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向来の物共

三日後、シーサイドは病室のベッドの上。通話をしていた


「フォックス、頼みがある」

「僕に?」


シーサイドと同じ警部に位置する子供のような声をしたフォックス


「要件は俺の仕事の続きだ」

「部下のミューフちゃんじゃダメなのかな?」

「あいつには危険だ。報告した通り、シュヅキが関わっている可能性が高い。それに、これはお前の持ち出した話だ」


フォックスは少し間を開けた。考えていたのか


「分かった。確認だけど、病院の方を見ておけってことね」

「ああ。ちなみに俺の居る病院とは別場だ」

「そこは心配してないよ。怪しい病院で堂々と通話するほどバカじゃないってのはね」


警察署にて


「フォックス警部!僕も連れてって下さい!」


そう言うのは新人警官のレオンだ。首辺りまで伸びる黒髪と、普通の男という感じだが、やる気に溢れている


「いいよ。病院側は殆ど黒だし、既に突撃特殊部隊にも頼んでるし、準備は万全」

『しかしシュナイ本社は人の仕業とは思えない形に潰れされた。となると、何か道具を……いや、道具の目撃者がいない。何か化学現象でも……建物を動かせるほどならば周りも被害を喰らうはず』


フォックスはコーヒーを飲んだ。フォックスは十三歳であり、見た目も完全に子供。長い茶髪をした男の子であり、既にその才能から警部を任されていた


「じゃ、ミューフちゃんも行くのかな」


通り掛かるミューフに聞くが、何も聞かされてないのか首を傾げた。その後三人は車に乗り病院へ向かう


「え、ええ!!シーサイドさん、そんな大切なこと黙ってたんですか!?私はシュヅキなんて怖くないですよ!」

「そう責めないであげてくれ。彼なりの気遣いなんだ」


フォックスはそう返す


「しかし僕昨日二十の誕生日だったんですよ!でも誰にも祝われなくて」


レオンがそう言うと、ミューフは目を細める


「んで、それ祝ってほしいアピール?マジうざいんですけど」

「そんな事言われても……」

「素直におめでとうでいいと思うよ。誕生日を祝われないのは悲しいさ」

「あー、そう?じゃ、おめでと!」


適当に言うミューフ。フォックスは微笑んだ。病院へ到着すると、建物は物凄く大きかった。そして中へ入ると普通の病院であり、受付もある。フォックスは小声で説明


「僕が子供で、ミューフちゃんはお母さん、レオンくんはお父さんの役を頼むよ」

「はい!」


素直に返事をするレオン


「はあ?お母さん?あんたの」

「僕の指揮には従ってもらうよ。今は僕の班なんだから」

「仕方ないわね」


そう不満げなミューフ。三人は普通の家族のように歩くが、子供の年相応でない親の若さ。フォックスは何かを床に撒いていってる。二階、三階、と徒歩で歩いていき、最上階目前まで上がった。五階は関係者以外立ち入り禁止と書かれてあり、階段の前には柵が立ててあった


「ここは怪しいですよって言ってるような物。しかしシュヅキとやらは、この病院内にいるからね」


少し間を開き、ミューフが


「は?なんでシュヅキってのがここに?」


と口にした


「そりゃ、病院とシュナイの関係は明らかであり、普通なら病院そのものを破壊するはず。シュナイと同じように。しかし今こうして在るということは、壊せない訳があると考えれる。しかし侵入者には入られたくないとなると、シュヅキ、もしくはシュヅキ側近レベルの部下が病院内にいるはず」

「な、なるほどね……そんで、この先行くの?」


フォックスは柵を蹴り飛ばした。あまりにもやり方が強引だ


「なんか肝試しみたいで楽しいですね」


わくわくのレオン。ミューフは溜息を吐く。そして階段を登っていくと、どんどんと静かに暗く変わっていく


「一つ言っておくと、シュヅキ相手に二人守れる余裕があるかは分からないからね」


爆弾発言を残しフォックスは上っていく


「冗談ですよね!?」


レオンはそう言い着いていく。ミューフも後を行く。すると椅子に黒いフードを被った何者かが座っていた。回る椅子を回転させると、その姿が見えた。フードを取ると、腰辺りまで伸びる桃髪に赤く大きな目をした不気味な女


「他人を使い行動する君が姿を見せたってことは、僕たちを殺そうってことだね?」


フォックスは聞いた。すると女は返した


「正解。ついでに本当の名も教えてやろうか」


不気味に笑う女


「本当の名?すまんが興味無いんだ」


フォックスは銃を取り出した


「病院はどの企業よりも信頼が大切。この病院が消えたタイミングで新しい病院が出来ようものなら疑われるし、作るのに金も期間も必要になるだろ?困るじゃん。普通に考えて」

