トーナメント開始
マヤヲの指示で、よくわからない会館についた。そこの会館へ行くのに、バスに乗って、地下鉄に乗って、列車に乗り、日曜日の朝早くに家を出た。会場である会館についたのは、朝の10時近くだった。
受付で自分の名前、"魚川真夜"と書き、その横に魚の名前という項目があり、そこに"マヤヲ"と書いた。
私は何だか嬉しかった。自分とマヤヲがコンビみたいな扱いのように感じたからだ。
会場には大きな体育館があり、他の参加者も大勢いた。
皆、私と同じ位の10代で、後ろに金魚をつれていた。
ランチュウを連れているのもいれば、リュウキンを連れていたり、出目金もいた。彼女達とバトルをし、王子様と結婚する資格を得られるのだ。
【魚の王子様】はどんな人なのだろう?
そんな中、開会式が始まり、魚の王子様も豪華な椅子に座りこちらをみていた。
気高い印象の王子様だった。王子の後ろには金色のリュウキンを連れていた。
王子と結婚か…
私は【嫌だな…】と感じてしまった。
せっかくマヤヲと戦いの特訓をしたけれど。今すぐ帰りたかった。
何故って?
直感だ。この人とは結婚生活は合わないと感じた。家同士が釣り合いが取れていないって???
確かに王子と比べ、うちは貧乏だ。両親共稼ぎで、日々お金がない。それでうちの兄も進学はせず、高校の授業のあと夜間の公務員予備校に通い勉強をし、公務員試験を受け見事受かり高校卒業してからすぐに公務員になり家から出ていき自立した。
だから、私も結婚となるとかなり真剣に考えてしまう。
王子の外見は、なかなか良く、気品もある。
パッと見た感じ惚れ惚れする位、色気(?)もあるし、細身で身長も高めで清潔感もある。
私も、ただ見ているだけならぼうっとする。
ただ少々神経質そうだった。神経質な男とは合わない。マヤヲには悪いが第1試合では手の抜いた試合をしよう。私はそう決めた。
私の相手は黒い出目金を連れた少女だった。
「マヤちゃんどうしたの?様子が変だよ。」
「ううん、何でもないの。」
「試合頑張ろうね。」
マヤヲは一生懸命だ。かわいい和金なのだ。
「第一試合、和金マヤヲと地球人の魚川真夜VS黒出目金クロと地球人の早川雅」
マイクを持った人がそう言った。
「3分勝負、先に相手チームの金魚を固めたら勝ちです。では、戦って下さい…!」
私はとっさにマヤヲに念を送りマヤヲが口から相手金魚を固める息を出し、相手の出目金が固まった。
15秒位で終わらせた。
相手よりほんの少しこちらが早かったのだ。
「勝者、マヤヲ真夜チーム!!」
あっ…
手の抜いた試合をして負けるんだった。
勝っちゃった。