虹色のピンポンパール
赤田あかねと朱色のランチュウVS姫と虹色のピンポンパールの勝負が始まった。
先に相手(の金魚)を固めた方が勝ち。固める、つまり動けなくした方が勝ちなのだ。
2チームは互いににらみ合い、一向に進まない。
静かな静寂。
そして朱色のランチュウが虹色のピンポンパールを固めた。赤田あかねが勝ったのだ。
赤田あかねと朱色のランチュウの強さは決定的だった。
赤田あかねと朱色のランチュウは大喜びだった。
しかし喜びもつかの間、次の瞬間、朱色のランチュウと赤田あかねが不正をしたと審判に言いがかりをつけられ、虹色のピンポンパールと姫の勝ちとなった。
勝者?の姫と王子の結婚式が行われた。
皆しらけていたが、そんなのお構いなしに、姫と王子は二人の世界に入っていた。
帰りの交通機関はどう帰ってきたか覚えがない。
姫と王子の茶番劇に付き合わされただけなのだ。
「馬鹿らしい…!」
思わず真夜はつぶやいた。
真夜は、兄と同じような進路(高校卒業してから公務員)を目指すことに決めた。
人の馬鹿らしい茶番はともかく自分の生きていく道を真剣に考えるようになったのだ。
兄と同じように高校3年の4月から公務員予備校に行くことにした。今は高校2年の9月になる。高校2年の1月からという道もあるが、兄と同じく真夜も勉強はあまり好きではないので、短期集中の高3の4月から9月位まで集中して勉強することにした。
担任の先生に進路は就職で公務員試験を受けることを伝えた。
親にもそれを伝え、予備校代を出してもらうことをお願いして、了承してもらった。
親は、進学費用よりも予備校代の方がはるかに安く、家計的に助かる、と言われた。
進学にするなら、私名義で奨学金を借りることになるのだ。うちはあまり裕福じゃなかったし、借金はしたくないのだ。
そんな中、朱いランチュウが私とマヤヲの所にやってきた。
「あかねちゃんを助けて下さい。」
朱いランチュウは訴えてきた。
「どうしたんですか?」
マヤヲはランチュウに聞いた。
「王子と結婚出来なくて落ち込んでいるのです。」
赤田あかねは、市営住宅の五階に住んでいるようだ。
ピーンポーン!
チャイムを押すとあかねが玄関から出てきた。
「あなた達は…」
あかねは真夜とマヤヲをみて驚いた顔をした。
「あかねちゃん、元気出して」
朱いランチュウがあかねに言った。
「ランちゃん…」
朱いランチュウはあかねにランちゃんと呼ばれているのだった。