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大阪の猫共

「ほな行くで〜!」


マナエッテがそう関西弁を真似る。あれから大阪に到着し、新幹線を降り駅から出たところだった


「ほらフレイちゃんも!」

「ほな、行くで?」

「何やらせてんだよ」


アメリはツッコんだ。フリースは既に木刀を入れ物から出しており、メラアは人型で歩いている。ロドゥンは言う


「しかしマナエッテさんは明るいですね。娘も楽しそうで何よりです」

「そ、そうですか!?はい、何よりでした!」


マナエッテは何やら意味不明な日本語を話す。そしてメラアは目を見開き驚いた様子で固まっていた


「どうした?」


フリースが聞く


「ナイトメアが東京へ向かってるわ」

「入れ違いってことか。つまり、このタイミングでサカツキに逆襲しに行ったと」

「そうなるわね」

「ならいいんじゃないの?敵が少なくなって」


マナエッテは聞いた。メラアは頷く反面懸念をしていた


「東京がどうなるかは知らないけれど、少なくとも此処に残る敵はキャッツのみね。恐らくナイトメアは部下もキャッツにやられないよう撤退させてると思うわ」

「少しは安心できそうで良かったわ」


アメリはそう呟いた。そして大阪にすぐ白服の女が剣を持って歩いていた。もし敵ならば明らかなアホだと誰もが思っただろう。美しく長い金髪をしており、言葉にするのなら女騎士。メラアは水化し女の真後ろへ忍び寄っていた


