【短編版】私のショーツ勝手に履き替えたのは誰だ?~女子高生、唯ちゃんの悩み~
放課後、自転車置き場に行くと、あるはずの私の自転車が無かった。
あれ、なんでないの。まさか、自転車泥棒?
私が困っていると、クラスメートでイケメンの田中君がやって来た。
「あれ唯ちゃん、今日は自転車なのか?」
「あっ、田中く~ん、私の自転車が見つからないの。後ろ乗せて!」
「家の方向が一緒だからいいぜ。俺みたいに、レインコート着て、雨でも自転車通学する奴は少ないからな」
「今朝、雨だったの!?」
そうか……それで「舞」の奴、朝はバスで学校へ来たんだな。
「うっかりしてた、朝は雨だからバスで来たんだ」私は慌ててフォローした。
ラッキー!なんて思いながら、田中君の自転車の後ろに横座りに乗った。
「飛ばすから、しっかり捕まってろよ!」
田中君の広い背中に体を押し付けて、両腕を回してギュッと捕まる。
夕焼けの街を二人で走る。風の中、私の長い髪がなびく。気持ちいいし、なんだか映画のワンシーンみたい。姉の役得だね。
問題は下着だよ。学校でトイレ行ったら超ダサい木綿の下着履いてるのに気づいた。妹の舞のせいに違いない!
これじゃ、田中君誘えないじゃない!
家に帰ると、日記帳に舞へ文句を書き込んだ。
『昨夜、お風呂から上がった後、セクシーなショーツ履いたはずなのに。朝、下着履き替えたの、舞、あなたでしょ!
せっかく田中君といい雰囲気だったのに、どうしてくれるのよ!』
そうなのだ。妹の舞は午前中、姉の私は午後、私達は身体をシェアしているのだ。
翌日、私は日記帳を開いた。
妹が丸っこい文字で私のメモに返事を書いていた。
『ショーツ履き替えたの私じゃないよ。朝、気づいたらダサダサの厚手の木綿のパンツ。
履き替えようと思ったら、同じようなパンツしかタンスになかったから仕方ないじゃない』
よく見ると、その後ろに父親の太く固い書体で何か書いてあった。
『お前たち、黒の下着はまだ早すぎるぞ。
私がすべて処分した。高校生は白の下着で充分だ』
ちっ!オヤジの仕業か。父は夜10時以降朝の5時まで私たちの身体をシェアしているのだ。
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