「和菓子屋ならいつ誰が会社を立ち上げても可笑しくないから、シュナイは消したってことか」


フォックスはシュヅキ目掛け銃を放つ。床が壁のように伸び、弾を防いだ


「なんだと?君は能力者とかいう非現実的存在とでも言うのか?それとも科学技術か」

「前者だ」


フォックスが気配に振り向くと、床が伸びておりフォックス達を挟もうとしていた。少し後ろにいたミューフの姿は床の壁により見えない


「って、挟まれるじゃないですか!!」


レオンは驚く


「厄介な床だけど、僕に任せて」


壁や天井目掛け銃を放つ。しかし床や壁の形は少し変わり、跳ね返りシュヅキへ当たるはずだった弾は逸れた


「なにっ!?読んだのか!!」

「フォックスさ、お前は少し優秀なだけ。私はそれくらい四歳の頃にできたから、天才警官の上……それより上ってあるか気になるな?」


そして部屋に置かれる机、椅子、棚の他に小物などの物全てが尖り、床から手のような物が無数に生える。そしてその手が尖った物を全て投げつける。フォックスはようやく気がついた


『物の形を自由自在に変えれる能力?!』


「フォックス警部、どうすれ──」


レオンの頭が小物に刺された。そしてフォックスは飛んでくる尖った物を避けようと飛んだが、足に当たり肉を思い切りえぐり取った


「ぐっ……この化け物が」


そして全ての床や物の形が元に戻る。フォックスの倒れる後ろにはミューフがおり、フォックスはそれを見ると笑った


「残念だったね、シュヅキ。ミューフ!これを床に撒かれた黒い玉に当ててくれ!!」


ミューフはフォックスの投げるライターを受け取り、火を付ける。そしてフォックスが床に撒いてきたのは黒い弾だ。何個も落ちている


「フォックスさん、これってなに?」

「いいから火をつけろ!僕らの切り札だ!」

『油の詰まったボール。一つ燃やせば病院全体が燃える!そして特殊部隊には下で飛び降りても大丈夫なようにトランポリンを用意して貰ってる。完全勝利だ!』


ミューフはフォックスの方へ近づく


「ミューフ?どうした?」

『気づいたか?!火を付けた本人は爆発に巻き込まれ死ぬことに。くそ、思ったより鋭い……』


フォックスはかなり焦っていた


「待てミューフ!このまま死ぬか火をつけて死ぬかの二つだ!なら火をつけて……英雄として犠牲になったほうがいいだろ!!」


ミューフはフォックスの口にライターを入れ、喉を燃やしていく


「あがッ……」

『上手く使われて死ぬくらいなら僕を殺すってことか!!この役立たずが!!やばい、口が閉じない……』


床が伸び、フォックスの口が閉じぬよう薄い形で歯を抑え、開くことしかできなくなっていた


『可笑しい。ミューフが僕を消すってなら分かるが、なぜシュヅキが協力を……まさかこいつら!』


ミューフは手を合わせ言った


「こんな子供なのにゴメンね!私一人帰ったら怪しいし、でも安心して!シュヅキ……いや、サカツキ様がどうにかしてくれるから!」


フォックスは目を見開いた。それが真実であり、ミューフは警察の人間であり人狼だった。フォックスは意識が無くなった


「ミューフ」

「はい!サカツキ様!」

「私から逃げるフリをして窓から飛び降りろ。外にトランポリンを持った奴が待っているし、最悪お前なら死んでもいい」

「はい!分かりました」


サカツキが窓を割ると、その瞬間にミューフが飛び降りた。サカツキは壁を伸ばし外へ大きく突き出し、ミューフが逃げてきたと言わんばかりの状況を作り出す


『ひええ、飛び降りるの怖すぎる』


ミューフがトランポリンで思い切り跳ねたが、五階からであり普通なら多少の怪我をするだろう。しかしサカツキが特殊部隊から見えにくい窓ガラスで所々ミューフに足場を作っており、ミューフは無傷で助かった。その後ミューフは上への報告をした。今回フォックス警部、レオン警官の二名が殉職した。今回の件に病院関係者は関わっておらず、ナイトメアを名乗る犯罪者により起こったこと。そして書類偽造の件は、病院側の当事者である男が自首。という報告の後、自首した男はシュヅキに脅されたと明かした。ミューフは病院でのサカツキとの会話の続きを思い出していた


「報告として、今回の病院破壊はナイトメアがやったことにしろ。そして書類偽造の犯人も逮捕され、晴れてこの病院は白になる」

「ナ、ナイトメア!?ナイトメアってあいつですよね?いいんですか?」

「構わない。あえて挑発をしてナイトメアが暴れてくれれば、サツの捜査が雑になって私たちが動きやすくなる」


『とか言ってたけど、ナイトメアも恐ろしい男だから、私は関わりたくないな。勿論サカツキ様の言葉なら全て頷くけど!』

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