最悪の事件
ここは日本という国の東京
警察本部では不穏な話が飛び交う
「ミューフ、これを見てみろ」
背の高く異常にガタイの良い首辺りまで伸びる黒髪をした男だ。名はシーサイドと言い警部という立ち場だ。腰辺りまで伸びる金髪をした若い女であり、三十であるシーサイドよりも九歳若く、子供っぽいが警察だ。シーサイドがモニターに映した映像には一匹の可愛らしい犬と飼い主の女の子が映っており、散歩中だと分かる
「これ、なんですか?シーサイドさん」
映像を見ていると、急に犬が凶暴化し女の子の指を噛みちぎった。手を抑え泣き叫ぶ女の子に追い打ちを掛けるよう体中を噛み続けていた。そこでシーサイドが映像を止めた
「なにこれ……許せない!」
シーサイドは首を傾げた
「許せないか。しかし犬が百悪いと言えるか?しつけを怠った結果であり、犬は本能のまま動いただけかもしれないだろ?」
「そ、その可能性もありますよね……」
ビクッと話すミューフ。シーサイドは息衝いた
「と弄るのもこの辺にして、本題だ。最近野生生物よ凶暴化が多く、池の鯉が人の肌を噛みちぎった、野良猫が集団で一家を襲い、皆殺しにしたなど。勿論挙げた物の他にも沢山あるわけだ」
「確かに怖いですけど、グロいの見せるなら先に言ってくださいよ!!ほんと心臓飛び出そうだった」
少しプンプンと怒り気味に言った
「心臓が飛び出るのは構わんが、この一連の件について、お前が何を思ったかを聞きたい」
ミューフは少し考えた
「怖かった」
「小学生かお前は。これは野生の本能による物か、人が手を加えた物か、他に見方があるのかって話だ」
「あー、そういう!」
ミューフは再び考え込む。しばらくすると閃いたのか話し出した
「何者かが手を加えた可能性が高い。ですね!」
「ま、だろうな。タイミングがここ数日に固まってる。ただでさえ事件は多く、特にここ二年だ」
「ナイトメア事件と恋人失踪事件の二つですよね?」
「あと、何やら動きの怪しい企業が増えた。それも全てここ二年の話ってのが何かありそうだ」
電話が鳴る。シーサイドは受話器を手に取った
「こちらシーサイド」
「僕だ」
男の子のような声をしていた
「フォックスか」
「シュナイのリーフが吐いた。やはりシュナイは献血を装い血を集めていた。病院側にも結構お仲間がいそうだね。発覚が遅れたのもそのせいだ」
「分かった。俺が向かう」
「頼んだよ」
受話器を置くとミューフは不思議そうに聞いた
「フォックスくんから?なんてですか?」
「準備をしろ。話は向こうでする」