「ちょっと聞いていいかしら?」


水の刃がいつでも首の切れる距離にあり、女は全く動じていないようだった。少し背の高く美しい女にフリースは見惚れていた


「聞きたい?どうぞ」

「その服、キャッツの騎士団の物よね?」

「はい。キャッツ様を守る『白の行進者』という騎士団の服です。軽くて着心地ばっちりですよ」

「丁寧にどうも」

『何よこの子。ほんと素直ね』


その全くの敵意の無さは逆に怖いものだった。メラアはずっと水の刃を構えている


「あんたはキャッツの部下なのね?」

「はい」


マナエッテはその女に近づいた


「ちょ、危険よ!!」

「大丈夫だよ。だって悪い人じゃなさそうだし」

「近づいちゃダメよ!何を企んでるか」


マナエッテは強く言われ流石に少し後ろへ引いた


「あなたはメラアさんでしたね?有名ですよ」

「そりゃそうよ。あんた達とまともにやり合える唯一の能力者だからね!」

「そうですか」


メラアは聞く


「そうそう、ナイトメアが東京に行った情報は入ってると思うけど、キャッツは何か言ってたかしら?」

「はい。あいつがサカツキを殺りに行ったか。ならば一気に大阪を貰うとするか。欲を言えばサカツキとナイトメアが相殺して欲しいんだが」


メラアはその素直さに呆れた


「もういいわ。ありがと」


メラアが殺そうと女の首を強烈な細い水圧をぶつけようとすると、メラアの全身が痺れ、人状態に戻った。メラアは全身が少し水のように溶け、気絶していた


「メラアちゃん!!」


マナエッテが慌てて駆けつけた。倒れるメラアに寄りかかる


「ねえ、大丈夫!?メラアちゃん!」


アメリも駆けつけた


「おいマナ、距離を離すぞ」

「え、うん」


二人はメラアを運び距離を離した


「もしかして、まずいですか?」


ロドゥンは聞くと、フリースは余裕そうに返した


「いいや、俺がいれば安心していい」

『いざとなれば俺が家族を守る!こう見えて昔は空手をやっていたからな!ブランクは酷いが』


ロドゥンは決意した。そしてフリースがリュックを下ろし木刀一本持ち出しゆっくりと女の方へ歩く。マナエッテの横を通ると


「フリースくん。頑張って!で、でも無茶はしないでね……」

「バカ言え。無茶しないと全滅だ」


フリースは木刀を構えた


「十秒で終わらせる」


そして木刀を女に思い切り突き刺そうとすると女は横へ交わすが、フリースが思ったより早かったのか少し頬へ掠り少量の血が出た。同時に木刀の切先が焦げた


「っ……やるな」

『焦げた……メラアが負けた理由も繋がったな』

「電気を纏ってるわけか。そりゃ全身水のやつが触れば大怪我になる。しかし残念だ」

「残念?」


フリースは木刀を強く握る


「俺は武器使い。電気に触れることは無い!」


強く踏み込み女に木刀を突き刺そうとすると、女は避けた。しかし読んでいたかのように逃げ先に一振りし、女の首に大ダメージを与えた


「がっ!!お前に私が倒せるか!」

「さっきまで大人しい女の子だったのに、急に怒るんだな。まるで子供みたいに可愛いもんだ」

「ふざけるな!!」


女も剣を取り出した。明らかに木刀が折れるのは目に見えている。しかしフリースは謎に余裕だった


「死ねえ!!」


女が電気を纏った剣をフリースに振り下ろすが、フリースは軽々と避け、その後の猛攻も全てを避ける


『こいつ、単純だ。恐らく能力に頼ってきただけで全然強くない。というか能力者ってのが最近はうろちょろとしててムカつく』

「こっちは剣しか振れないのによ!!」


フリースは女の顔めがけ思い切り振り下ろした。女が目を閉じると、女は全く痛くなかった。目をそっと開けるとフリースがギリギリで止めていた


「なんのつもりだ!」

「殺す趣味は無いってだけ」


フリースは女の剣を木刀で弾き、リュックから紐を取り出し手足をきつく縛る


「さて、キャッツはどこにいるか聞きたいんだが」


フリースは屈み女に聞く


「誰が言うか!」

「俺は聞き出すのに慣れてない。得意なやつがやれ」

「はーい!」


マナエッテは嬉しそうに手を上げた。誰がどう見ても得意とは真逆。なんならこちらの情報をポロッと喋りそうな女だ


「まあいい。好きにしろ」


マナエッテは女をじっと見つめる


「なんだ!こ、殺すなら早く殺せ!」


マナエッテはニッコリと微笑む


「殺すってよりキャッツの居場所を教えてほしいんだけど、ダメかな?」

「教えれるわけ!」


マナエッテは女の脇をくすぐり出した


「ほら、言わないとこうだぞ!」

「ちょ、やめろ!脇だけは……」

「なら言っちゃえばー?」


その瞬間、マナエッテの肩が銃で撃たれた


「いっ!!私撃たれた!!」


大声でそのことを伝えるとフリースは木刀を構え辺りを警戒する。ロドゥンは妻と娘を守る形になっており、メラアはなんとか目を覚ました


『朝かしら……って、私気絶して。とりあえず全員無事かしら?』


メラアが体制を起こすと、目の黄色く大きい猫の面をし、その胸辺りまで伸びる銀髪をフードからはみ出した何者かが屋根上に立つ。メラアはそれを知っていた


「キャッツのお出ましね!」

「あれがキャッツか」

「ええ」


フリースと会話するメラア。アメリはマナエッテと一緒に後ろへ下がろうとする。マナエッテは女を運ぼうとしたがアメリが言う


「そいつは置いていったほうがいいと思うが……キャッツの狙いの的になるし」

「でも戦闘に巻き込まれたら危ないし」

「と言え、そいつには電気が」

「え?流れてなかったよ?」

『なぜ?自衛するなら流すはずだし、意図的にやったと考えるのが自然だよな?運んで欲しいってのは分かるとしても、マナにくすぐられた時は出さなかった』


フリースはマナエッテの方へと近づく


「運んでやるといい。俺はキャッツとやらを倒してくると言いたいが、メラアの方が色々知っている。正直足手まといになるかもしれんし、ここで見ている」

「そう。なら運ぼ!」

「ああ」


三人は後ろの方で家族と一緒に二人の戦いを見ようとしていた

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