第1話 再度の召喚9 帰還の提示(キャラ名版)
デュヴィジェ「貴方や他の地球出身の方々に補足を致します。ここに到来してから、短時間の間に色々と調べました。ここは地球から1億光年先にある惑星、元はベイヌディートと呼ばれていましたが、今はどうかは不明です。」
若者の過剰な行動を先読みした感じで、デュヴィジェが諸々の疑問点を語りだした。召喚された場所は、やはりあの異世界ベイヌディートこと異世界惑星だった。この短期間で調査をしてしまう手腕に恐れ入ると言うしかない。
デュヴィジェ「先程、そちらの国王が挙げた通り、地球に帰る手段はあります。それは嘘偽りではありません。それと、現地から強制召喚された事に関しては心配しないで下さい。」
ティルネア「1億光年とあるため、時間と空間の歪みがかなり大きいのです。よって、強制召喚がされてから今に至るまでの時間の経過はありません。」
青年1「ほ・・本当なのですか?!」
国王達が知り得ない事を語りだすデュヴィジェとティルネア。それを伺い、黙っていた青年の1人が驚いた声を挙げてくる。それに力強く頷き返すティルネア。
これに関しては、先の異世界惑星事変などで俺も体験している。地球との距離が離れ過ぎているからか、時間と空間の流れが全く異なっていた。これは6大宇宙種族の面々でも不可解だと挙げるぐらいである。
それに、自分達の年齢や歳の取り方なども殆ど停止している。流石に生命活動自体は従来の流れになるため不死ではない。しかし、これは正に不老だと言うしかない。
ミスターT「その点に関しては問題ない。実際にここには過去に2度来た事があるしな。それに、しっかりと現地へと帰る事はできる。」
少年1「だ・・だったら今直ぐにでも・・・?!」
そう言い返してくるであろうと予測していた。俺の補足に対して、今度は少年の方が声を挙げてきた。その彼に俺は右手人差し指を自身の唇に当てた。黙ってくれと言う意味合いになるが、それを温和的に行った感じである。
ミスターT「事情は何であれ、受けた恩に対しての報恩はした方がいい。実際にその目と耳と心で世上を感じ、何が正しく何が間違っているのかを知るべきだと思う。」
デュヴィジェ「ですね。受けた依頼は達成してこそ、と。」
成り行きは拉致ではあるが、それは現状の様相がほぼ相殺してくれる。実際に地球との時間の差は停滞しているようなものだ。よって、異世界にて長時間の行動を取っても問題はない。
それに思惑は何であれ、国王から頼み事を受けたのだ。それを実行すべきである。大司祭からの啓示もしかり。俺とリメナ達はそれがなかっただけの事である。
ティルネア「・・・そうですね、では“全てが片付いたら”再度お会いしましょうか。その時に地球への帰還方法がなかった場合、私達がその大役を担うとします。無論、国王が語った内容が嘘偽りであるという意味合いではありません。一種の保険ですよ。」
ミスターT「ああ、先程俺が言った通りよ。実際にこうした機会は訪れない。だったら、今この瞬間を体験するしかない。決して損はないと思うよ。」
ティルネアが最後の一手を語りだす。それは地球への帰還だ。国王が挙げた、魔王達が地球への帰還方法を知っているという部分。それが本当かは分からない。召喚された彼らの方も疑っている部分もあるだろう。
それに対して、確実に地球へと帰る事ができると挙げたのが彼女だ。無論それは国王の言葉が嘘偽りであるかどうかという問題ではない。召喚された彼らを安心させるためのものだ。事実、実際に俺達は2回も異世界惑星へと渡り歩いている。
また、地球と異世界惑星との時間差がないのであれば、滅多に訪れない環境を体験するしかない。危険な部分も孕んではいるが、そこは啓示で受けたスキルが役立ってくれるだろう。何だか、我が子に旅をしろと促す親の心境である。
ミスターT「国王さんよ、彼らへの万全の支援、必ず行ってくれよ?」
国王「・・・無論だ。」
更に最後の一手として念を押した。国王に対して、召喚された地球人達への支援を万全に行えというものだ。俺達は追放の命令を受けたため該当はしない。だが、自由と言う部分は“一応”勝ち取れている。
連中が何処まで召喚者達を支えるかは不明である。下手をしたら捨て駒にされる恐れも十分ある。だが、今は形なりにも信用すべきだ。
それに、この時ミデルバことミツキTに“とある指令”を託した。それを伺い、直ぐに裏側で実行しだしてくれている。こちらが彼らに催促させたのだ、それなりの支援はするべきである。
ミスターT「とまあ、これで“不測の事態”への懸念材料は払拭されたと思う。お前さんが支援と言ってきたが、自分で何とかするのも旅の醍醐味だろうよ。」
若者1「・・・チッ。」
携帯方天戟を腰へと格納しつつ、何時また暴走するか分からない若者に対して、温和的に行動をしてみよと挙げてみた。他の召喚者達にも同様である。気に食わなさそうに舌打ちをする若者だが、一応怒りの矛を収めてくれたようだ。
何かこちらが取り仕切っている感じが否めないが、それは自身が持つ力量を最大限活用しているに過ぎない。そう、ティルネアより賜った創生者という役割だ。全てを見守るという部分に至るなら、このぐらいの言動はしてもバチは当たらないだろう。
それに何度も挙げているが、地球への帰還などは実際に実体験した事によるもの。嘘偽りでは断じてない。現に念話先から分かったが、ここに来たがっている身内達が数多くいる。今回も相当な旅路になるだろうな・・・。
何にせよ、これで一応の問題は解決できた。残るとするなら、彼らが無事生き残るかという部分になる。そこは先程挙げた“とある指令”が確実に遂行してくれる。今は彼らの行く末を見守るのが無難だ。
全ての流れを終えて、俺達は大広間を後にした。国王側の方も言い分通りに、俺達の方を見逃してくれるようである。ただ、密偵などを差し向けられる可能性はあるだろう。
まあその場合は大して問題にはならない。それ以上の力量を持っているのなら、態とらしく泳がせるのも手である。先の異世界惑星事変もその様に進めていったのだから。
今回の召喚の内容は、建前的には国王が挙げた魔物達と魔王と大魔王の掃討。しかし、本当の目的は他に潜んでいると確信が持てる。3度目になるが、元ベイヌディートを守る戦いを遂行していく事にした。
警護者の生き様は、まだまだ先が長い事を痛感させられる思いである。
第2話へ続く。
地球への帰還方法の提示。各作品群で挙がるのは、大凡2通りでしょうか。1つは条件付きで戻れるもの。もう1つは戻る事ができないもの。同作は前者になりますが、それは宇宙種族組の力量があればこそでしょう。探索者や警護者での流れでも、宇宙種族組の力量がなければ成し得なかった展開が多々ありますので。
自分はハッピーエンドをバリバリ重視する方なので、こうした安全策やらを打ち出すのは良いと思います。愚物に関しては・・・お察し下さい(-∞-)
ともあれ、これで創生者の第1話まで終わりました。次からは従来通りの更新に戻りますm(_ _)m




