金魚は見ているだけでかわいい
「やったね!真夜ちゃん」
「うん…」
「ありがとうございました」
勝負をした後、互いに握手をかわして別れた。
どうしよう…次は負けないと。
次の試合は朱色のランチュウがいる赤田あかねという少女との勝負だ。
勝負まで少し時間があったため、その辺を散歩したり、他の人達の試合を見たりしていた。
すると、王子の婚約者の姫が2回不戦勝で待機していることを知った。3回目と4回目の時に勝負をするようだった。
何でわかったかというと、すべての対戦相手が書かれたトーナメント表が会場の体育館に大きな紙で貼り出されているのだ。
これ、初めから王子の相手は決まっていたけれど、2人の関係を盛り上げるために私達人間が利用された?
そんな疑問も沸いてきた。さすがにマヤヲにそれを言うと、そんなことはないよ。姫に勝てば真夜ちゃんも王子と結婚だよ。どきどきだね、などと寝ぼけたことを言った。
こういうの、出来レース?とか言うんだっけ?やらせ???王子もこのことは知ってた…???
時間の無駄だったな。私の直感は当たった。王子様はやはり私とは合わない。真夜はそう強く感じた。
次の試合が回ってきた。
朱色のランチュウを連れた相手の赤田あかねが勝った。一瞬の差だった。手を抜くつもりだったが、結局真夜は手を抜くことは出来なかった。それでも実力の差で負けたのだ。相手が熟練の技を繰り出して来たのだ。相当練習したんだろう、一瞬こちらが脳を思考をストップさせられたのだ。動けなかった。
負けた。相手は勝ちが嬉しいのだろう、泣いていた。あかね、ランチュウ組は次の試合がいよいよ決勝なのだ。問題の姫との対戦だ。勝負後にあかねと握手をしながら、内心胸が痛んだ。この後たとえ勝ったとしても結局姫に負けるのだ。
「ありがとうございました。頑張って下さい。」
それでも、そう願ってしまった。相手のランチュウもかわいい。この会場の全ての金魚はプリッとしていてかわいいのだ。真夜は金魚が好きだ。マヤヲが生前水槽で生きていた時に毎朝3種類の餌をあげていた位に金魚が好きなのだ。
真夜はまた他の試合を見ながらプリッとした金魚のかわいさに癒されていた。
「相手すごかったね…」マヤヲは負けたことが残念なのか、しょんぼりしていた。
「うん…すごかったね。」真夜は答えて、切り替えた。
さて、決勝だ。
姫はピンポンパールという高そうな金魚を連れていた。おまけに色が虹色だった。
では、始め!!
あかね・ランチュウチームと姫・ピンポンパールチームの試合が始まった。