第2話 世界の様相2 懸念点とその対応(通常版)
「それよりも、今後をどうするか決めていますか?」
「そうだな・・・。」
徐に一服を進めてくるデュヴィジェ。腕の中にいる双子をミツキTに託し、ある程度距離を置いた。幾らバリアとシールドが働いていたとしても、幼子達には色々と問題がある。先程の王城内での流れは致し方がなかったが、幼子達には劇薬そのものだ。
しっかりと距離を置いてから、デュヴィジェが手に持つ煙草ケースから1本だけ拝借し、着火して一服をした。同時に彼女の方もケースから1本取りだし、非常に慣れた手つきで一服をしだす。
以前の彼女は非喫煙者だったのだが、海王の艦隊の内部で簡易的に喫煙をしだしてからはドハマりしたという。今では現実世界の方でもバリバリの喫煙者となっていた。
ただ、彼女も俺と同様に肺まで吸い込まずに、口の中のモワモワ感を消す程度のものだ。よって、長時間の喫煙はせずに消火している。無論、消火先は所持している携帯灰皿である。
「今はここに呼ばれた理由を判明させるのが最大の目標だな。愚王が指揮して行ったものになるが、それ以外にも何らかの要因があると思う。」
「ですね。そうでなければ、こうした環境に投じられる事はありませんし。」
お互いに一服をしつつ、周囲の様相を見入る。完全に異世界の様相であり、地球での喧騒とは訳が違う。あちらは人混みが多く、更に都市群や建物群が非常に目立つ。今の目の前の様相は、中世はヨーロッパの街並みと言えた。
かつて訪れた異世界ベイヌディート、そして後の異世界惑星の様相。今回の異世界惑星の様相は、当時よりは幾分か近代化が進んだ感じに思える。
「思われた通りですが、当時より近代化が進んでいる感じがします。ここ以外の都市はどうなっているのか、非常に楽しみですよ。」
「創生者所以の探究心、と。お姉様も創生者が板に据わっていますね。」
「フフッ、褒め言葉として受け止めておきます。」
俺の内情を読んできたティルネア。創生者たる彼女から見ても、街並みの近代化が進んでいるようだ。過去の様相はまだまだ未発達の都市群な感じだったしな。
そんなティルネアに茶化しを入れるティルフィア。周囲の変化が気になるのは、創生者所以のものだと挙げてきた。それに対して、ニヤケ顔で肯定するのである。
今の俺達は立派なヲタク気質に至っている。しかし、本家本元のヲタクの方々には到底及ぶ事はない。上には上がいる、それが事実である。だが、こうして実際にファンタジー世界観に触れだすと、それなりに詳しい存在なのだと自負しだすのは不思議な感じだわ。
まあこの見解に関しては、間違いなく各作品を嗜んでいるからだろう。そうでなければ、非現実の様相に右往左往のシドロモドロ状態になっていたのは言うまでもない。
「・・・問題があるとすれば1点だけ、だな。」
「・・・ああ、あの4人ですか。」
現状の懸念点を挙げてみる。それに対して同意するデュヴィジェ。実際に大広間事変にて、一番気掛かりな存在は4人の若者だった。気質がマイナス面を向いているのが感じられたのが最大の理由である。
「アレらですが、生命力の濁りからして犯罪歴がありますね。」
「ふむ・・・やはりそう感じ取れますか。」
こちらが一服を終えたのを確認すると、傍らへと寄ってくるミツキT。胸の中にいる双子を再度託してきた。相変わらずの据わり様で、非常に大人しいものである。
その彼女がこちらの懸念点を更に深読みしだした。現状の火種は、地球から召喚された面々の中の4人の若者だ。その連中の生命力が濁っていると挙げてきた。犯罪歴すらも持っているとの事である。
ミツキTの読みに対し、同様であると挙げるティルネア。この2人は精神体故に相手の内情を読む事が非常に長けている。同じ精神体のティルフィアもしかり。俺の方は直感と洞察力による推測でしかないが、この3人は間違いなく相手の深読みができる。
「火種になるのは目に見えているわな・・・。」
「明らかな愚行を行ってから排除すれば良いですよ・・・。」
「そうですか・・・。」
完全に極論である。俺達は先の異世界惑星事変での愚物共を排除してきた手前、そうした火種を持つ輩は即座に排除する事にしだした。警護者の究極的な行動である。デュヴィジェが挙げたのは、相手を泳がせてから排除すると言うものだ。何ともまあな感じではある。
しかし、全ては世上の安穏のためだ。烏滸がましい限りだが、調停者と裁定者を担っている手前、この部分は決して曲げてはならない。今では創生者の役割もあるのだから。
「警護者の理は、そうした愚物を排除し続ける事ですからね。周りがどう言ってこようが、全ては総意のため。そこを忘れてはなりません。」
「警護者の生き様は“苦労人”そのものですよ。」
「本当だわな。」
自然と深い溜め息が出てしまう。しかもそれは俺だけではなく、ミツキTとデュヴィジェも同様だ。更に同時に出た事を踏まえると、最早職業病からの苦痛だと言わざろう得ない。
そんな俺達に対して、小さな手を向けてくる双子。そこに込められた一念を察知して、心が軽くなる思いになる。こんな幼子達にまで心配を掛けさせてはならないわな。
第2話・3へ続く。
何とか間に合いましたが、それでも500字程度少なくなっています><; すみませんm(_ _)m 最初の目玉たる追放劇の後は、諸々の旅路という感じになってきます。が・・・その肝心の展開をまだ画けていません><; 探索者の場合は殆ど勢いに任せて動けていましたが、今回は一筋縄ではいかない感じですし@@;
それでも、既にラストの展開や、途中の目玉となる流れは定まっているので、要はそこまでどうやって繋げるか、ここが重要でしょう。広げた風呂敷はしっかりと閉じないといけませんし(-∞-) 今後もアーダコーダと悩みながらもカキカキしていきます><;




