第1話 再度の召喚7 真の遂行者(キャラ名版)
女性「へぇ・・・高圧外交ですか・・・悪党の常套手段ですね・・・。」
突然の女性の声と同時に、目の前の国王と宰相がその場に腰を抜かしだした。何と目の前の虚空から女性が首を出しているではないか。丁度逆様の状態であり、金髪のロングヘアーが生首の如く不気味である。
この様相に周囲の面々は一段と騒然としていく。特に地球人達の方は度肝を抜かれたかの様子だ。異世界への召喚事よりも、今の現状が不可解極まりないようである。
その生首こと女性は、虚空から床へと降り立つ。身体能力が優れているからか、その場で数回転しながらの着地だ。そして、今も腰を抜かしている国王と宰相を一瞥しだしている。
女性「お3方が居れば大丈夫かと思いました。ですが、ここは“私達総意”が最大限の援助を行うべきだと判断しました。どう見ても貴方達は度を越した行動をしていますからね。」
女性が戦烈の三女神を見ると、思い立ったかのように片膝を付いていく3人。これは完全に演出である。再び、満を持しての登場という感じだわ。
女性「ああ、申し遅れました。私はデュヴィジェ=デュネセア。6大宇宙種族が1つ、デュネセア一族の現女王です。ここ“異世界ベイヌディート”には何度か足を運んだ事があります。」
ミデルバ「・・・女王陛下自らがお出になられるとは・・・。」
実に態とらしい演出だ・・・。デュヴィジェの言い回しは、完全に現状を楽しんでいる。そして、それに悪乗りしだしているミデルバ。ティルネアとティルフィアは大丈夫かといった感じの雰囲気である。
デュヴィジェ=デュネセア。デュネセア一族の現女王、俺の義理の娘である。実際に血縁関係はないが、幼少の頃に面倒を見た事から小父と呼んで親しんでいる。
先程から何度か念話にて声が挙がっていたが、愚物共の行き過ぎた行動にキレかかっている状態だ。今も表情は普通であるが、雰囲気は何時爆発してもおかしくない。まあ本音の所は、先も挙げた現状を楽しんでいるのもあるが・・・。
だが、こうした理不尽・不条理の概念には徹底抗戦をするのが彼女である。かく言う俺も同様であり、愚物共がこれ以上愚行を犯そうものなら動こうと決めていた。それを察知しての先回り的な言動だろう。
だからと言って、空中に丸い輪っか的な虚空を作り、そこから顔を覗かせるのはどうかと思うが・・・。これに関しては、彼女が更に開発を進めた転送装置の発展系の業物である。
先程も俺が挙げてみたが、つまりは何時でも地球とのコンタクトが可能と言う事だ。同時に現地からの支援は無限大に繰り出す事ができる。
威風堂々とした佇まいのデュヴィジェ。その彼女に対して、国王と宰相は今し方の威厳は完全に消えている。既に三女神が降臨している手前、追い打ちを掛けるかの様にデュヴィジェが現れた。常識を逸した様相に茫然自失的な感じである。
そこに更なる追撃を放ちだした。徐に合図らしき仕草をすると、空中に4つの穴が現れる。先程と同じ虚空になるが、そこから4人の女性が舞い降りてきた。これには驚くしかない。
デュヴィジェ「貴方は先程、魔物の討伐と統括する魔王と大魔王の抹殺を挙げていました。それが多種族に対して宣戦布告になると分からないのですか?」
舞い降りた4人の女性がデュヴィジェの傍らへ歩み寄る。すると、身体から神々しい光を放ち出す。その光が止むと、そこには人型の魔物が4体いるではないか。4人の女性は地球人の風格をしていたが、今は完全に魔物の姿である。
突如現れた魔物達に対して、流石の将軍や周囲に居る兵士達が動きだす。腰に装備されている剣を抜刀し、今も腰を抜かす国王や宰相を守りだしている。
ちなみに、俺達と相手との距離は数メートルほどある。その距離ならば、相手からの斬撃は当たらないだろう。そもそも、その斬撃を放てるかどうか疑問な所だが。
デュヴィジェ「人間主上主義、と。あの時の愚王共と全く変わらない。かつての“クレデガレア”王国が崩壊したのも、多種族に対して宣戦布告という愚行を行った事。ここも何れは同じ末路に至るでしょう。」
国王「・・・貴様、先程から言いたい放題だな・・・。」
デュヴィジェ「ならば、即刻兵を引かせなさい! 単に姿を変化させただけで臨戦体勢を取る事が愚行だと分からないのですか!」
国王の辛うじての反撃に対して、今まで見せた事がないぐらいに激昂するデュヴィジェ。その様相に身内達は驚くしかない。ただ、相手の度が過ぎた言動を前にすれば、自然と蓋が開け放たれるのは言うまでもない。
ヒートアップし続けるデュヴィジェの傍らに進み、彼女に胸の中の幼子達を託す。他の相手の胸へと移動しても、屈託のない笑顔と雰囲気を放っている。それを目にしてか、上がったボルテージが下がっていくのを感じ取れた。
ミスターT「落ち着きなさいな。俺が代わろう。」
身形が自由になったので、徐に一服をしだす。その際、幼子達へバリアとシールドの秘技を放った。今の彼女達には喫煙は猛毒に近い。だが、バリアとシールドの保護膜があれば、その効果は完全に遮断できる。
と言うか、この場合は許して欲しいものだ。デュヴィジェとはいかないが、俺の方も現状に対して結構頭に来だしている。一服しないと落ち着きを取り戻せなさそうだから。
第1話・8へ続く。
3つ目の定石な流れ、でしょうか。ただ単に暴れたくて仕方がないじゃじゃ馬娘な感じがしますが@@; まあその実力は先に出た三女神よりも上なので、“全てを先読みした行動”となる訳ですが。探索者の劇中でも何度か挙がっていましたが、全てを知る者は“余程の事がない限り”迂闊に動けませんので。これも一種の力量セーブなのでしょうね(-∞-)
ともあれ、前話などでも挙げましたが、覆面の創生者はこの手の劣勢を悉く覆す流れが何度も出てきます。ただ、それらはラストへ向けてのスパイスに過ぎませんが。本題は今まで以上に深刻化した流れの対応となりますので。こちらは何とかラストまで繋げていきたいので、頑張らねばと思う次第ですm(_ _)m




