そもそも、地球には魔力や魔法の概念は一切ない。対して、異世界ベイヌディートにはその概念があった。この時点でファンタジー世界であると言わざろう得ない。
更に数年後、今度は彼女の遠縁のイザリアという通称魔王に召喚される。その場は先と同じ異世界ベイヌディートだった。しかし、この時はただ漠然と異世界惑星と称されるだけだ。
その理由は、先のベイヌディート事変が解決した後、俺がティルネアや彼女の一族の女王たるデュヴィジェに記憶の封印と改変を行って貰ったからだ。これは俺や当時参戦してくれた盟友達が望んだものでもある。ベイヌディート事変後は、他の宇宙種族との遭遇がまだだったためだ。
それに、あの時の俺達は環境の適応が成されていなかった。その状態でベイヌディート事変の記憶を持ったまま動いていたら、確実に後の行動に支障を来たしていただろう。それ故の記憶の封印である。
改変の方は、異世界ベイヌディートに住まう総意の記憶となる。当時の同惑星はまだまだ未発展だったため、要らぬイザコザを残さないための処置でもあった。
異世界ベイヌディートと言う異世界惑星に再召喚された事が分かったのは、異世界惑星事変が終わった直後にデュヴィジェからの記憶の返還によるものだ。その他にも色々な事があったのだが、今は割合としておく。
補足になるが、宇宙種族との遭遇がまだだったと言うのは、ベイヌディート事変後の4年間の地球での激闘と死闘で逢う事が発端になるからだ。ギガンテス一族・ドラゴンハート一族・カルダオス一族・ガードラント一族・デュネセア一族の5大宇宙種族が該当する。
もし彼らがいなければ、地球で起こった各事変は絶対に乗り越える事ができなかった。特に顕著なのが、惑星事変とされる地球規模の惑星の衝突のそれだ。地球自体に地球をぶつけるようなものになるのだが、それを転送装置にて反対側に繰り出すという荒業を見せている。
極め付けは黒いモヤ事変である。先の惑星事変など話にならない規模となる。天の川銀河を飲み込むぐらいの黒いモヤが襲来したのだ。これも宇宙種族達や再臨した不二の盟友の力がなければ、絶対に解決する事はできなかった。
そもそも、地球に地球規模の惑星が衝突すると判明した時点で、完全に地球の終焉となる。月などの岩石惑星だとしても、それを破壊するのは今の人類には絶対に不可能だ。それ以上の惑星である、超絶的に不可能なのは言うまでもない。黒いモヤに至っては、その比ではない。
何にせよ、5大宇宙種族がいなければ、今の俺達は絶対に存在し得ない。同時に、異世界惑星事変も乗り越えられなかったとなる。恐らくだが、今の現状はその延長線上であろう。
本題に戻るが、国王が挙げたスキルの啓示は、推測の域ではあるがティルネアの力量と同じものだと推測できる。実際に将軍が魔法の様な業物を繰り出してきたため、その様な力が存在していてもおかしくはない。
ただ、デュネセア一族のティルネアが施すのなら分かるが、見る限り一介の人間の大司祭にそれができるのかは謎な所だ。だが、それらの考えを覆すのが異世界クオリティと言うべきだろうか。実際に魔法の力量をこの目で目撃しているので仕方がない感じである。
何にせよ、何も持たない地球人にこの力は危険過ぎる。今の俺が担っている警護者の力の概念があれば、それに対しての順応はできるだろう。だが、目の前の面々は見る限りに一般人である。過剰過ぎる力は破滅をもたらすのだから。
力を持ち過ぎる者は全てを壊す、か。某ゲームで語られた名言だが、それが如実に現れていると断言できた。
第1話・3へ続く。
早速始まる異世界惑星の布石、と。今回は今までとは異なり、主人公群以外にも召喚者を追加した事でしょうか。本命は主人公群ですが、別途召喚された彼らがどう活躍するかも要因になるかも知れません。今後の自分の課題ですね><;
と言うか以前にも挙げましたが、現状は始まりと終わりは定めてあるものの、その中間が完全にすっぽ抜けています@@; その都度創生しつつ、物語の繋がりにしなければなりません><; 今も執筆中の苦労人に大艦長も同様の流れですので。全ては今後の自分次第、頑張らねば・・・(>∞<)